GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『加恵、女の子でしょ!』KAE, Act like a Girl!
『BURN OUT』
『私の部屋』Une chambre à moi​

エルメスのオデッセイ:闘う女性たち
2021.12.4(土)~ 12.26(日)

『加恵、女の子でしょ!』(c) Studio Idemitsu 『BURN OUT』(c) l’école de l’image 『Une chambre à moi 私の部屋』 (c) Kazak Productions

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
※新型コロナウイルス感染拡大防止として、引き続き座席数を40席から30席に減らしての開催となります。
2021年のテーマは「エルメスのオデッセイ」。

2021年、ル・ステュディオ・エルメスでは、「オデッセイ」をテーマにしたプログラムをご紹介していきました。
締めくくりとなる12月は、女性監督による3作品のプログラムを上映します。異なるフォーマット、スタイル、美学を持つヒロインたちは、固定観念や男性の支配に抗して、自分の人生を手にする女性たちです。

出光真子の『加恵、女の子でしょ!』の主人公は、家庭や仕事上の環境によって女性や妻という立場に固定され、作品を正当に評価されなかった現役のアーティスト。日本の実験映画の先駆者の一人でもある出光の作品の中で、女性のオデッセイの物語を批判的な視点と愛情をもって描いています。
セシル・カレの『BURN ONT』は、それまで下働きに徹していた宇宙飛行士が、子供の頃の夢を思い出し再び宇宙への挑戦を決意する物語を描いた繊細で詩的なアニメーションフィルムです。
マネーレ・ラビディの『私の部屋 Une chambre à moi』は、パリの若い主婦が、アパート内のパートナーとの縄張り争いを、ユーモアを交えて描いています。彼女は、アパートの中のある場所への出入りを禁じ、そこで、本を書くのに必要なインスピレーションを得ることができました。

真の意味での闘争、あるいは闘いである、プログラムのタイトルには「Women at war/闘う女性たち」が相応しいでしょう。

*3作品連続上映(約69分、ブルーレイ)

『加恵、女の子でしょ!』
KAE, Act like a Girl!

1996年/日本/47分

アーティスト:出光真子

シモーヌ・ド・ポーボワールの「第2の性」から着想し、芸術家カップルに起こる問題を描く。加恵が自分の制作のための時間とエネルギーを家事や雑用に使い、夫の制作が優先されていく背景には、子供時代にうけたしつけなどが心理学的な要因となっている。女なら誰でも思い当たる“女の子でしょ”の一言、一度はそれに負けてしまうのだが、自己の制作意欲を見つめなおし打ち勝っていく、プロジェクターを使った新しい映像技術が冴える作品。

 

『BURN OUT』

2017年/フランス/5分

監督&脚本:セシル・カレ

宇宙基地で整備工として働くステラは宇宙船の故障により無人の惑星に不時着してしまう。バッテリーの電力も尽き、途方に暮れるしかない。そんな彼女の前に突然ひとりの少女が現れる。少女を追って洞窟に入り込んだステラであったが、そこには子供時代の夢を呼び覚ます物があふれていた。

 

『私の部屋』
Une chambre à moi

2018年/フランス/17分

監督&脚本:マネーレ・ラビディ

作家のジュナは、パートナーのレオと彼との間に生まれた赤ん坊と一緒にパリの狭小アパートで暮らしている。押しつぶされそうな狭い空間ではインスピレーションがまるで湧かない。そこで彼女はトイレに閉じこもり、レオに立ち入り禁止を命じる。

監督について Director

出光真子/ Mako Idemitsu

1940年、東京生まれ。メディア・アーティスト。1940年、出光興産創業者・出光佐三の四女に生まれる。お茶の水女子大学附属小・中・高から早稲田大学第一文学部に進む。卒業後ニューヨークへ留学。抽象画家サム・フランシスと結婚。二児の母。妻であり母であることを超える創造表現への想いやみがたく、映像作家の道を歩む。自身の経験からフェミニズムをベースに、家庭における親と子、表現者として女性が生きる際の社会的摩擦などを問いつづける。著書に『ホワット・ア・うーまんめいど─ある映像作家の自伝』(岩波書店、2003)など。

