GINZA MAISON HERMÈS
Le Studio
『アラン・ボンバール 実験漂流記』
Bombard, le naufragé volontaire
イノベーションの動き: 風と潮汐にあらがって
2020.8.8(土)11:00~8.16(日)23:59
ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2020年のテーマは「イノベーションの動き」。
7月に引き続き、8月も会場をオンラインに移して開催いたします!
8月は、自らの身体を実験台に、海で遭難した人間のサバイバルを探求した医者で生物学者の『アラン・ボンバール 実験漂流記』を9日間ご自宅からお楽しみ下さい。
『アラン・ボンバール 実験漂流記』
Bombard, le naufragé volontaire
2012年/フランス/53分/カラー
監督:ディディエ・ニオン
撮影:ジル・アルノー
録音:パスカル・モン
編集:カトリーヌ・ジン
製作:ローラ・ブリアン
1952年、簡素なゴムボートに乗り込み、飲み水も食糧も積むことなく、一人の男が大西洋横断を試みる。医者で生物学者のアラン・ボンバールはこの常軌を逸した冒険で、海で遭難した人間が生存するためのルールを確立させたのだった(大西洋横断の前に、イギリス人航海士ジャック・パーマーを伴いモナコからスペインのメノルカまでの地中海横断も行っている)。そしてボンバールが上梓した体験記をもとにして、ディディエ・ニオン監督は、数々のアーカイブ映像を用いながら、この冒険が精神の旅であると同時に科学的な実験だったという事実を紐解いてゆく。本作を通して浮かび上がるのは、すべてにあらがい、人の命を救うために最後まで自身の直感に従った類い希な男の人物像である。
フォトクレジット:INA, Les Films d'Ici, 2012
監督について Director
ディディエ・ニオン/ Didier Nion
1959年、フランス、セーヌ=マリティーム県生まれ。木工細工を学んだのち、映画やテレビの撮影現場で特殊機材操作のチーフとして働く。90年代半ばに撮影監督としていくつかの作品に参加したあと、ドキュメンタリー制作に目を向け、本作の他に『Dix-sept ans』 ('03)などを監督した。2017年には『Naufragé volontaire』を発表。こちらはアラン・ボンバールの海洋冒険から着想を得て制作された長編劇映画である。また作品のテーマとして扱うだけでなく、自身もヨットのクルーとして大西洋横断を何度も経験している。
1959年、フランス、セーヌ=マリティーム県生まれ。木工細工を学んだのち、映画やテレビの撮影現場で特殊機材操作のチーフとして働く。90年代半ばに撮影監督としていくつかの作品に参加したあと、ドキュメンタリー制作に目を向け、本作の他に『Dix-sept ans』 ('03)などを監督した。2017年には『Naufragé volontaire』を発表。こちらはアラン・ボンバールの海洋冒険から着想を得て制作された長編劇映画である。また作品のテーマとして扱うだけでなく、自身もヨットのクルーとして大西洋横断を何度も経験している。
作品について About Film
本作を監督したディディエ・ニオンは、初めてヨットで大西洋横断に挑んだとき、アラン・ボンバールの『実験漂流記』を艇内に積み込んだ(ニオンはこの後も何度か、大西洋横断に成功している)。『実験漂流記』は、アラン・ボンバールが1952年に同じ航程を小さなゴムボートに乗ってひとりで漂流したときの記録である。空と海のあいだをたったひとりで何日も航海するという共通の経験をきっかけに、ニオンはこのドキュメンタリー映画を作ったのかもしれない。ニオンのカメラは、ボンバールの人柄を映しだすとともに、ボンバールの常軌を逸した冒険と、その冒険が引き起こした影響力の大きさを物語る。
アラン・ボンバールは、この映画のほぼすべてのシーンに登場する。ずんぐりとした体型のボンバールが、眼をきらきらと輝かせながら、まくしたてるように喋りつづける。ニオン監督は、当時のテレビ映像やラジオ音声、公式インタビュー、プライベート写真などを巧みに組み合わせ、ボンバールの波乱にみちた旅とその前後の物語を時系列にこだわらずに語っていく。映画が始まってすぐに、ボンバールを称賛するニオン監督の思いが、画面から伝わってくる。医師・生物学者のボンバールは、数多くの先駆者たちとおなじく、自らの運命をひきうけ、あらゆる困難をのりこえて世界を動かした。他人の命を救うために、自分の命を危険にさらした。
