GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『洞窟』
Il Buco

驚きの発見:内なる旅
2023.10.7(土)~ 10.22(日)

(c) 2021 DOPPIO NODO DOUBLE BIND - ESSENTIAL FILMS - SOCIETE PARISIENNE DE PRODUCTION - ARTE FRANCE CINEMA

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2023年のテーマは「驚きの発見」。

10月は、イタリアの奥地で洞窟の底を目指す若き研究者一行と、それを見つめる老人の物語『洞窟』をお届けします。
 

『洞窟』
Il Buco

2021年/イタリア、フランス、ドイツ/97分/カラー/デジタル上映

監督:ミケランジェロ・フランマルティーノ
製作:フィリップ・ボベール、ミケランジェロ・フランマルティーノ、
マルコ・セレッキア
脚本:ジョヴァンナ・ジュリアーニ、ミケランジェロ・フランマルティーノ
撮影:レナート・ベルタ
出演:ニコラ・ランツァ、パオロ・コッシ、ヤーコポ・エリヤ

1961年、好景気に沸くイタリア北部の大都市では、ヨーロッパで最も高いビルが建設されていた。一方、イタリア半島の南端に位置するカラブリアの山岳地帯では、若い洞窟学者たちがヨーロッパで最も深い洞窟の調査に取り掛かっていた。この若者たちの冒険は、近隣の小さな村の住民には気づかれることはないが、高原に暮らす牛飼いの老人だけは違った。彼の孤独な人生は知らぬ間に、洞窟の底を目指す一行の旅と交差し始めるのだ。神秘的で、ほとんど言葉を必要としない有機的な美しさを持つ本作は、生命と自然の未知なる深淵を訪ねる道程の記録であり、内へと向かう二つの偉大な旅を並行して描いている。

監督について Director

ミケランジェロ・フランマルティーノ/Michelangelo Frammartino

1968年にミラノでカラブリア出身の両親のもとに生まれる。1991年にミラノ工科大学の建築学部に入学。1994年から1997年までミラノの映画学校で学び、ビデオインスタレーションを制作するかたわら、映画などのセットデザイナーとして働く。いくつかの短編映画を撮影したのち、2003年に『Il Dono』で長編監督デビュー。2010年の『四つのいのち』は第63回カンヌ国際映画祭監督週間でヨーロッパ・シネマ・ラベル賞を受賞。2021年には『洞窟』が第78回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門で審査員特別賞を受賞した。

 

作品について About Film

ミラノは、奇跡的な経済成長のただなかにあった。街の中心部には、竣工したばかりのピレリタワーが美しく聳えていた。同じ時代に、都会から遠く離れたカラブリア州では、昔ながらの暮らしが営まれ、洞窟学者たちのグループが世界有数の洞窟に潜り、地下700メートルの深みに達しようとしていた。都会のひとびとが進歩と高さを競っているときに、若き探検家たちは、暗闇と静寂のなかにゆっくりと降りていったのである。

奇妙なことに、彼らは、探検の記録をほとんど残さなかった。ミケランジェロ・フランマルティーノは、フィクションとドキュメンタリーを往復しながら、1961年に実施されたこの探検を、ドラマチックな冒険物語としてではなく、精神と感覚の旅として描きだした。フランマルティーノは、わたしたちを地底の奥深くに連れていき、探検家たちが洞窟のなかで経験したことを実感させようとする。さらには、洞窟に暮らした人類の祖先たちの不安を、画面に甦らせようとするのだ。

「洞窟がカメラの構図を決めました。洞窟がこの映画を作ったのです」。フランマルティーノはいたって真面目にそう語る。「地下では、何ひとつ、わたしたちの思いどおりにはなりません」。撮影クルーが事前にケイビングの訓練を受けたのも、洞窟に「従う」ためであった。この映画には、彼らが身をもって経験したことがすべて記録されている。光がなく、温度がほとんど変化せず、空間を把握できず、時間の経過も認知できないとき、わたしたちの認識や習慣は変わらざるをえない。探検家たちは、暗闇から抜け出したときに初めて自分たちが踏破したルートの地図を作ることができた。そのときになって初めて、彼らは未知の空間を「征服」できたのである。

フランマルティーノは、洞窟探検隊と並行して、牛飼いの老人を描きだした。山を知りつくした老人が、探検家たちを遠くから見守っている。映画は、山にこだまする老人の呼び声で始まり、その声で終わる。それ以外は、誰も何もしゃべらない。しかし、牛飼いの老人と若き探検家たちのあいだには、無言の対話があった。探検家たちがゆっくりと地下に潜っていくとき、地上では、老人がゆるやかに死へ向かっていた。牛飼いの老人が亡くなるのは、世界のすべてが循環するからだ。これまでの作品と同様、フランマルティーノは、人間と、動物、植物、鉱物を、同じ平面でとらえているのだ。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)

 

公開スケジュール Schedule

【上映日】
10月7日(土)、8日(日)、9日(月・祝)、10日(火)、11日(水)、12日(木)、14日(土)、15日(日)、21日(土)、22日(日)

【上映時間】
11:00/14:00/17:00

 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)

 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。

お知らせ

会場都合により、11月のル・ステュディオはお休みとさせて頂きます。
12月は特別プログラムを予定しております。
詳細は随時、本サイトにてお知らせいたします。

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