今年最初の表参道ウィンドウを手掛けたのは、スペイン人アーティスト、エルヴィラ・ソラナです。
エルビラは、今年の年間テーマ「ドローイング‐描く‐」をもとにウィンドウをイメージする中で、パーテーションを中心にウィンドウを構成することを考えました。この作品は、筆と塗料だけを用いて場面を様変わりさせる試みになっています。面に描かれた一筆一筆が、見る者の認識を揺さぶり、そこに立体的な錯覚を生み出します。
絵画と建築は、古来分かちがたく結びついています。道具として、あるいは素材として、絵画は常に建築と共にあり続けてきました。ソラナは、壁画は建築空間の体験そのものを変える力を持っていると考え、色彩と形が生み出す感覚的な錯覚は、空間や対象の建築的な質を一変させる様を体現します。
パーテーションというものは、不思議な存在です。それは壁であり、同時に家具でもあります。そして、それには表と裏があります。この作品では、それぞれの面に描かれた4つのシーンが対をなし、展開されていきます。季節の移ろいとともにパーテンションは反転し、その裏側をのぞかせます。
左ウィンドウのシーンは静謐。整然としたオブジェ。空には明るい太陽、リボンがかけられた箱にはプレゼントが入っているのかも知れません。何かのお祝いでしょうか。
右ウィンドウでは、春の芽吹きのように静寂は破られ、空間は四方八方へと力を解き放ちます。そして、舞い上がるオブジェ。一体何が起こったのでしょうか。私たちの存在が偶然の瞬間を乱したかのようです。
ウィンドウ内のボリュームの配置の仕方によって、見る者は騙されることなく錯覚のイリュージョンを楽しむことができます。トロンプイユ(だまし絵)とは、目を欺くのが目的なのではなく、見る目を養ってくれるものなのです。