GINZA MAISON HERMÈS
Le Forum
体を成す からだをなす – FRAC Grand Large収蔵作品セレクション展
Faire Corps / Selection from the collection of the FRAC Grand Large
2025.7.19(土)~10.12(日)
GINZA MAISON HERMÈS
2025.7.19(土)~10.12(日)
Nefeli Papadimouli, We Are Forests 2021 | Video installation © Nefeli Papadimouli - Collection FRAC Grand Large — Hauts-de-France|
エルメス財団は、ダンケルク(フランス)にあるフランスの現代美術地域コレクションFRAC Grand Large(フラック・グラン・ラルジュ)が所蔵する作品とともに、グループ展「体を成す からだをなす」を開催いたします。銀座メゾンエルメス ル ・フォーラムでは、現代社会とアートの課題への取り組みとして、近年、他機関とのより一層の協働を通じたエコシステムを構想する試みを続けており、本企画は、そのひとつのかたちとして生まれました。
FRAC Grand Large ― Haut-de-Franceは、1982年に前身であるFRAC Nord ― Pas de Calais(フラック・ノール=パ・ド・カレ)のリールにおける設立から、1996年にダンケルクへの移転を経た現在までに、750人のアーティストやデザイナーによる2000点を超える公共コレクションを形成してきました。これらは、1960年代以降のフランスおよび国際的な現代美術およびデザインの様々な潮流を紹介するもので、FRAC Grand Largeは、美術館やアートセンターと連携し、国境を越えたアートネットワークを構築してきたほか、これらを地域内の共有資産として学校や病院と展覧会などを行うなど、地域のハブとなる活動も推進しています。
同コレクションは、現代美術に特有なメディア横断型の作品(絵画、彫刻、映像、インスタレーション、パフォーマンス)のほか、デザイン分野の作品を特徴としますが、これらには、アートや社会の中に潜むヒエラルキーやジェンダーといった今日的な問題が映し出されています。さらに、表現メディウムの変容や境界に加え、ベルギー、そして海を挟んだ英国とも近いダンケルクが歴史的に向き合ってきた境界も、現代の国際社会が直面する覇権争いなどの地政学的緊張やその流動性をも示唆するものです。
「体を成す からだをなす」は、フランス語の「Faire Corps:一体となる、調和する」に基づいた展覧会で、FRAC Grand Largeのディレクター、ケレン・デトンと共に、<社会的身体>をテーマに、ヨーロッパ(フランス、イギリス、ベルギー、イタリア、ギリシャ、ルーマニア)、アメリカ、日本出身の13人のアーティストによる、1973年から2025年までの作品を紹介します。
「アートとは、人生をアートよりも興味深いものにする」とは、フルクサスのアーティスト、ロベール・フィリウの言葉ですが、ここには、生活とアートの両義的な関係が示されいるようです。本展では、アートによってもたらされる日常や秩序の可変性に着眼しつつ、個人あるいは集団的に機能する社会的な身体を浮き彫りにする作品を考察してゆきます。
身体と密接に結びついた芸術形式であるパフォーマンスとして、ヘレン・チャドウィックのジェンダーを問う《In the kitchen》や、アンドレ・カデレの《丸い木の棒》など1970年代を代表する写真から始まり、アナ・トーフのヴィデオ《サイドショー》や、ネフェリ・パパディムーリのコスチュームとヴィデオ作品《森になる》などを紹介します。また、脆弱な身体を象徴的に扱うジェシー・ダーリングやポール・マヘケ、外国語や母国語の狭間を問うタレク・ラクリッシ、そして技術と知の共有を媒介にした創作実践から作品を制作するアーティスト・コレクティヴのアバケ/オバケや大阪在住の笹原晃平の作品も展示され、多様な視点や行為が交差する場を形成します。また、ダンケルクで短い生涯を終えたアーティスト、クリスティーヌ・デュクニットのドローイングは、描くことで痕跡が消滅するような実験的な態度で、存在の境界を問いかけています。
ケレン・デトン
アバケ/オバケ
ネフェリ・パパディムーリ
笹原晃平
展覧会の様子を記録したブックレットをオンラインでご覧いただけます。
「体を成す からだをなす – FRAC Grand Large収蔵作品セレクション展」 ブックレット(PDF版)
※掲載内容(文章、画像)の一部及び全てについて、無断での複製、転載、転用などの二次利用はご遠慮ください。