すぐにも転覆しそうな小さなゴムボートに乗って、ボンバールは113日間の漂流航海に出発した。ゴムボートには「異端者号」という名前がつけられた。ボンバール自身、反主流派の人間であり、世間一般の常識に異を唱え、自分の考えが十分な根拠にもとづいていることを、科学者、政治家、世論に分からせるために闘った。計画が成功すると、ボンバールは一躍、時の人となり、マスコミを賑わせた。その後、数々の著作を発表し、環境運動のパイオニアとして活躍した。
大海原をあてどもなく漂流するボンバールが、自分自身の顔を正面からアップで撮影するシーンがある。波と風の音しか聞こえないその映像には、一種の凄みが感じられる。究極の孤独のなかで自分と向き合うことの過酷さが伝わってくる。この時から、ボンバールはただひたすらに精神力だけで命をつないだ。状況に耐え、工夫を凝らし、希望をもち、夢をみる力だけが支えとなった。ボンバールの計画は、理論的には成功の望みがなく、誰がみても非常識でしかなかった。しかし、ボンバールはその荒唐無稽な企ての正しさを、自分自身の経験によって証明してみせた。ボンバールの漂流実験によって、海で生き残るためのルールが明らかになり、命を救うための方法が示されたのである。
アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
アラン・ボンバールは、この映画のほぼすべてのシーンに登場する。ずんぐりとした体型のボンバールが、眼をきらきらと輝かせながら、まくしたてるように喋りつづける。ニオン監督は、当時のテレビ映像やラジオ音声、公式インタビュー、プライベート写真などを巧みに組み合わせ、ボンバールの波乱にみちた旅とその前後の物語を時系列にこだわらずに語っていく。映画が始まってすぐに、ボンバールを称賛するニオン監督の思いが、画面から伝わってくる。医師・生物学者のボンバールは、数多くの先駆者たちとおなじく、自らの運命をひきうけ、あらゆる困難をのりこえて世界を動かした。他人の命を救うために、自分の命を危険にさらした。
すぐにも転覆しそうな小さなゴムボートに乗って、ボンバールは113日間の漂流航海に出発した。ゴムボートには「異端者号」という名前がつけられた。ボンバール自身、反主流派の人間であり、世間一般の常識に異を唱え、自分の考えが十分な根拠にもとづいていることを、科学者、政治家、世論に分からせるために闘った。計画が成功すると、ボンバールは一躍、時の人となり、マスコミを賑わせた。その後、数々の著作を発表し、環境運動のパイオニアとして活躍した。
大海原をあてどもなく漂流するボンバールが、自分自身の顔を正面からアップで撮影するシーンがある。波と風の音しか聞こえないその映像には、一種の凄みが感じられる。究極の孤独のなかで自分と向き合うことの過酷さが伝わってくる。この時から、ボンバールはただひたすらに精神力だけで命をつないだ。状況に耐え、工夫を凝らし、希望をもち、夢をみる力だけが支えとなった。ボンバールの計画は、理論的には成功の望みがなく、誰がみても非常識でしかなかった。しかし、ボンバールはその荒唐無稽な企ての正しさを、自分自身の経験によって証明してみせた。ボンバールの漂流実験によって、海で生き残るためのルールが明らかになり、命を救うための方法が示されたのである。
アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
公開スケジュール Schedule
2020年8月8日(土)11:00~8月16日(日)23:59
会場 Contact
銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
オンライン上映専用ページ
(お問い合わせTEL:03-3569-3300)
オンライン上映専用ページ
(お問い合わせTEL:03-3569-3300)
予約 Reservation
※このプログラムの上映は既に終了いたしております。