GINZA MAISON HERMÈS

Window Display

「アイランド ホッパー」
Island Hopper

2023.6.1(木)~9.27(水)
銀座メゾンエルメスのウィンドウディスプレイは、街にひらかれた劇場です。さまざまなクリエイターの独創的な視点を通して、エルメスの世界観を表現します。

エルメスの2023年のテーマは「驚きの発見」。ウィンドウという空間を使い、さまざまな夢の世界に誘います。

現在、グローバル化された社会において人々の生き方は、都市を見る限り、各々の土地による独自性は失われ、ほぼ均一化されたと言えるのではないでしょうか。技術革新とともに立体的に進化する都市空間と、その中に見ることができる人間の生活上のシルエットは(個性をなくし、たとえ国が変わっても)、今や見慣れた風景となっています。
今回角は、クライミングを行う躍動的な人間の動く姿を都市部のウィンドウディスプレイに再現し、垂直化した都市を行き交う人々にとっての在り来りの日常に、変化を促します。
角はクライミングを作品に持ち込むことで、スポーツをリレーショナルな現代アートの一つの形として取り込みました。また一方では、クライミングの独特のフォームをギリシャ時代に希求された人間の肉体美のようにもとらえており、次の一手のために力をためて縮こまった姿や、ルート上の次のホールドに飛びつき伸びきった体の動きと形自体にも注目し、人間の肉体が持つ究極の美を彫刻的に表現しようともしています。既存の日常が、場所と内容の組みあわせの妙で知的好奇心を刺激するアートピースへと生まれ変わります。
クライミングホールドはまるで浮島のように造形され、クライマーを暗示するマネキンは最新のファッションを身に着けています。林立するビルの間、日常的な装いの人々がボルダリングというスポーツをするこのウィンドウディスプレイは、島々を渡り歩くというストーリーを背景に、現在の社会の在り方を変えていこうとするエネルギッシュな在り方を暗示しています。
パンデミックによる渡航制限や、政治によって分断された国交を、人が再び繋ぎなおしていきます。
昨今、二国間にデリケートな問題を抱えている地域も多いが、アート、ファッション、スポーツは、その間を自由に行き交うことのできるツールになりえると信じ、角はその可能性を今回のウィンドウの中にも表現しているのです。
 

アーティストプロフィール Artist Profile

角文平 Bunpei Kado

角文平は1978年福井生まれ、現在は東京を中心にアジアでも活動をする日本人のアーティスト。
瀬戸内国際芸術祭2013、奥能登国際芸術祭2017など国際展(芸術祭)にも名をつらね、将来を期待される作家のひとりである。角の作品の本質は日常の再発見である。角はいつも生活の中に在るありふれたものをパズルのように組み合わせることで、本来の機能や内容をずらし、新たな意味を生じさせようとする。技術の高さに柔軟な発想力と遊び心が合わさることでその作品は、面白さと不思議さを兼ね備え、実に多様な展開を見せている。角が作り上げる作品は時折、現代社会においての闇ともとれる重めのテーマを取り扱うが、そのとらえ方は分析的で常に明るくユニークである。その姿は一見すると玩具のように見えるポップさや、老若男女が理解しうる日常的な姿でうまく表現されている。仏人美術評論家クレリア・ゼルニック氏が角の作品を「軽さと重みの共存」が「現代社会の見えない矛盾や不条理を明らかにする」と評したように、角が作品に込める「軽やかな飛躍」はアートが果たす社会の役割を明確に指し示す。アートフェアや国際的なグループ展へも積極的に参加し、国内外の美術関係者から注目されている。