GINZA MAISON HERMÈS

Window Display

「エルメスの宇宙を覗き込んで」
Peering into the Hermès Cosmos

2022.8.4(木)~11.8(火)
銀座メゾンエルメスのウィンドウディスプレイは、街にひらかれた劇場です。さまざまなクリエイターの独創的な視点を通して、エルメスの世界観を表現します。

エルメスの2022年のテーマは「もっと軽やかに」。ウィンドウという空間を使い、さまざまな夢の世界に誘います。

正面の広いウィンドウの中には一人の女性がいます。彼女は立ち上がろうとしながら、眼前の天空を突き破り、その先の宇宙に触れようとしています。今回のウィンドウ「エルメスの宇宙を覗き込んで」は、人物が空の向こうを知ろうと宇宙に手を伸ばす様子を描いた古い木版画に着想を得ています。この木版画は作者不詳ですが、19世紀のフランスの天文学者カミーユ・フラマリオンが著書で挿絵に使用したことから「フラマリオン木版画」と呼ばれています。空が半球状のドームだと思われていた時代、宇宙という未知なる領域へ人々が抱いただろう畏怖と好奇心が表現された場面を、シャーナ・モールトンは独自の視点で再解釈しマルチメディアを用いて表現しました。
「エルメスの宇宙」では天空は薄いドームのオブジェで表され、宇宙はアニメーションで左右のメインウィンドウの背面に設置したLEDパネルに映し出されます。LEDパネルが映し出す宇宙のリング、星、星座、そしてエルメスのオブジェで構成された宇宙。この宇宙は、同じグラデーションの背景で作られた16個の小窓へも広がります。
人々の移動が著しく制限されたこの2年余り。家や国などのバリアを突き破る、宇宙でのショッピング、ファンタジーの世界への逃避行といった「軽やか」なアイディアは、多くの人の共有感情ではないでしょうか。かつて太陽と月、星が輝く宇宙を装置のようなものとしてとらえていた時代にその秘密を覗こうとした伝道師のように、シャーナの創り出した世界を通じて、観る者はウィンドウの向こうに広がる多彩なエルメスの宇宙へと、軽やかに飛び込むのです。

アーティストプロフィール Artist Profile

シャーナ・モールトン Shana Moulton
 
1976年カリフォルニア生まれ。ユーモアにどこか痛切な感覚を巧みに融合させたモールトンのビデオとパフォーマンスによる作品は他分野に広がり、彼女の分身であるシンシアを通して現代の不安を探求している。モールトンのシンボル、日用品、変容した状態の宇宙論が合体し、試練の際に起こるアンビバレントな自己認識を錬金術的なスナップショットとして形成する。作品制作を行う傍ら、カリフォルニア大学の教授としてビデオとパフォーマンスアートを教えている。作品はパリのパレ・ド・トーキョー、サンフランシスコのイエルバ・ブエナ芸術センターなど世界各地で展示され、注目されている。