GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『E.1027 - アイリーン・グレイと海辺の家』
E.1027 - Eileen Gray and the House by the Sea

ドローイング - 描く -:アヴァンギャルドの対立
2025.6.7(土)~ 6.29(日)

(c) Rise And Shine

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2025年のテーマは「ドローイング - 描く -」。

6月のル・ステュディオでは、ドキュフィクション『E.1027 - アイリーン・グレイと海辺の家』(2024)を上映します。
家具デザイナーとして評価を集めていたアイリーン・グレイは、恋人と過ごす南フランスに、別荘〈E.1027〉を完成させます。
ル・コルビュジエはこれを高く評価し、足繁く通って自らも長く過ごすようになり、しまいには手を加えてしまうのです。
テーマは「アヴァンギャルドの対立」。
〈E.1027〉の建築の細部の美しさや史料に忠実でありながらも、俳優の姿を通じてアイリーンの頭のなかに迫ろうとする野心作をどうぞご覧ください。
 

『E.1027 - アイリーン・グレイと海辺の家』
E.1027 - Eileen Gray and the House by the Sea

2024年/スイス/89分/カラー/ブルーレイ上映

監督・脚本:ベアトリス・ミンガー
共同監督・脚本協力:クリストフ・シャウブ
製作:フィリップ・デラキス、フランク・マター
撮影:ラモン・ギーガー
音楽:ぺーター・シェラー
出演:ナタリー・ラドモール・クワーク、アクセル・ムスターシュ、
シャルル・モリヨン、アイリーン・グレイ(本人)

20世紀に活躍したアイルランド出身のインテリア・プロダクトデザイナーであり建築家のアイリーン・グレイを描いた映像美あふれるドキュフィクション。1929年、アイリーン・グレイと恋人のジャン・バドヴィッチは自分たちの隠れ家をコート・ダジュールの海沿いの崖地に建てた。二人のイニシャルから「E.1027」と名付けられたこの建物は、控えめながらも前衛的な傑作であった。グレイはわずか数年でこの家を離れるが、バドヴィッチの友人ル・コルビュジエは、この傑作の虜になり、執着を深めてゆく。ついには白い壁を自身のフレスコ画で覆い尽くし、その写真を雑誌で発表、コルビュジエが設計者であるかのような誤解まで広まってしまう。この暴力的とも言える盗用行為を知ったグレイはコルビュジエを非難し、壁とこの家の精神をあるべき姿に戻すよう要求するが……。本作は女性の創造的な才能と、それを支配しようとする男性の欲望についての物語である。

監督について Director

ベアトリス・ミンガー/Beatrice Minger

1980年生まれ、チューリッヒを拠点とする脚本家・映画監督。映画、ドイツ学、近代史を学んだ後、様々なプロジェクトの助監督やスクリプター、短編映画やビデオクリップの監督を務める。2018年にはアートブック「Hier Sass Er」を出版。短編映画『Love a little』('18)と『I feel more like a stranger』('21)は国際短編映画祭で上映された。長編デビュー作となるハイブリッドシネマドキュメンタリー『E.1027』('24)は、コペンハーゲンのCPH:DOXコンペティション部門でプレミア上映された。現在、初の長編フィクション映画『Undercurrents』を制作中。

 

作品について About Film

「ゆっくり、お入りください」。アイリーン・グレイが設計した彼女自身の別荘「E.1027」の玄関には、訪問客の目につくように、そんな言葉が壁にしるされている。別荘を訪れたル・コルビュジエが、その言葉が指すのとは逆の方向に進んでいく場面は、ふたりの建築観がまっこうから対立することを暗示する。グレイにとって、家は私たちを包むものであり、身体の一部のように感じられるものだった。ル・コルビュジエにとって、住宅は「住むための機械」であった。
ベアトリス・ミンガーとクリストフ・シャウブは、E.1027の数奇な運命を描きだす。別荘が建てられ、空き家になり、美術館として再生するまでの歴史を辿りなおすのだ。彼らはグレイに敬意を表し、彼女の作品を1920〜30年代のモダニズムの文脈に位置づけ、本篇の最後に、晩年のグレイを映した貴重な映像資料(現在知られている限りで唯一の映像)を紹介する。

しかし、この映画を動かすのは、正反対の感性をもった二人の作家の確執である。ひとりは、野心的なプロジェクトをいくつも抱えた国際的に著名な建築家。もうひとりは、男性が独占する分野に果敢に挑み、しかも初めての挑戦で人知れず前衛的な傑作を作りあげた女性デザイナー。ル・コルビュジエはそんなグレイに興味を示すが、心中は穏やかでなかった。ベアトリス・ミンガーは、ル・コルビュジエが別荘の壁に無断で絵を描いたことに怒りをかくさない。ル・コルビュジエがしたことは、グレイに対する侮辱であり、もっと言えば、男性による女性支配にほかならなかった。

ドキュフィクションという複合的な形式は、虚実をまじえた再現ドラマと実際の資料映像を不自然に組み合わせただけで終わることがほとんどである。しかし、本作は、人物や出来事の描き方に工夫を凝らし、独自色を出すことに成功した。ミンガーとシャウブは、美術史家や関係者の証言をあつめて客観的な真実を探究する代わりに、グレイの内面に迫っていく。ものの考え方、機能性と官能性を兼ねそなえたライフスタイル、自分の作品が知らぬまに傷つけられたことの痛みを、どう表現するか。心の内側を描くために、彼らは抽象的な空間をえらんだ。ミニマルなセットに映像を投影し、ライティングを駆使し、そしてナタリー・ラドモール・クワークの繊細な演技によって、天才的な芸術家の疑念と信念を表現したのである。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)

 

公開スケジュール Schedule

【上映日】
6月7日(土)、8日(日)、15日(日)、20日(金)、21日(土)、22日(日)、26日(木)、27日(金)、28日(土)、29日(日)

上映時間 再度の修正のご案内

施設整備が完了したため、上映の開始時間を従来通りとさせていただきます。
たびたびの変更となり、お客様におかれましてはご負担をおかけいたします。
何卒よろしくお願い申し上げます。

【上映時間】
11:00/14:00/17:00

受付開始時間は、上映時間の30分前です。

 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)

 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。

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