アバケ/オバケ Åbäke
2000年、ロンドン(イギリス)で結成。アバケ/オバケは、アート、パフォーマンス、グラフィック・デザインの分野で活動するアーティスト、出版社、作家、教育者、デザイナーからなるコレクティブ。文脈や芸術のメカニズムについて考察しながら、物語を伝えるオブジェやテキストを制作している。グラフィックが文化やコミュニケーションをどう形成するのかという問いから、デザインの社会的側面を探求する分野横断的かつ参加型のプロジェクトを行う。
アンドレ・カデレ André Cadere
1934年、ワルシャワ(ポーランド)生まれ。ルーマニアで育ち、1967年よりパリで制作活動を行う。カデレは代表的な作品である《Barres de bois rond(丸い木の棒)》(1970–78)を、招待されていない展覧会のオープニングや公共空間に持ち込むアクションを通して、芸術に通底する論理の再構築を観客に促しながら、既成の芸術空間や制度を批判する急進的な芸術の形式を提示した。1978年没。没後、コンセプチュアル・アートとしてのカデレの影響は拡張し続けており、テート・モダン(ロンドン)やポンピドゥー・センター(パリ)などに収蔵。CAB財団で回顧展(ブリュッセル、2023)が開催された。
ヘレン・チャドウィック Helen Chadwick
1953年、ロンドン(イギリス)生まれ。「エレガントでありながら型にはまらないフォルムで、ステレオタイプな身体認識に挑戦する」ことで知られる。チャドウィックの作品は、洗練された手法を用いつつも、型にはまらない方法で、女性の役割、アイデンティティ、表現を重要なテーマとして取り上げている。ターナー賞に女性で初めてノミネート(1987)。テート・コレクション(ロンドン)、ヴィクトリア&アルバート美術館(ロンドン)、ニューヨーク近代美術館などに作品が収蔵されている。1996年没。
ジェシー・ダーリング Jesse Darling
1981年、オックスフォード(イギリス)生まれ。自身の経験に加え、正史とそれに対抗する歴史の複数性にも着目し、身体が持つ固有の脆弱性、そして生物の避けられない死が文明や構造体にどのように反映されるかを探求する。架空の人物、神話上のシンボルなど、ダーリングの作品は人工物を再文脈化する。傷つきながらも解放された形は、同時に、その脆さ、そしてケアと癒しの必要性を露わにしている。ターナー賞の絵画部門を受賞(2023)。日本では、ヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOW―光の破片をつかまえる」(2020)に出展。
クリスティーヌ・デュクニット Christine Deknuydt
1967年、ダンケルク(フランス)生まれ。ドゥクニットの作品には、家具などの日常的なもの、動物、風景、宇宙的な考察といったモチーフが、いくつかのテーマに沿って繰り返し描かれている。またユーモアを帯びた短い詩的なテキストが、具象的な要素に添えられ、それらがキャプションやタイトルの役割を果たしている。さらに、錬金術的な素材の扱い方やテキストをクロスオーバーさせる、自身が「ハイブリッド化」と呼ぶ手法で生み出された多義的で曖昧な形態が作品の全体に詩情を与えている。2000年没。
ジェシカ・ダイアモンド Jessica Diamond
1957年、ニューヨーク(米国)生まれ。1980年代半ば、グラフィティのスタイルを彷彿とさせる黒いペイントでスローガンや絵を壁に直接描き、権力、セックス、ビジネスに関する独自の視点を表現。現代消費社会の物質主義を拒絶する姿勢を示した。1991年に草間彌生の作品に影響され、「草間へのトリビュート」と題した一連の作品を制作(1992–97)。言葉と視覚的な手がかりの語彙を通じて、草間の主要なアイデアとモチーフを再解釈した。日本では個展「エロス・(レイン):その2」(オオタファインアーツ、東京、1999)を開催。
ポーリーヌ・エスパロン Pauline Esparon
1993年、エヴルー(フランス)生まれ。エスパロンは直感的な思考プロセスを通して、素材の固有の特性を探求することで、最終的な形を決定する独自のデザインアプローチを確立している。一般的な技術に工夫を凝らすことで、標準化された素材の秘められた可能性を引き出し、新たな用途やコレクターズアイテムへと生まれ変わらせる。また、エスパロンは、産業廃棄物にも価値を創出し、既存の産業、地元の工芸品にも新たな展望ヴィジョンをもたらしている。ル・モビリエ・ナショナル(パリ)、CNAP(パリ)などに収蔵。
タレク・ラクリッシ Tarek Lakhrissi
