GINZA MAISON HERMÈS
Le Studio
『モリのいる場所』
Mori, the Artist's Habitat
もっと軽やかに:存在の欠くことのできない簡素さ
2022.10.8(土)~ 10.30(日)
(c) 2017「モリのいる場所」製作委員会
ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2022年のテーマは「もっと軽やかに」。
10月は、当時94歳の画家・熊谷守一”モリ”と妻・秀子の営む一軒家での素朴な日々を描いた『モリのいる場所』をお届けします。
『モリのいる場所』
Mori, the Artist's Habitat
2017年/日本/99分/カラー/デジタル上映
監督・脚本:沖田修一
エグゼクティブ・プロデューサー:永山雅也
プロデューサー:吉田憲一、宇田川寧
撮影:月永雄太
照明:藤井勇
美術:安宅紀史
録音:山本タカアキ
音楽:牛尾憲輔
出演:山﨑努、樹木希林、加瀬亮、吉村界人、光石研、
青木崇高、吹越満、池谷のぶえ、きたろう、林与一、三上博史
昭和49年。94歳の画家“モリ”こと熊谷守一は妻の秀子とともに東京都内の一軒家で暮らしている。30年間、自宅から出たことのないモリの日課は、庭の探索。決して大きくはないが緑生い茂る庭を、杖をついて歩き回り、植物や昆虫、魚、ときには石ころを、ただひたすらに観察するのだ。世俗から離れ、仙人と称されるモリではあるが、なぜか彼のもとには大勢の人間がやってくる。姪や隣人だけでなく、画商や写真家、老舗旅館の主人、そして正体不明の謎の男まで……。そんな賑やかで心豊かな暮らしと老夫婦の絆が、ある夏の一日を通して、味わい深く、ユーモラスに描きだされる。メガホンを取るのは『キツツキと雨』、『横道世之介』の沖田修一。モリとその妻秀子を初共演となる山﨑努と樹木希林が演じている。
監督について Director
沖田修一/Shuichi Okita
1977年生まれ。2001年、日本大学芸術学部映画学科卒業。2002年、短編『鍋と友達』が第7回水戸短編映像祭でグランプリを受賞。2006年、初の長編となる『このすばらしきせかい』を発表。2009年、『南極料理人』が全国で劇場公開されヒット、国内外で高い評価を受ける。2012年公開の『キツツキと雨』が第24回東京国際映画祭にて審査員特別賞を受賞し、ドバイ国際映画祭では日本映画初の3冠受賞を達成。2013年2月、吉田修一原作の『横道世之介』が公開。第56回ブルーリボン賞最優秀作品賞などを受賞。国内にとどまらず、海外でも高く評価される日本映画界の期待の監督である。近作に『子供はわかってあげない』(’21)、『さかなのこ』(’22)がある。
作品について About Film
守一は、30年ものあいだ自宅から一歩も外に出ていない。しかし、毎朝、旅に出るように庭に出ていく。妻の秀子もよく分かっていてこう訊ねる。「今日はどこへ行くの?」。都会の喧騒に囲まれた何の変哲もない緑の庭が、守一にとっては、動植物の驚異にみちた発見と驚きの宝庫なのだ。守一はその庭のまんなかに穴を掘り、そこで瞑想にふける。まるで宇宙の神秘を解き明かそうとしているかのようだ。
映画はそんな守一のいちにちを描く。カメラはほとんど敷地の外に出ない。守一の生き方をまねて、物語の舞台を小さく凝縮したのかもしれない。事件はなにも起きない。ただ、さまざまな人々がやってきて、ささいな出来事が生じる。招かざる客が訪れても、おだやかな暮らしは変わらず、むしろ客のほうが老夫婦のほがらかさに感化されてしまう。人々があつまる場面、特に食事のシーンは、劇伴の効果もあいまって、ほのぼのとした笑いを誘う。
本作には、日本映画を代表するふたりの名優が出演している。是枝裕和の作品を支えた樹木希林が、本作では妻の秀子を演じる。秀子はすべてにおいて控えめで、辛抱づよい性格だが、所作や表情にどこかユーモラスなところがある。画家を演じるのは、小林正樹や黒澤明の常連だった山﨑努である。山﨑が演じる老画家は、不愛想で、ほとんどひとことも喋らず、腰がまがり、杖をつきながら、よろよろと歩く。しかし、その眼には、自分の信じる生き方を決して曲げない意志の強さが現れている。俗事を離れ、世間の束縛を断ちきり、ものごとの本質だけを見つめて生きる。彼はもっともっと生きるつもりでいる。それだけ自由で幸せな人生を送っているのだ。
アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
公開スケジュール Schedule
【上映日】
10月8日(土)、9日(日)、10日(月・祝)、15日(土)、16日(日)、22日(土)、23日(日)、29日(土)、30日(日)
【上映時間】
11:00/14:00/17:00
会場 Access
銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
予約 Reservation
※このプログラムの上映は既に終了いたしております。
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