セシル・カレ/ Cécile Carre

フランス出身のアニメーション作家。モントリオール理工科大学を卒業後、エンジニアとして働いていたが、アニメーション制作を志しゴブラン美術学校に入学。2017年の『BURN OUT』は卒業制作である。現在は米国を拠点に、アニメーター、ストーリーアーティストおよびビジュアルデベロップメントアーティストとしてネットフリックスをはじめとしたアニメーション制作の現場で活躍している。

マネーレ・ラビディ/ Manele Labidi

1982年、パリ生まれ。フランスとチュニジアにルーツを持つ脚本家・映画監督。大学で政治学と経済学を学び、卒業後は数年間、金融業界で働く。その後、演劇やラジオ、テレビ番組の脚本を書くようになり、2018年に短編『私の部屋』で監督デビュー作。そして2019年には長編『Un Divan à Tunis』を監督した。

 

作品について About Film

この世界には、女性にしか知られていない冒険があります。数世紀にわたり、女たちは、男と同じ権利を手にするために闘ってきました。今回のプログラムで紹介するのは、女性が監督した3つの短編映画です。主人公は、アーティストや科学者の女性たち。男は、時にあからさまに、時に狡猾な手段で、女性を支配してきましたが、彼女たちはそんな男性の支配に抵抗します。有名な「ガラスの天井」を突き破り、男たちが独占してきた地位に手をのばすのです。
アニメーション、コメディ、実験映画。今回の3篇は、作品のスタイルも雰囲気もそれぞれ異なります。『BURN OUT』は、女性宇宙飛行士を主人公とした数分間の短い作品です。脇役的な立場に甘んじ、危険なミッションに参加するという栄光を自らに禁じてきた主人公に、意識の変化が訪れます。セシル・カレ監督は、少女の世界をアニメによって描き、子供でも興味をもちやすい作品をつくりました。
マネーレ・ラビディの『私の部屋』は、パリの小さなアパルトマンで繰り広げられる縄張り争いを、ユーモアとリアリズムを交えて描いた作品です。主人公の若い女性作家は、インスピレーションを見つけるために、母親の役割から離れ、独りきりになれる時間をもちたいと思っています。想像力にあふれる彼女は、毅然たる態度で、パートナーにトイレの使用を禁じ、その小さな空間であらゆることをやってのけます。こうして、ちょっとおかしな状況が生まれます。
出光真子の『加恵、女の子でしょ!』は、シモーヌ・ド・ボーヴォワールの有名な言葉「人は女に生まれるのではない。女になるのだ」から着想を得ています。主人公の加恵は、女は何よりもまず妻や母としての役割を果たすべきであるという伝統的な固定観念に立ち向かいます。しかし、加恵はアーティストでありながら作品をつくる時間もほとんど持てず、まわりの人間から絶えず批判や中傷を浴びせられています。加恵が自分の作品を見せようとすると、画面がふっと切り変わり、家族から長年にわたって抑圧されてきた記憶が映しだされます。演劇の舞台のようにシンプルな空間で、役者たちは大げさな科白とオーバーな演技で、男女の対立と偏見を誇張して見せます。出光真子は、加恵の物語をつうじて、日本社会における女性の立場を示します。日本の女たちは、小さな頃から男性に逆らわず、その権威に従うようにしつけられてきました。ようやく「解放」された加恵は、最後の作品で自らの苦悩を暴力的に表現します。加恵はそのとき、赤い花を想像しました。女性性のシンボルであるその赤い花には、針が何本も突き立っているのです。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 
 

公開スケジュール Schedule

【上映日】
12月4日(土)、5日(日)、11日(土)、12日(日)、18日(土)、19日(日)、25日(土)、26日(日)

【上映時間】
11:00/14:00/17:00

 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)

 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。