1992年、シャテルロー(フランス)生まれ。ラクリッシは、文学の素養を持つアーティストであり、詩人でもある。インスタレーション、パフォーマンス、映像、文章、彫刻の分野で活動し、言語の変容や魔法、奇妙さ、暗号、そして愛の物語にまつわる政治的・社会的問題に関心を寄せる。ラクリッシの深遠な言語表現は、行為遂行性に根ざし、詩的でエロティック、そしてノスタルジックなクィアの未来について考察している。シドニー・ビエンナーレ(2020)、「Anticorps」(パレ・ド・トーキョー、パリ、2020)に参加。
ポール・マへケ Paul Maheke
1985年、ブリーヴ゠ラ゠ガイヤルド(フランス)生まれ。マヘケは、ドローイング、ヴィデオ、パフォーマンスなどを通じて、周縁化された身体、物語、そして歴史が、いかにして可視化/不可視化されるのかを探求する。アイデンティティ・ポリティクスへの抵抗、権力や支配的なシステムを転換する試みとして、幽霊、精霊など、人間以外の存在を作品に登場させながら、身体を再発明されるべきアーカイブ、独自の地図を持つ領域として捉え直し、集団的な想像力や、他者との関係を定義するアーキタイプがどのように構築されるかを探求する。近年の個展として、「To Be Blindly Hopeful」(モスティン、スランディドノ、イギリス、2024)。
ブルーノ・ムナーリ Bruno Munari
1907年、ミラノ(イタリア)生まれ。イタリアの前衛美術活動「未来派」に共鳴し、造形作品の発表を始める。またその傍ら、1930年代より、グラフィックデザイナー、アートディレクターとして本の編集や装丁を手がけ、戦後は、ダネーゼ社などのためのプロダクトデザインも多く手がける。1954年、55年、77年にイタリアのデザイン賞「コンパッソ・ドーロ」を受賞。1940年代より制作を始めた子どもの想像力を育てる実験的な絵本によって、絵本作家としても世界に知られるようになる。1974年に国際アンデルセン賞を受賞。1998年没。
ネフェリ・パパディムーリ Nefeli Papadimouli
1988年、アテネ(ギリシャ)生まれ。公共空間における参加型アクションから彫刻、映像と幅広いメディアを用いて作品を制作し、現在はインスタレーションとパフォーマンスが活動の中心となっている。前衛芸術の伝統に着目しながらも、パパディムーリの作品は芸術活動のカテゴリー間の境界を曖昧にし、「中間」のメディアとの融合として現出する。第17回リヨン・ビエンナーレ(2024–25)、アジアン・アート・ビエンナーレ(台中、2024)に出展。ピエール・カルダン賞(2023)など、数々の賞を受賞。
笹原晃平 Kohei Sasahara
1984年、東京生まれ。周辺環境への取材とその場の関係性の構築から出発し、インスタレーション作品を発表。一貫して「人間の生活」を探求する笹原の表現メディアや方法論は多岐にわたり、美術のみならず人類学や建築学などの総合的な分野への接続を試みている。 近年の主な企画として「社会実践ポストポン」(せんだいメディアテーク、宮城、2023〜)など。
アナ・トーフ Ana Torfs
1963年、モルツェル(ベルギー)生まれ。ヴィデオ、版画、スライド投影、フィルム、サウンド、写真、シルクスクリーン、タペストリーなどの様々なメディアを用いて、知覚、記憶、表象、イメージの構築に関する問題を探求している。日本では、京都国立近代美術館(2013)、東京国立近代美術館(2014)を巡回した「映画をめぐる美術——マルセル・ブロータースから始める」に出品。
会期:2025年7月19日(土)~10月12日(日)
開館時間:11:00~19:00(入場は18:30まで)
休館日:水曜日 ※ただし7/30(水)は開館
※10月7日はイベント開催のため、17時頃から一部ご覧頂くことのできない展示エリアが発生いたします。予めご了承ください。
※開館日時は予告なしに変更の可能性がございます。随時こちらでお知らせ致します。
入場料:無料
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム 8・9階
(中央区銀座5-4-1 TEL 03-3569-3300)
主催:エルメス財団、FRAC Grand Large ー Hauts-de-France
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
*FRAC Grand Large ― Hauts-de-Franceは、フランス政府(Direction régionale des affaires culturelles des Hauts-de-France)、オー=ド=フランス地域圏、ダンケルク・グラン・リトラル/都市共同体の支援を受けている。
