『自由の幻想』 | エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『自由の幻想』
Le Fantôme de la Liberté

夢を追いかけて:偶然のセレブレーション
2019.7.6(土)~ 7.28(日)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2019年のテーマは「夢を追いかけて」。
7月は、連想ゲームのように自由に映像が転換していく不条理劇『自由の幻想』をお届けします。

 

『自由の幻想』 Le Fantôme de la Liberté

1974年/フランス/104分/カラー/デジタル上映

監督:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール
撮影:エドモン・リシャール
製作:セルジュ・シルベルマン
出演:ジャン=クロード・ブリアリ、モニカ・ヴィッティ、ジャン・ロシュフォール、ジュリアン・ベルトー、アドリアーナ・アスティ
フォトクレジット:©1974 STUDIOCANAL IMAGE. All Rights reserved. 

物語の始まりは1808年、ナポレオン軍占領下のトレド(スペイン)。教会の前で処刑される抵抗派の男が銃口を前にしてこう叫ぶ──「自由よ、くたばれ」。
舞台は変わって現代のフランス。観光地の絵葉書を見ながら卑猥だと恥じる夫婦や、禁忌と欲望に悶える宿屋の客たち、食事と排泄が逆転した家庭、死んだはずの妹から電話で呼び出される警視総監、いくつものエピソードが「偶然」を介して数珠つなぎに展開されてゆく。ブニュエルと脚本家のジャン=クロード・カリエールがコンビを組み、それぞれが見た夢をもとに徹底的に話し合うことで脚本を書き上げた。既存の概念にとらわれない自由な映画を追求し続けたブニュエルによる連鎖的不条理劇。

 

監督について Director

ルイス・ブニュエル​ Luis Buñuel

1900年2月22日、スペインのテルエル県カランダ生まれ。マドリード大学在学中に、サルバドール・ダリなどの若き芸術家たちと交流を深める。1925年にフランスへ移住し、1929年ダリとの共同脚本で『アンダルシアの犬』を発表する。その翌年には初長編『黄金時代』を監督。一旦スペインに戻り『糧なき土地』(’33)を撮った後、スペイン内戦をきっかけに再びフランス、そしてアメリカへ拠点を移した。1946年にメキシコへ渡り、1949年には市民権を獲得。同地にて『忘れられた人々』(’50)や『砂漠のシモン』(’65)などの傑作を世に送り出す。60年代半ばからは、セルジュ・シルベルマンやカリエールとともにフランスで映画を作るようになる。『欲望のあいまいな対象』(’77)を最後に映画監督を引退。晩年、自伝『映画、わが自由の幻想』を出版した。1983年にメキシコにて死去。
 

作品について About Film

「偶然をたたえよう」と登場人物たちが言う。彼らはおそらく、無礼を、不条理を、無意識の力を同様にたたえるだろう。偶然や無礼、不条理や無意識の力こそが、ブニュエルの映画を突き動かしてきた。『自由の幻想』を撮影した半世紀ほど前、シュールレアリスムのただなかで、ブニュエルはすでに現実と非現実の境をとり払っていた。
『自由の幻想』は、映画のメインストリームが反体制的ではなくなった1970年代に制作された。最晩年を迎えたブニュエルにとって、それは二度目のフランス時代であり、数多くの傑作を生みだした時代であった。
『自由の幻想』はいくつものエピソードが脈絡なく連なる不条理劇である。物語はめまぐるしく展開し、矛盾だらけの奇妙な場面がつづく。単なるエキストラが次の場面で主役に変わり、物語の途中で登場人物がいなくなる。作品がどこへ向かうのか誰にも分からない。ブニュエルは明らかに楽しみながら、ありえない状況を描きつづける。たとえば、目の前にいる娘が誘拐されたと訴える父親や、死刑を宣告された直後に釈放される殺人犯などが登場する。正反対のものが調和し、矛盾するものが結びつくというのは、まさに夢の特徴ではないだろうか。
不条理に対する驚きは、すぐに大きな喜びに変わる。映画を見ているあいだ、ブニュエルの自由な精神がわたしたちに伝染する。わたしたちもまた理性の専制から解放され、ブニュエルの無意識から生まれた欲望と同じ欲望を感じるのだ。ブニュエルは、家族、宗教、警察に痛撃をくらわすが、皮肉な笑いがその激しい政治性を相殺してしまう。ラストの銃撃の場面でさえ、黒い皮肉に彩られる。轟きわたる銃声が、冒頭に映しだされたゴヤの名画『マドリード、1808年5月3日』と通じあう。ゴヤの絵は、ナポレオン軍に対して蜂起したスペイン民衆の姿を描き、自由を手にすることの難しさを象徴する。「自由とは、掴まえようとしても掴まえられない幻影のようなものだ」とブニュエルは言う。果てしない自由の追求は喜劇となり、ブニュエルはその人間喜劇をダチョウの目をとおして描きだす。アップで映しだされたダチョウの目には、困惑の色が浮かんでいる。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
7月6日(土)、7月7日(日)、7月11日(木)、7月12日(金)、7月13日(土)、7月14日(日)、7月15日(月・祝)、7月27日(土)、7月28日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。
 

お知らせ

会場の都合により、7月の上映日が変則的になります。
実施できない20日(土)、21日(日)の代替日として、11日(木)、12日(金)に上映を行います。
予約の際は、ご注意下さい。ご理解・ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。