GINZA MAISON HERMÈS
Le Studio
『幸せを作る日々』
L'invention des Jours Heureux
『青い犬』
Chien Bleu
『REEL-UNREEL』
イノベーションの動き:夢は作り出される
2020.12.5(土)~ 12.27(日)
ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
※新型コロナウイルス感染拡大防止として、引き続き座席数を40席から30席に減らしての開催となります。
2020年のテーマは「イノベーションの動き」。
12月は、現代生活の中で、自ら夢を作り出しながら日々生きてゆく人々の姿を描いた作品を紹介します。
偽りの幸福を演じながら、真の幸福を模索する移民の女性2人の『幸せを作る日々』。
孤独から逃避するかのように青色に囚われた父親と暮らす息子の『青い犬』。
内戦下の街で映画のリールを転がしながら遊ぶ子どもたちを写したフランシス・アリスのアートフィルム『REEL-UNREEL』。
国籍や文化を超えて共鳴する友愛を描く短編をどうぞお楽しみください。
『幸せを作る日々』
L'invention des Jours Heureux
2011年/フランス/26分
監督:サンドリーヌ・デュマ
脚本:サンドリーヌ・デュマ、ナタリア・レイエス
出演:エカテリーナ・ゴルベワ、リー・ヤンヤン
製作:ポーリーヌ・マリノ、ジェローム・ザイデルマン
撮影:マルク・テヴァニアン
フランスで暮らす二人の外国人女性。中国系移民のメイは写真館でのアルバイト、ロシア系移民のオルガは自宅で裁縫の内職をしながら生計を立てている。何の関わりもない二人に共通しているのは、移民としての冴えない現実とは違う〈偽りの幸福〉を演じていること。かたや故郷の母のため、かたや見ず知らずの同胞のために。
『青い犬』
Chien Bleu
2018年/フランス/17分
監督&脚本:ファニー・リアタール&ジェレミー・トロイル
製作:ポーリーヌ・アッタル
撮影:ヴィクトル・セギャン
出演:ミシェル・ピション、ロッド・パラド、マリアム・マカロウ
パリ近郊の低所得者向け団地で暮らす父と息子。外の世界に耐えられず、自宅に引きこもる父親のエミールは家中のあらゆるものを青一色に染めてしまう。ある日、息子のヨアンは青いサリーをまとった少女ソラヤと出会う。インド舞踊を習う彼女はエミールの助けになればと1枚の絵を手渡すのだが……。
『REEL-UNREEL』
2011年/アフガニスタン/19分
アーティスト:フランシス・アリス
ジュリアン・ダヴォー(映像作家)、アジマル・マイワンディ(建築家)との協働による作品
アフガニスタン、カブールの旧市街。道端では子供たちが自転車の車輪を転がして遊んでいる。それと同じ要領で映画のフィルムが巻かれたリールを転がす二人の少年。赤いリールを転がす少年は巻かれたフィルムをほどいてゆき、青いリールの少年はそのフィルムを巻き取ってゆく。二つのリールは、路地や階段、市場や坂道、街中を延々と転がり続ける。まるでフィルムが尽きることなく無限であるかのように。
監督について Director
1963年、フランス生まれ。80年代前半から女優として活躍し、エルマンノ・オルミの『聖なる酔っ払いの伝説』('88)、ミロス・フォアマンの『恋の掟』('89)、クシシュトフ・キェシロフスキの『ふたりのベロニカ』('91)などに出演している。90年代後半からは監督・脚本家・プロデューサーとしても活動し数々の作品を手掛けている。
ファニー・リアタール&ジェレミー・トロイル/Fanny Liatard & Jérémy Trouil
女性と男性の映画監督コンビ。2000年代にパリ政治学院にて出会い、その後、共同制作を開始。2015年に初の短編『Gagarine』を監督。『青い犬』('18)は2020年のセザール賞短編映画賞にノミネート。処女短編を再構築した初の長編『Gagarine』が2020年のカンヌ国際映画祭においてオンライン上映された。
フランシス・アリス/Francis Alys
1959年、ベルギー、アントワープ生まれ。メキシコを拠点とするコンセプチュアルアーティスト。政治・社会問題をテーマにしたパフォーマンス、映像、絵画、写真などの作品で知られる。ベルギーとイタリアの大学で建築を学ぶ。1986年に震災復興支援の一環でメキシコシティを訪れたことがきっかけでメキシコに移住。以降、同地を拠点に芸術制作を行っている。ロンドンのテート・モダン、ニューヨーク近代美術館など世界各地で個展が開催され、2013年には日本でも東京都現代美術館において個展が開かれた。代表作に「信念が山を動かす」「実践のパラドクス1(ときには何にもならないこともする)」、「川に着く前に橋を渡るな」などがある。
作品について About Film
まさにそのようにして、ひとりの男が、奇妙な恐怖症にとりつかれて暮らしている。おそらく妻とは別れたのだろう。今は息子とふたり暮らし。自分を病人と信じ、青い色に囲まれてなければ生きていけないと頑なに思い込んでいる。すべての画面に、青い色があふれる。部屋のなかだけでなく、男が暮らす団地もまた夜の青さに包まれる。そして、クリストフの名曲「青い言葉」がBGMに流れる。
美しい観光地とは趣きを異にするパリの街角。それぞれ違う国からやってきたふたりの移民女性が、夢を売って細々と暮らしている。彼女たちはウソの写真によって、幸福の幻想をつくりだす。まぼろしを求めるのは、写真を注文する客だけではない。彼女たちもほんの束の間、その幻想に身をゆだねるのだ。
幸いなことに『青い犬』でも『幸せを作る日々』でも、偶然の出会いによって救いがもたらされる。インド舞踊を習っている少女や、破れたウェディングドレスが、ひとびとの距離を縮め、孤独に終止符をうつ。
どちらの作品でも、室内と屋外が交互に映しだされる。繭のように私たちを外部から守ってくれる個人的な世界のあとに、コンクリートに覆われた都会の風景があらわれる。監督たちはそのような方法によって、社会的な軋轢や現実の過酷さを画面にさりげなく取り込むのである。
しかし、それだけではない。ダンスや色彩の鮮やかさが男を救い、民族の違いを超えて友情が生まれるとき、人間の美しさ、優しさ、希望が、スクリーンにあらわれるのだ。それと同じ希望が『REEL-UNREEL』からも伝わってくる。荒廃したカブールの街で撮影されたこの実験的な作品は、世界の混乱を正面から映しだす。ふたりの少年が、映画フィルムのリールを輪回しのように転がしながら坂道を駆けおりていく。少年たちは気づいてないが、彼らが繰り出し、巻き取るのは、命の糸にほかならない。検閲によって支配された国では、こどもの遊びが、政治的な行為になるのだ。
アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
公開スケジュール Schedule
12月5日(土)、6日(日)、12日(土)、13日(日)、19日(土)、20日(日)、26日(土)、27日(日)
上映時間
11:00/14:00/17:00
会場 Access
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
予約 Reservation
お知らせ
詳細は随時、本サイトにてお知らせいたします。
来年も皆様にお楽しみいただけるプログラムを目指して参りますので、引き続きご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。