《握手/The Handshake》は、2014 年にÅbäkeと2人の輪島塗の職人、古込和孝(沈金)と大端楽寛(蒔絵)とのコラボレーションによって生まれた屏風作品です。本作品は、Åbäkeの提案により本展の会期中に一ヶ月ほど輪島に里帰りし、再び2人の職人の手が加えられることになりました。そのお題は、「屏風の裏面に、それぞれの職人が、利き手ではない手(左手)を用いて、利き手(右手)を描くこと」。
公開制作
この作品のアップデートの最終段階は、古込和孝によるギャラリーでの公開制作によって完了します。
事前予約不要で、どなたさまもご覧頂くことができます。
■日時:9月15日(月・祝)11:00~17:00(適宜休憩あり)
■場所:銀座メゾンエルメス8階 ル・フォーラム
トーク・セッション Ⅲ
アーティスト・コレクティブÅbäkeの一員であり、今回の《握手》のアップデートの発案者であるマキ・スズキと、輪島の沈金職人である古込和孝、輪島塗の塗師屋である塩安眞一を迎え、異なる技をもつ職人同士あるいは職人とアーティストがどのように出会い、そして10年以上に及ぶ関係性を築いてきたのか、今回の作品のアップデートがどのように行われたのかについてお話頂きます。
■登壇者:マキ・スズキ(Åbäke)、古込和孝、塩安眞一
モデレーター:説田礼子(ル・フォーラムキュレーター)
■日時:10月7日(火)18:30~20:00
■場所:銀座メゾンエルメス8階 ル・フォーラム
■定員:30名(予定)、参加費無料
※予約開始:9月19日(金)18:00
【参加方法】予約はこちら
※お電話でのお申込みは承っておりません。ご了承ください。
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オープニング トーク・セッション Ⅰ
美術館ともアートセンターとも異なるFRAC Grand Largeとは、どういった文化機関なのでしょうか?フランスの現代美術を推進してきたFRACについて、また、ダンケルクにある Grand Largeの特徴について、ディレクターのケレン・デトン氏にお話を伺い、アートのエコシステムについて考えていきます。
■登壇者:ケレン・デトン(FRAC Grand Large ディレクター)
モデレーター:説田礼子(ル・フォーラムキュレーター)
■日時:7月19日(土)14:00~15:00
■場所:銀座メゾンエルメス10階 ル・ステュディオ
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オープニング トーク・セッション Ⅱ
アーティストの笹原晃平氏は、傘を屋根の最小単位と捉え、置き忘れられた傘を用いてドーム状の空間を構成した作品《sunny》を出展しています。この作品はどのように生まれ、FRACに収蔵されるに至ったのでしょうか?人類学や建築学的なアプローチが特徴的なその制作背景についてもお話頂きます。
■登壇者:笹原晃平(アーティスト)、ケレン・デトン(FRAC Grand Large ディレクター)
■日時:7月19日(土)16:00~17:00
■場所:銀座メゾンエルメス10階 ル・ステュディオ
街ゆく人々が行き交うGinza Sony Parkを舞台に、パパディムーリ氏のコスチュームのような彫刻に身を包んだ6人のパフォーマーの身体、観客、そして都市空間とが絡み合いながら、本展のテーマである〈社会的身体〉を探るパフォーマンス《森になる》。
■日時:7月19日(土)18:00~18:40
■場所:Ginza Sony Park (5階、1階)ほか
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スタッフとともに展覧会を鑑賞するツアーを定期開催しております。
いずれも事前予約不要です。どなたさまもお気軽にご参加ください。
展覧会の背景やそれぞれの作品について、展覧会担当者が解説するギャラリーツアー。
日時:8月1日(金)
18:00から(約40分、日本語のみ)
※7月25(金)に予定しておりましたギャラリー・ツアーは都合により中止とさせて頂きます。参加をご検討いただいておりました皆様にはご迷惑おかけしますが、ご理解のほど宜しくお願い致します。
会場スタッフとともに、展覧会を鑑賞するガイドツアー。
日時:8月8日以降の毎週金曜日 、
8月31日(日)、9月14日(日)、9月21日(日)
17:00から(約40分、日本語のみ)
◆銀座店内混雑緩和のため、ソニー通り側のエレベーターからご案内いたします。
※フォーラムへの入退場に店舗内のエレベーターをご使用頂くことができませんのでご注意ください。
◆混雑時は一時入場をお待ち頂くことがございます。