GINZA MAISON HERMÈS
Le Studio
『幸福~しあわせ~』
Le Bonheur
もっと軽やかに:愛には愛を
2022.7.2(土)~ 7.31(日)
(c)agnes varda et enfants 1994
ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2022年のテーマは「もっと軽やかに」。
7月は、印象派の絵画を思わせる田園風景に、男女の機微を鋭く描いた『幸福~しあわせ~』をお届けします。
『幸福~しあわせ~』
Le Bonheur
1964年/フランス/80分/カラー/デジタル上映
監督・脚本:アニエス・ヴァルダ
撮影:ジャン・ラビエ、クロード・ボーソレイユ
音楽:ヴォルフガング・A・モーツァルト
美術:ユベール・モンユー
編集:ジャニーヌ・ヴェルノー
製作:マグ・ボタール
出演:ジャン=クロード・ドルオー、クレール・ドルオー、
サンドリーヌ・ドルオー、オリヴィエ・ドルオー
配給:ザジフィルムズ
パリ郊外のフォントネ。平凡だが実直なフランソワは、美しく裁縫が得意な妻テレーズと二人のかわいい子どもたちと暮らす。日曜日には家族そろってピクニックに出かけるような陽の光に祝福された幸せな日々を過ごしていた。そんなフランソワはある日、郵便局員のエミリーという女性と知り合い、いつしか深く愛し合うようになる。フランソワは二人の女性を同時に愛すことに喜びを覚え、妻テレーズにも打ち明ける……。人は誰しも幸福を求める生き物、でも、しあわせって一体なに?圧倒的なストーリーテリングと緩急自在の語り口で、一組の夫婦の皮肉な物語を無邪気にみつめる。ベルリン映画祭銀獅子賞を受賞したヴァルダの代表作。
監督について Director
アニエス・ヴァルダ/Agnès Varda
1928年5月30日、ベルギー、ブリュッセル生まれ。第二次世界大戦中に母の出身地である南仏の港町セートへ疎開。パリのソルボンヌ大学で文学と心理学を専攻した後、パリ国立高等美術学校で写真を、エコール・デュ・ルーブルで美術史を学ぶ。フランス国立民衆劇場(TNP)では専属カメラマンを務めた。1954年に自主制作による長編劇映画『ラ・ポワント・クールト』で監督デビュー。セートで撮影された本作はヌーヴェル・ヴァーグの嚆矢となる。その後も『5時から7時までのクレオ』('61)、『歌う女・歌わない女』('77)、『冬の旅』('85)など生涯にわたり多くの作品を生み出した。1962年には映画監督のジャック・ドゥミと結婚し、二人の子供をもうけている。2019年2月、自身の60年以上に及ぶキャリアを振り返る『アニエスによるヴァルダ』でベルリン国際映画祭に参加するが、翌月の3月29日パリにて死去、その90年の生涯に幕を閉じた。
作品について About Film
幸福とは何だろうか。美しい自然のなかで過ごすことも幸福である。この映画に映しだされる自然は、印象派の風景を思わせる。事実、劇中には、映画監督ジャン・ルノワールが父である画家のオーギュスト・ルノワールに捧げた『草の上の朝食』がさりげなく引用されている。幸福とはまた、主役のフランソワとテレーズのように、お互いに愛しあうことでもある。映画は、モーツァルトの優しい調べにのせて、フランソワとテレーズの幸せな暮らしをおだやかに描く。妻は縫い物をし、夫は木工の仕事に精をだし、子供たちは遊びに夢中になる。みんなが機嫌よく過ごしている。家族の団欒を乱すものはどこにもない。理想的な家族と言ってもいいだろう。
牧歌的な映像が続き、甘い会話がかわされる。突然、悲劇が生じる。そして、人生は続く。幸せの追求はどこまでも続くのだ。愛される女が、次の女に代わる。まるで主役が降板し、代役があとを引き継いだかのようだ。気味が悪いほどの自然さで進行するこの交代劇について、映画は何の判断も下さない。心理的な描写も行わない。幸福にはさまざまな形がある。ヴァルダはそう言いたいのかもしれない。ただし、そこには背徳の匂いが漂う。フランソワは「もっと幸福になる」ことを望む。その自分本位の欲望が、悲劇を引き起こしたのだ。幸せな家族の色鮮やかな掌編が、残酷な物語に変わる。アニエス・ヴァルダは言う。「幸福はその絶頂において破壊に転じる。幸福とは、虫が潜んでいる夏の果実なのだ」。
アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
公開スケジュール Schedule
【上映日】
7月2日(土)、3日(日)、9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)、18日(月・祝)、23日(土)、24日(日)、30日(土)、31日(日)
【上映時間】
11:00/14:00/17:00
会場 Access
銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
予約 Reservation
※このプログラムの上映は既に終了いたしております。
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