GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『Our Wildest Days』

冒険の呼び声:ファントム・ジェネレーション2026.7.1(水)~ 8.1(土)

© BLACKBIRD Productions

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。2026年のテーマは「冒険の呼び声」。

7月のル・ステュディオは、『Our Wildest Days』(2025)を上映します。転々と居場所を移しながら瞬間を生きる、エネルギー渦巻く若者たちの様子をぜひ、ご覧ください。

※本作品は18歳未満の方のご鑑賞はできません。ご了承ください。

 

『Our Wildest Days』

2025年/ギリシャ、フランス、ベルギー、ドイツ/105分/カラー/ブルーレイ上映監督・脚本:ヴァシリス・ケカトス製作:ギヨーム・ドレフュス、エレニ・コシフィドゥ、デルフィーヌ・シュミット撮影:ヨルゴス・ヴァルサミス音楽:コスティス・マラヴェヤス出演:ダフネ・パタキア、ニコス・ゼンギノグロウ、スタヴロス・ツォマニス、エヴァ・サミオティ、ナタリア・スイフト

アテネに暮らす20歳のクロエは家族に素行の悪さを咎められ、家を飛び出すが、深夜のガソリンスタンドで危ない目に遭ってしまう。そこに偶然居合わせた若い6人組の男女に助けられたクロエは成り行きで行動を共にすることに。彼らはバンに乗ってギリシャ中を巡り、社会から取り残された生活困窮者を助けて回っているというが、その手段は非合法で危険を伴うものだった。彼らとの交流のなかで、クロエはより自由で、より刺激的な新しい生活を体験していく。それが明日突然終わるものだとしても……。社会の周縁で、人間性を求めて生きる若者たちの姿を描く、激しくも美しい青春群像劇。

監督について Director

ヴァシリス・ケカトス/Vasilis Kekatos1991年、ギリシャのケファロニア島に生まれ。ブルネル大学ロンドンの芸術学部で映画制作を学ぶ。2016年の短編『Zero Star Hotel』がサンダンス映画祭で受賞。その後『The Distance Between Us and the Sky』('19)が、カンヌ国際映画祭で最優秀短編映画賞とクィア・パルム賞を受賞。2020年のロックダウン中には、オンラインで大ヒットし、その後、劇場公開された『As You Sleep the World Empties』を監督。2022年にはTVシリーズ『Milky Way』を監督し、活躍の場を広げた。『Our Wildest Days』('25)は初の長編監督作品となる。

 

作品について About Film

暑い陽射しに照らされた古代遺跡の円柱も、青い鎧戸にかざられた白い家も、この映画にはまったく登場しない。ケカトス監督が描くのは、観光用の絵はがきとはまるで違ったギリシャである。荒涼とした大地、どんよりと雲った空、粗末なバラックに暮らすひとびと。そんな風景のなかを、若い仲間たちがキャンピングカーに乗って旅をしている。出自も育ちもばらばら、しかし妙に結束のかたい陽気な若者たち。彼らはまるで目的地のないロングドライブを続けるように、ギリシャ北部の道を走りまわる。窓の外を流れる景色は変わっても、車内の空気感は変わらない。彼らにとってはそのキャンピングカーだけが「じぶんたちの場所」なのだ。逃走と若さを讃えるこの映画は、同時に、ギリシャ社会の病理を真正面から描く。アリス、ピオトル、アンナたちは、経済危機と政治的混乱が繰り返されるなかで育った世代である。不安定な暮らしにおびやかされ、社会のどこにも、さらには家族のなかにさえも居場所を見つけられない「ロスジェネ世代」。そんな彼らが選んだのは、みじめな未来を甘んじて受けいれることでも、社会に怒りをぶつけることでもなかった。彼らが選んだのは、自由に生きること、そして、ロビン・フッドのように深い思いやりと強い連帯感、戦う意志をもって、弱い立場のひとびとに手を差し伸べることだった。その意味で、本作は「行動する勇気」を後押しする映画である。ただし、ここに描かれる彼らの行動には、矛盾がはらまれている。若者たちの抵抗はあくまで優しく穏やかだが、その一方で、法を犯すこともいとわない。彼らはまだ大人になりきれず、無邪気で、暴力的な衝動とも無縁ではない。こどもの目にほこりが入ったとき、親がそっと息を吹きかけて、ほこりを吹き飛ばしてやる。その小さな仕草には、大きな愛情がこめられている。クロエという少女が彼らに仲間として迎えられたときも、クロエがじぶんの進むべき道を決断したときも、その小さな仕草が繰りかえされた。クロエは気が強く、男に屈せず、スーパーの店員として生きる単調な未来を拒絶した。若者たちの自由な生き方に共感したクロエは、やがて、彼らと本当の家族のように親しく交わるようになる。主人公のクロエを圧倒的な存在感で演じたのは、ギリシャとベルギーにルーツをもつ若手女優ダフネ・パタキアである。彼女自身のことばを借りれば、本作の撮影は、劇中の若者たちが経験した旅そっくりそのままだった。映画のなかの旅と同じく、ケカトス監督のもとに多くのスタッフやキャストが集まり、おたがいに支えあい、経験を分かちあいながら、前向きな気持ちで旅を続けたのだ。アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)

 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)

 

上映スケジュール Schedule

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。