GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『ワイルド・ライフ』
Vie Sauvage

イノベーションの動き:野生への逃亡
2020.10.3(土)~ 10.31(土)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
※新型コロナウイルス感染拡大防止として座席の間隔を確保するため、席数を30席に減らしての開催となります。
2020年のテーマは「イノベーションの動き」。

10月は、社会から離れ、自然の中で子どもを育てる理想を貫く父親とその家族の運命を描いた『ワイルド・ライフ』をご覧ください。

 

『ワイルド・ライフ』
Vie Sauvage

2014年/フランス/106分/カラー/デジタル上映

監督:セドリック・カーン
製作:クリスティーナ・ラーセン、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
脚本:セドリック・カーン、ナタリー・ナジェム
撮影:イブ・カプ
音楽:マティアス・デュプレシー
出演:マチュー・カソヴィッツ、セリーヌ・サレット、ジュール・リトマニック、ロマン・デプレ
字幕:高部義之
協力:東京国際映画祭

フランス北部、森のひらけた場所に置かれたトレーラーハウス。パコとノラの夫婦は幼い息子たちとともに、ここで家畜を飼い、自給自足の生活を送っていた。しかし、そんな暮らしに嫌気が差した妻のノラは、夫のパコが出かけた隙に息子たちを連れて実家へ逃げてしまう。すぐさま連れ戻しに行くパコだったが、妻には拒絶され、親権を理由に息子たちとも引き離される。1年後、パコは面会交流を利用し、息子のツァリとオケサを1週間の予定で預かるのだが、彼には子供を妻のもとへ帰す意思などなかった。警察から誘拐犯として追われることになったパコは息子たちとともに牧場やコミューンなどを転々としながら逃亡生活を続けるのだった。それから10年が経ち、ツァリとオケサも思春期を迎える。町の若者と交流するうちに新たな価値観が芽生え始めるのだが、頑なに信念を曲げない父親との折り合いは悪くなるばかり。そこで二人が下した決断は……。

フォトクレジット:(c)Carole Bethuel

 

監督について Director

セドリック・カーン/Cedric Kahn

映画監督、俳優。1966年フランス生まれ。1991年、長編初監督作である『Bar des rails』をヴェネツィア国際映画祭に出品。1994年には『Trop de bonheur』でジャン・ヴィゴ賞とカンヌ国際映画祭ジュネス賞を受賞。1998年、『倦怠』でルイ・デリュック賞を受賞。2001年、『ロベルト・スッコ』がカンヌ国際映画祭でコンペティション部門にノミネートされる。その他『チャーリーとパパの飛行機』('05)、『Les regrets』('09)、『よりよき人生』('11)、『Fête de famille』('19)などを監督。俳優としても活躍しており、『おとなの恋の測り方』('16)などに出演している。
 

作品について About Film

『ワイルド・ライフ』は、3部構成の家族ドラマであり冒険物語である。夫婦が互いに罵りあい、子供たちを奪いあう短いプロローグから、映画は始まる。そして、その冒頭の場面より少しだけ長いエピローグで、母親が11年ぶりに子供たちと再会する。このふたつのシーンにはさまれて本篇をなすのが、父親パコの果てしない逃亡生活である。9歳のツァリと8歳のオケサを連れて、パコはフランスの森や野原をさまよう。「おれたち、インディアンみたいだな」。息子たちにも火のまわりでダンスを躍らせながら、パコがつぶやく。彼らは自然や動物と共存し、原始的な暮らしをいちから作りあげていく。監督のセドリック・カーンは透徹したリアリズムで、3人の逃避行を描きだす。父と息子の暮らしに、いくつもの幸福な場面がおとずれる。だが、それだけではない。画面には、社会の外で暮らすことの不便さや不安定さ、当局に保護されるかもしれないという不安などが映しだされる。セドリック・カーンが主役を託したのは、彼同様、監督だけでなく俳優業もこなす、マチュー・カソヴィッツである。カソヴィッツは長髪をうしろで束ね、眼差しに怒りを秘めながら、パコの役を熱演した。パコは魅力的な人物だが、父親の権威をふりかざし、現実をけっして認めようとしない。息子たちが成長したことを認めず、かれらを社会から切り離したままにしておくことには大きな代償が伴うことを直視しないのだ。
『ワイルド・ライフ』は、2000年代にフランスで実際に起きた事件をもとに作られた。事件の当事者である両親は、のちに、それぞれの視点から事件について記録をのこした。子供を奪われた母親は『息子たちの名において』を出版し、父親は『システムの外部』のなかで主に周縁性のテーマを扱っている。セドリック・カーンが下敷きにしたのは、父親が書いたほうの記録だが、かならずしも父親の意見を支持しているわけではない。カーンは、父親の過激な行動を断罪も肯定もしない。むしろ、カーンがこの作品で示そうとしたのは、21世紀の現代において、社会システムから完全に抜け出すことがいかに難しく、ユートピアはかならず現実に逢着せざるをえないという事実である。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

公開スケジュール Schedule

上映日
10月3日(土)、4日(日)、10日(土)、11日(日)、17日(土)、18日(日)、24日(土)、25日(日)、31日(土)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。