GINZA MAISON HERMÈS
Le Studio
『モーターサイクル・ダイアリーズ』Motorcycle Diaries
冒険の呼び声:目覚めの道2026.8.11(火祝)~ 8.30(日)
© FilmFour Limited 2004 All Rights Reserved.
ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。2026年のテーマは「冒険の呼び声」。
8月のル・ステュディオは、『モーターサイクル・ダイアリーズ』(2004)を上映します。若きチェ・ゲバラは、中古バイクひとつで南米大陸を縦断するという無鉄砲な旅に出発します。国境を越えて成長していく青年の姿を、ぜひご覧ください。
『モーターサイクル・ダイアリーズ』Motorcycle Diaries
2004年/アルゼンチン、アメリカ、チリ、ペルー、ブラジル、イギリス、ドイツ、フランス/126分/カラー/ブルーレイ上映監督:ウォルター・サレス原作:エルネスト・チェ・ゲバラ、アルベルト・グラナード脚本:ホセ・リベーラ製作総指揮:ロバート・レッドフォード、ポール・ウェブスター、レベッカ・イェルダム製作:マイケル・ノジック、エドガード・テネンバウム、カレン・テンコフ撮影:エリック・ゴーティエ音楽:グスターボ・サンタオラヤ出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、ロドリゴ・デ・ラ・セルナ、ミア・マエストロ
革命家“チェ・ゲバラ”の若き日を描く珠玉のロードムービー。1952年、アルゼンチン。23歳の医学生エルネストは友人アルベルトとともにバイクで南米縦断の旅に出る。ブエノスアイレスを出発し、アンデスを越え、チリ、ペルー、コロンビアを経由し、ベネズエラを目指す1万2千キロの行程。初めは若さに任せた行きあたりばったりの放埒な旅であったが、各地での人々との出会いを通して南米社会の現実を目の当たりにし、二人は自らの心の内に新たな使命を抱く。本作はゲバラの死後に発見された旅行記(『チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記』)が元になっている。
監督について Director
ウォルター・サレス/Walter Salles1956年、リオデジャネイロ生まれ。銀行家兼外交官の父親の赴任に伴い、少年時代をフランスやアメリカで過ごした。15歳の時、エミリオ・ガラスタズ・メディシの軍事独裁政権下のブラジルに帰国。その後、南カリフォルニア大学の映画芸術学部を卒業、10年間はドキュメンタリー制作で経験を積む。1991年、『殺しのアーティスト』で長編監督デビュー。『セントラル・ステーション』('98)でその名を世界に知らしめ、『モーターサイクル・ダイアリーズ』('03)では評価を確固たるものにした。軍事政権下のブラジルを題材にした『アイム・スティル・ヒア』('24)は国内外で高い評価を得て、様々な映画賞を受賞している。
作品について About Film
チェ・ゲバラになる前のチェ・ゲバラ─。それが『モーターサイクル・ダイアリーズ』にふさわしい副題かもしれない。本作で描かれるのは、キューバ革命のシンボルとなる以前の青年エルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナである。医学生のエルネストは、親友アルベルトとともに「ポデローサ(怪力号)」という勇ましい名前とは裏腹のおんぼろバイクにまたがり、南米大陸を縦断する旅に出る。全行程1万キロを超えるこの旅が、後年のチェ・ゲバラを形づくる原点となった。安定した未来を約束されていた青年が、この旅を境に、まったく異なる人生へと歩み始めるのである。ロードムービーであり、青春の成長物語であり、政治的な省察でもある本作は、エルネスト自身の旅日記に記された「これは目覚ましい冒険譚ではない」という一文から始まる。その言葉どおり、ウォルター・サレス監督は淡々と旅の記録をつむいでいく。カメラは、南米大陸の雄大な風景とそこに生きるひとびとの多様性を讃え、同時に、彼らが置かれた苛酷な現実にも光をあてる。その現実は、エルネストの視線をとおして少しずつ浮かびあがってくる。陽気でおしゃべりなアルベルトとは対照的に、エルネストは寡黙で内省的な青年である。彼は多くを語らず、ただ見つめる。もちろん、そのまなざしはサレス監督のまなざしでもある。劇中、エルネスト自身が撮影したかのように挿入されるモノクロ写真が、彼の静かな視線を表している。エルネストは、社会によこたわる不正や格差を、ほとんど言葉を発することなく見つめつづける。その胸には、革命家チェ・ゲバラを導いた使命感がすでに芽生え始めていただろうか。しかし、寡黙であっても無力であるとはかぎらない。エルネストは、生活に困って鉱山ではたらく夫婦にひとしれず手を差し伸べ、社会から隔離されたハンセン病患者たちに公然と歩みよる。その姿をとおして語られるのは、ウォルター・サレス監督が一貫して描いてきた世界観でもある。勇気とヒューマニズムこそが、人間を救い、その尊厳を取りもどす力になるという揺るぎない信念である。映画のラストには、農民や労働者たちが身じろぎもせずにカメラを見つめる印象的なショットが映しだされる。彼らのまっすぐな視線は、スクリーンのこちら側にいる私たちに問いを投げかけているかのようだ。その映像は、本作のドキュメンタリー的な性格をいっそう際立たせる。そして最後に、この旅に関わった最後の生存者が画面にあらわれ、驚きと深い余韻をのこして作品は幕を閉じる。アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
会場 Access
銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
上映スケジュール Schedule
予約 Reservation
※このプログラムの上映は既に終了いたしております。