GINZA MAISON HERMÈS
Le Studio
『モデルカップル』
Le Couple Temoin
イノベーションの動き: 最先端の幸福
2020.9.19(土)~ 9.27(日)
ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
※新型コロナウイルス感染拡大防止として座席の間隔を確保するため、席数を25席に減らしての開催となります。
2020年のテーマは「イノベーションの動き」。
7・8月は会場をオンラインシネマとして開催していたル・ステュディオの上映会は9月より再開致します。
9月は、約40年前にプログラムされた幸福な未来、最先端の生活実験でモニタリングされるカップルを描いた風刺喜劇『モデルカップル』をご覧ください。
『モデルカップル』
Le Couple Temoin
1977年/フランス/101分/カラー/デジタル上映
監督・脚本:ウィリアム・クライン
製作:ロジェ・フレイトゥ
撮影:ウィリアム・クライン、フィリップ・ルースロ
音楽:ミシェル・コロンビエ
出演:アネモーネ、アンドレ・デュソリエ、エディ・コンスタンティーヌ、ジャック・ブーデ、ジョルジュ・デクリエール
幸福をプログラムしようとする社会の不条理を描いたウィリアム・クラインの諷刺喜劇。未来省の都市計画により建設が進められるニュータウン。クローディーヌとジャン=ミシェルは、そこで行われる〈モデルカップル〉という実験に参加するためやってきた、ごく平均的なフランス人の若い夫婦だ。二人は社会心理学者たちの監視の下、最新の家電や家具を備えた2000年式の部屋で暮らすことになるのだが、その生活は、睡眠、食事、セックス、喜怒哀楽の感情にいたるまで、ありとあらゆる事象がモニタリングされ、一部始終がテレビ番組として全国に中継されるというものだった。次第に増してゆくストレスの中、学者たちの言動にイラつき、実験の意義に疑問を持つようになる。ついには二人の関係にも亀裂が入り、人間と都市の共生を謳う最先端の部屋には不協和音が響き始める。
フォトクレジット:(c)William Klein_Films Paris New York
監督について Director
写真家、映画監督。1928年、ニューヨーク市生まれ。1942年にニューヨーク市立大学に入学。1946年から2年間、陸軍に入隊しドイツとフランスに駐留。1948年、パリのソルボンヌ大学に入学。その後、フェルナン・レジェに師事し絵画を学ぶ。1952年、イタリア人建築家アンジェロ・マンジャロッティとのコラボレーションを行う。1954年から写真家としての活動を本格化させ、1957年には写真集『NEW YORK』でナダール賞を受賞。『ヴォーグ』誌のアートディレクターであるアレクサンダー・リーバーマンと出会いファッション写真の分野で活躍。映像作品においては、1958年の短編を皮切りに数々のドキュメンタリーを制作、長編劇映画でも『ポリー・マグーお前は誰だ』('66)、『ミスター・フリーダム』('69)などを監督した。2018年には写真展のため約30年振りに来日を果たしている。
作品について About Film
空地に建てられたマンションの一室。典型的なフランス人カップルが、ふたりきりで暮らしている。彼らは、フランス未来省が計画した実験のモルモットとして、そこに住んでいるのだ。現代的なプラスチック家具に囲まれて(すべてが最先端でなければならない!)、クローディーヌとジャン=ミシェルは、食事をし、眠りにつき、愛しあい、喧嘩する。暮らしのすべてがカメラに収められ、全国にテレビ中継される。2000年の生活を想定したモデルルームで、ふたりは文字どおり丸裸にされ、あらゆる種類のテストを受けさせられる。
国家の経済政策を構想するために、人間が実験動物のように扱われ、その欲求や欲望がすべて数字に還元される。
そこで行われているのは、管理と標準化の政治である。管理と標準化の対象となるのは、わたしたちの身体と精神である。オーソン・ウェルズの『1984』やフランソワ・トリュフォーの『華氏451』は、そのような政治をディストピアとして描いたが、ウィリアム・クラインはそれを諷刺的なコメディに仕立てた。クラインは新都市プロジェクトの不条理さと無益さを強調し、登場人物たちをカリカチュア的に演出する。心理学者、政治家、サインを欲しがる訪問客、ジャーナリスト、誰もが、クローディーヌとジャン=ミシェルのささいな身振りにまで気を配り、その意味を理解しようとする。『スペクタクルの社会』(1967年)を著したフランスの思想家ギ―・ドゥボールならば、この状況から興味ぶかい考察を引き出したかもしれない。もっとも、クラインの作品には、ギー・ドゥボールのその有名な著作の一節が引用されている。
突然、若者たちが部屋に押し入ってくる。彼らは乱暴にわめきちらし、野蛮な落書きで壁をうめつくす。クローディーヌとジャン=ミシェルは、結局、この若者たちの闖入によって実験から解放される。『モデルカップル』は政治的なドタバタ喜劇である。しかし、それは未来を予言する作品でもあった。いつか、あらゆる場所にカメラが設置され、私生活がライブ配信される時代がくる。クラインはまさに時代に先駆けた「リアリティ番組」をつくったのである。
アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
公開スケジュール Schedule
9月19日(土)、9月20日(日)、9月21日(月・祝)、9月22日(火・祝)、9月23日(水)、9月24日(木)、9月25日(金)、9月26日(土)、9月27日(日)
上映時間
11:00/14:00/17:00
会場 Access
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)