GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『マリー・アントワネット』
Marie-Antoinette

もっと軽やかに:世間から遠く離れて
2022.5.1(日)~ 5.29(日)

(c) 2005 I Want Candy LLC.

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2022年のテーマは「もっと軽やかに」。

5月は、フランス革命の時代に、数奇な運命に翻弄された王妃の、等身大の女性としての姿を描いた『マリー・アントワネット』をお届けします。
 

『マリー・アントワネット』
Marie-Antoinette

2006年/アメリカ・フランス/123分/カラー/デジタル上映

監督・脚本:ソフィア・コッポラ
製作:ロス・カッツ、ソフィア・コッポラ
製作総指揮:フレッド・ルース、フランシス・フォード・コッポラ
原作:アントニア・フレイザー『マリー・アントワネット』
撮影:ランス・アコード
音楽プロデューサー:ブライアン・レイツェル
衣装デザイン:ミレーナ・カノネロ
出演:キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、スティーヴ・クーガン、
アーシア・アルジェント、マリアンヌ・フェイスフル、ジェイミー・ドーナン
配給:東北新社/東宝東和

ソフィア・コッポラが80年代のヒットチューンにのせて描くマリー・アントワネットの半生。オーストリア・ハプスブルク家の末娘アントワーヌはフランスとの同盟強化のため、王太子ルイ・オーギュスト(後のルイ16世)のもとへ嫁ぐことに。わずか14歳の少女はフランス王太子妃マリー・アントワネットとなり、ヴェルサイユ宮殿に迎え入れられるが、そこは決して心安らぐ場所ではなかった。厳格な儀礼に縛られた生活は窮屈極まりなく、宮廷内の人間関係は複雑怪奇で煩わしい。世継ぎを待望する周囲の重圧、夫婦の営みを拒む夫とのすれ違い。しかし何事にも臆することなく自然体で生きるアントワネットは、ファッションに熱中し、パーティーで夜を明かし、時には道ならぬ恋に身を焦がす。そんな等身大の女性としてのアントワネットの14歳から30歳までの心の軌跡をソフィア・コッポラ作品常連のキルスティン・ダンストが見事に演じきっている。

監督について Director

ソフィア・コッポラ/Sofia Coppola

1971年5月14日、アメリカ合衆国ニューヨーク生まれ。父親は映画監督のフランシス・フォード・コッポラ、母親はドキュメンタリー監督のエレノア・コッポラ。カリフォルニア芸術大学で絵画を短期間学んだのち、1995年に友人とファッションブランドを設立。90年代後半に2本の短編映画を制作。そして1999年にジェフリー・ユージェニデスの小説が原作の『ヴァージン・スーサイズ』で長編監督デビュー。2003年に発表した『ロスト・イン・トランスレーション』では脚本・監督・製作を務め、アカデミー賞脚本賞を受賞。商業的にも大成功を収め、ソフィアを一躍スターダムへと押し上げた。2010年、『SOMEWHERE』で第67回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。2017年には『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』で第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で監督賞を受賞した。

 

作品について About Film

マリー・アントワネットは、歴史上の人物として数多くの絵画や映画に取り上げられてきた。いつの時代も、彼女はひとびとを惹きつけ、同時に、多くのひとから忌み嫌われてきた。そんなマリー・アントワネットが、今では一種のファッションアイコンとなり、リバイバルブームさえ起きているのだ。そのブームの火付け役となったのが、ソフィア・コッポラにほかならない。そして、最近パリで開催された展覧会によって、マリー・アントワネットの人気はさらに高まった。望まぬ結婚によってフランス王妃となったオーストリア出身の少女を回顧する大展覧会が開かれ、盛況を博したのである。

アメリカ出身のソフィア・コッポラは、ヴェルサイユの宮廷を斬新なスタイルで描きだした。冒頭のクレジットからすでに、独特のタイポグラフィやBGMのパンクロックによって、そのスタイルが示される。ソフィア・コッポラはあえて時代錯誤を犯し、毒のある視線を18世紀に向けるのだ。確かに、本作にも、お決まりの豪華絢爛な「鏡の間」や「フランス式庭園」が登場する。しかし、コッポラはあくまでアナクロニズムを追求する。王妃のクローゼットでは、美しいパンプスのあいだにスニーカーが紛れこみ、若き貴族たちは現代の若者のように話し、煙草をくゆらせ、踊りつづける。

映画は、金髪の少女がまどろむ場面から始まる。そのあどけない寝顔に続いて、画面には、壮麗な宮殿が映しだされる。そして、王妃となるべき彼女の運命を告げる母マリア・テレジアの声が、その宮殿の映像に重なる。マリー・アントワネットの肖像を描くにあたり、ソフィア・コッポラはふたつの対立するイメージを用いた。思春期のマリー・アントワネットはさまざまな感覚に目覚め、気ままに振舞う。その一方で、彼女の生活にはまるで自由がなかった。宮廷では、誰もが自分に与えられた役を演じなければならない。王も王妃も宮廷儀礼に縛られ、どんな時でも規則を守り、貴族や召使いたちに見られながら暮らさなければならないのだ(王は、王妃よりも少しだけ自由に生きられる)。ある意味、彼らの暮らしは現代のセレブの生活と変わらない。現代のセレブたちは、王侯貴族であってもそうでなくても、四六時中、ひとびとからカメラを向けられて生きているのだ。

ソフィア・コッポラは、本作以前にも、退屈と憂鬱から逃れようとするヒロインを描いている。祖国からも家族からも引き離されたマリー・アントワネットは、現代のファッショニスタと同じく、パーティに明け暮れ、欲望のおもむくままに消費をくりかえす。盛りに盛った髪型とカラフルなスイーツが、ミュージックビデオのように次から次へと映しだされる。若き王妃は、女の子らしさと快楽を象徴するパステルカラーに囲まれて安穏と暮らしていた。革命がすぐ近くにまで迫り、すべてを覆そうとしていることに彼女は気づいていなかった。飢えた民衆の叫びが遠くから聞こえてきたとき、少女はようやく大人になった。そして、彼女が思春期に戻ることはもう二度となかった。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

公開スケジュール Schedule

【上映日】
5月1日(日)、2日(月)、3日(火・祝)、4日(水・祝)、5日(木・祝)、7日(土)、8日(日)、14日(土)、15日(日)、22日(日)、28日(土)、29日(日)

【上映時間】
11:00/14:00/17:00

 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)

 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。