GINZA MAISON HERMÈS
Le Forum
「クローゼットとマットレス」スミルハン・ラディック+マルセラ・コレア展
The wardrobe and the mattress by Smiljan Radic and Marcela Correa
2013.9.4(水)~11.30(土)
スミルハン・ラディックは、革新的動向を見せるチリ現代建築界においてひときわ注目を集める建築家です。素材や環境を活かした建築を手掛ける一方、マルセラ・コレアとの協働により彫刻や映像作品も発表しています。街中にふと出現し、また去っていくサーカス団のテントのように、簡素で痕跡をとどめない仮設建造物や束の間の隠れ家など、移ろいゆく環境と人間の営みへの哲学的な考察を重ねています。
今回の展覧会ではマルセラ・コレアと共に、クローゼットとマットレスという二つの家具を題材とし、記憶の持つ領域を象徴的に表現する作品を制作します。
クローゼットには私たちの持ち物、過去、思い出などが収められています。扉で隔てられたその内部には、ハンガーにかけられた洋服たち。それらは持ち主の身体の一部として、主の記憶を宿しています。マットレスは身体を横たえる人のあらゆる動きを柔軟に受け止め、眠る人を夢という異次元へと誘います。その無防備なやさしさは、私たちの身体を記憶し続けます。
私たちを外界から守るために、巨大化してしまったクローゼット。まるで記憶を取り出して形にしたかのようなマットレスの彫刻。その謎めいた組み合わせは、異質さとともに、日常の奥に押しやられていた記憶を呼び起こし、その領域が不意に可視化する瞬間を思わせます。ラディックとコレアは、現実を作り上げている時間たちを、この二つの家具を変形させることで、フォーラムという舞台に取り出して見せているようです。
なお、本展示では上記のインスタレーションに加え、街中に存在する脆弱な建築「Fragile Construction」の写真をシリーズとして紹介します。
隠れ家のように質素でありながらも親密な空間、あるいは常に移ろいゆくはかなき構造体、どちらもラディックとコレアが問いかける記憶の領域を獲得するための方法論といえるでしょう。
アーティストメッセージ
(クローゼットが)表現や意味をもつのは
それが
……閉まっている時だけ
という意味深長な役割について考えてほしい
その時、思いがけなく、それを取り巻く意味と信望が
評価されるのだ。再確認されるのだ……
意味の尺度を変えて……
空間は分かたれ、封じ込められ、隔絶される。
そしてその瞬間に完全な模倣が始まる、
少なくとも建物の美しいファサードを真似る
素早く、やすやすと、必要なスタイルを身につける
状況の如何にかかわらず……
クローゼットの枠は
あまりに家庭的に見える内部から
着々と深く、暗くなっていく地域に向かって激しく開く。
それから…… まるで柔らかいマットレスの上のように…
夢が進んでいく……
神秘的な雲に覆われた場所などではなく
ささやかで壊れやすい壁によって日々の現実と分かたれた場所に……
上記引用は、スミルハン・ラディックが下記文献(イタリア語版)を参照し、英文にて原稿に起こした文章の日本語訳。
* Tadeusz Kantor, Wielopole/Wielopole, Il Luogo Teatrale, trad. Luigi Marinelli, Ubulibri, Milano, 1981. (Tadeusz Kantor, Wielopole, Wielopole, Teatr Cricot 2, Kraków, 1980.)
展覧会ブックレット
アーティストプロフィール Artist Profile
1965年、チリ、サンティアゴ生まれ。サンティアゴ在住。1989年、チリ・カトリック大学建築学部を卒業後、ヴェネツィア建築大学にて建築を学ぶ。
マルセラ・コレア Marcela Correa
1963年、チリ、サンティアゴ生まれ。サンティアゴ在住。1990年、チリ・カトリック大学大学院修了(彫刻)。
開館時間 Opening Hours
日 11:00~19:00(最終入場は18:30まで)
基本情報 Information
2013年9月4日(水)~11月30日(土)
会期中無休