GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『まぼろしの市街戦』
Le Roi de cœur

もっと軽やかに:歴史の流れに逆らって
2022.4.2(土)~ 4.30(土)

(c) 1966 – Indivision Philippe de Broca

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2022年のテーマは「もっと軽やかに」。

幕開けとなる4月は、フランスの名匠フィリップ・ド・ブロカが戦争の狂気や愚かしさを諷刺とともに描いた傑作『まぼろしの市街戦』をお届けします。
 

『まぼろしの市街戦』
Le Roi de cœur

1967年/フランス・イギリス/103分/カラー/デジタル上映

監督・製作:フィリップ・ド・ブロカ
脚本:ダニエル・ブーランジェ、フィリップ・ド・ブロカ
撮影:ピエール・ロム
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:アラン・ベイツ、ピエール・ブラッスール、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド、
フランソワーズ・クリストフ、ミシュリーヌ・プレール、フランソワーズ・クリストフ、
アドルフォ・チェリ、ジャン=クロード・ブリアリ
配給:パンドラ


フランスの名匠フィリップ・ド・ブロカが、笑いによって人生の悲惨さや戦争の愚かしさに対抗したコメディー映画の傑作。
1918年10月、第一次世界大戦末期のフランス北部の町。敗色濃厚なドイツ軍は撤退の間際に大型時限爆弾を仕掛け、進軍してくる英国軍を町ごと吹き飛ばそうと画策していた。情報を察知した英国軍は爆弾を解除すべく、伝書鳩係のプランピックを町へ潜入させる。敵に見つかったプランピックは精神科の療養所に逃げ込み事なきを得るが、そこでは取り残された患者たちがトランプ遊びに興じていた。住民も敵兵も去り無人となった町で、必死に爆弾を探すプランピック。だが彼を“ハートの王”と崇め、お祭り騒ぎに興じる患者たちのせいで捜索は一向に進まない。はたしてプランピックは時限爆弾を無事解除できるのか?その運命やいかに!

監督について Director

フィリップ・ド・ブロカ/Philippe de Broca

1933年3月15日、パリ生まれ。高校卒業後、パリの写真・映画学校で学ぶ。その後、自動車メーカーが行っていたアフリカ横断遠征に参加。兵役に就いてからは陸軍の映画局に身を置き、アルジェリア戦争のニュースフィルムなどを制作する。兵役後はパリに戻り、アンリ・ドコワンの助手や、クロード・シャブロルの『美しきセルジュ』('58)、フランソワ・トリュフォーの『大人は判ってくれない』('59)などの助監督を務めた。シャブロルの勧めもあり1960年に『Les Jeux de l'amour』で長編監督デビュー。その後、ジャン=ポール・ベルモンドと組んだ『大盗賊』('62)、『リオの男』('64)などで人気を博す。2004年に『Vipère au poing』を完成させるが、公開翌月の11月26日に71歳で死去。

 

作品について About Film

1918年10月。史上最大の被害をもたらした第一次世界大戦もついに終わろうとしていた頃、北フランスのありふれた小さな町で、物語が始まる。石造りの古い家屋がたち並び、教会とその鐘楼が広場に面して聳えている。突然、サーカスの演し物が始まったかのように、仮装を凝らしたひとびとや、さまざまな動物たち、敵味方の兵士がいり混じり、往年の無声映画のようなドタバタが繰り広げられる。
ド・ブロカのコメディは、奇想天外なシチュエーションを軽妙なタッチで描くことで知られる。本作でも、ド・ブロカは、中世に盛んに行われた「阿呆祭」の舞台を20世紀に置き換え、自由奔放な物語を紡ぎだしていく。精神科病院の患者たちがカーニバルの行列のように浮かれ騒ぎ、街を練り歩く。イギリス軍の通信兵が「ハートのキング」を名乗り、患者たちから王様にまつりあげられる。通信兵は自分の部隊にもどるよりも、彼らとともに町に残ることを選ぶ。
ド・ブロカは、アルジェリア戦争に従軍したことで心に傷を負った。その傷ゆえに、彼は笑いによって人生の悲惨さに対抗しようと決意した。その信条がもっともよく表れているのが、本作「まぼろしの市街戦」である。この奇妙な喜劇の背後には、明らかに、反戦的な寓話が隠されている。攻撃的な本能のままに殺しあう人間の狂気が、強烈に諷刺されている。
ド・ブロカは、人間とその虚栄心をつぶさに観察する。ひとびとを優しく見つめながら、すべての登場人物をひとりのこさず戯画化していく。ドイツ人は大げさな身振りで大声を張り上げ、イギリス人はキルトを身につけ紅茶をたしなむ。精神科病院から逃げてきたフランス人たちは、仮装用の衣装に袖を通すだけで、将軍や貴族や娼婦になりきってしまう。こうした多種多様な役柄を演じさせるために、ド・ブロカは人気俳優をあつめた。どの役者も喜劇を得意とし、暴力とは無縁の患者たちをとても楽しそうに演じている。しかし、この偉大な不条理劇は、灰色のメランコリーに縁取られている。ジャン=クロード・ブリアリが演じる登場人物のせりふには、まちがいなく、フィリップ・ド・ブロカ自身の思いが示されている。「この世界を愛するためには、そこから距離を取らなければならないのだ」。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

公開スケジュール Schedule

【上映日】
4月2日(土)、3日(日)、9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)、23日(土)、24日(日) 、27日(水)、30日(土)

【上映時間】
11:00/14:00/17:00

 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)

 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。