GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『緑の光線』
Le Rayon vert

もっと軽やかに:夏のヴァカンス
2022.9.3(土)~ 9.25(日)

(c) 1986 – LES FILMS DU LOSANGE- C.E.R. COMPAGNIE ERIC ROHMER

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2022年のテーマは「もっと軽やかに」。

9月は、恋に恋する孤独な女性の、とあるヴァカンス模様を描いた『緑の光線』をお届けします。
 

『緑の光線』
Le Rayon vert

1986年/フランス/98分/カラー/デジタル上映

監督:エリック・ロメール
製作:マルガレート・メネゴス
脚本:エリック・ロメール、マリー・リヴィエール
撮影:ソフィー・マンティニュー
編集:マリア・ルイサ・ガルシア
録音:クローディーヌ・ヌーガレ
音楽:ジャン=ルイ・バレロ
出演:マリー・リヴィエール、リサ・エレディア、
ベアトリス・ロマン、ロゼット、イレーヌ・スコブリーヌ、ヴァンサン・ゴーティエ

エリック・ロメールの〈喜劇と格言劇〉シリーズ第5作。7月の初め、パリで秘書として働くデルフィーヌは女友達とギリシャでバカンスを過ごす予定だったが、直前に断られてしまい途方に暮れていた。見かねた別の友人に誘われ、北西部の港町シェルブールへ行くが、閉鎖的な性格から周囲と馴染めず、3日でパリに戻ってきてしまう。次にラ・プラーニュの山にいる昔の恋人を訪ねるも行き違いで会えず、独り歩く山道で寂しさをおぼえ再びパリへ戻る。そして今度は、街で再会した旧友の勧めで、スペイン国境近くの海辺の保養地ビアリッツへと向かう。ここでも孤独を深めるばかりのデルフィーヌであったが、海岸で耳にしたジュール・ヴェルヌの小説「緑の光線」についての会話が彼女に希望を与える。なお、冒頭で引用される詩句はアルチュール・ランボー「最も高い塔の歌」の一節である。

監督について Director

エリック・ロメール/Éric Rohmer

ヌーヴェルヴァーグを代表する映画作家。1920年、フランス生まれ。教師、ジャーナリストを経て映画批評に身を転じる。1950年、ゴダールらと共に映画誌「ラ・ガゼット・デュ・シネマ」を創刊。その後「カイエ・デュ・シネマ」誌では6年にわたり編集長を務めた。1959年、クロード・シャブロル製作の『獅子座』(公開は'62年)で長編初監督。1967年、〈六つの教訓話〉シリーズの第4作『コレクションする女』で、ベルリン国際映画祭・銀熊賞を受賞。〈喜劇と格言劇〉シリーズ『海辺のポーリーヌ』('83)や、〈四季の物語〉シリーズ『恋の秋』('98)などで知られる。2010年1月11日、89歳で死去。『我が至上の愛〜アストレとセラドン〜』('07)が遺作となった。

 

作品について About Film

エリック・ロメールは、1980年代に手がけた「喜劇と格言劇」シリーズで、若い女性たちが人生に向きあい恋愛に苦悩する姿を描きだした。たとえば、シリーズ4作目の『満月の夜』(1984年)では、パーティ好きのパリジェンヌ、ルイーズが、理想の高さゆえに葛藤し、ためらい、愛を成就できない女性として描かれる。『緑の光線』(1986年)でも、ロメールは同じテーマを扱う。秘書として働くデルフィーヌは、夏のバカンスを前に胸をときめかせている。しかし、一緒に出かけるはずだった友人から、急にキャンセルの連絡がはいる。デルフィーヌはひとりでフランス各地を旅行するが、どこへ行ってもすぐにパリに帰ってきてしまう。ひとりでいるのは嫌なのに、新たな出会いを避けてしまう。満たされぬ思いを抱えながら、デルフィーヌは破壊的な衝動にとらわれ、自ら不幸を招きよせ、自分の殻に閉じこもる。

ロメールは、デルフィーヌの長身のシルエットを追いつづける。パリの街角、田舎の小道、海沿いの岩場を、彼女はぎこちない様子で歩いていく。奇跡のような出会いをもとめて真夏のフランスをさまよう。ロメールはそんなデルフィーヌを追いかけ、フランス各地をドキュメンタリータッチで撮影しながら、現代のおとぎ話を紡いでいく。

デルフィーヌはなんども失敗をくりかえしたあげく、ついに運命の印をみつける。神さまがデルフィーヌを心配して、その印を彼女のまえにそっと置いたのかもしれない。デルフィーヌがいちばん苦しいときに、神さまは救いの手を差し伸べてくれたのである。

本作のキャストは、ほぼ全員が素人である。ロメールは、彼らの演技を邪魔しないよう最小限のクルーで、16ミリを使って撮影した。ロングショットを多用し、演出も最小限に抑えた。ただひとりプロの俳優であるマリー・リヴィエールは、事前にロメールが用意したプランをもとに、即興で会話を紡ぎだした。リアリティを感じさせる自然な会話劇にしあがったのは、リヴィエールの鋭い感性によるところが大きい。本作は、1986年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。上映会場の画面に緑の光線があらわれたとき、観客席から拍手喝采が湧きおこった。まぎれもない自然現象でありながら、不思議な力によって出現したように見える緑の光線が、デルフィーヌの物語に奇跡をもたらした。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

公開スケジュール Schedule

【上映日】
9月3日(土)、4日(日)、10日(土)、11日(日)、17日(土)、18日(日)、19日(月・祝)、23日(金・祝)、24日(土)、25日(日)

【上映時間】
11:00/14:00/17:00

 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)

 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。

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