GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『希望の灯り』
In den Gängen

ドローイング - 描く -:メカニック・ワルツ
2025.5.3(土・祝)~ 5.12(月)

(c) 2018 Sommerhaus Filmproduktion GmbH

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2025年のテーマは「ドローイング - 描く -」。

5月のル・ステュディオは、旧東ドイツ・ライプツィヒを舞台にした作品『希望の灯り』(2018)を上映します。
スーパーマーケットの在庫管理の仕事に就いた青年クリスティアン。
体のタトゥーを作業着で覆い、どこまでも伸びる棚に囲まれながら、仕事を教わり、恋をし、喪失と向き合います。
ル・ステュディオが届ける5月のテーマは「メカニック・ワルツ」。
客のいない夜の店内で稼働するフォークリフトは、通路のあちこちに優雅な動線を描き、ままならない現実をじっと耐え忍びながらも目の端で見守り合う旧東ドイツの人々の日常を縁取るのです。
 

『希望の灯り』
In den Gängen

2018年/ドイツ/125分/カラー/ブルーレイ上映

監督・脚本:トーマス・ステューバー
原作・脚本・出演:クレメンス・マイヤー
製作:ヨッヘン・ラウベ
撮影:ペーター・マティアスコ
音楽:ミレナ・フェスマン
出演:フランツ・ロゴフスキ、ザンドラ・ヒュラー、ペーター・クルト、
アンドレアス・ロイポルト、ミヒャエル・シュペヒト、ラモナ・クンツェ=リブノウ

配給:彩プロ

ドイツ東部ライプツィヒの近郊、畑とアウトバーンしかない殺風景な場所に立つ大型スーパーマーケット。訳ありの無口な青年クリスティアンは在庫管理係として働くことになる。コンビを組むのはベテランのブルーノ。愛想はないが面倒見がよく、仕事のやり方もサボり方も教えてくれる。菓子担当のマリオンは少し年上の魅力的な女性で、クリスティアンにとっては気になる存在。薄暗い倉庫に積み上げられた商品、通路を動き回るフォークリフト、ヤシの木が描かれた休憩室の壁とコーヒーマシン。ここで過ごす時間は、孤独なクリスティアンにとってかけがえのない日常になってゆく……。再統一後のドイツで置き去りにされた東側の人々が抱える苦悩、郷愁、そして日々の美しさを東独出身の監督&原作者のコンビが等身大の目線で描き出す。

監督について Director

トーマス・ステューバー/Thomas Stuber

1981年、ライプツィヒ生まれ。高校卒業後、映画業界で様々な経験を積む。2004年から2011年までバーデン=ヴュルテンベルク映画アカデミーで学び、メディア/舞台演出の学位を取得。卒業制作となる『犬と馬のこと』('11)は同じ東独出身の小説家クレメンス・マイヤーの短編が原作で、学生アカデミー賞銀賞などを受賞。2015年にペーター・クルト主演の『ヘビー級の心』で長編監督デビュー、マイヤーが脚本に参加した。前作と同じくマイヤー、クルトと組んだ『希望の灯り』はベルリン国際映画祭のコンペティション部門でプレミア上映された。

 

作品について About Film

ヨハン・シュトラウスのワルツに合わせ、スーパーマーケットの巨大倉庫をフォークリフトが踊るように走りまわる。無機質な照明に照らされながら、作業員たちは昼夜を問わずハンドルを握り、果てしなく続く通路を行きかい、商品を載せたパレットを目もくらむほどの高さに積みあげていく。
この映画は、三拍子のワルツのように三つの章からなり、それぞれの章で、旧東ドイツの地方都市に暮らす三人の物語が語られる。東西ドイツの再統一は痛みを伴わずには実現しなかった。本作ではそのような歴史的な文脈があからさまに示されることはないが、登場人物たちは依然としてその影響のもとに生きており、彼らの挫折もその歴史的な背景から説明される。
トーマス・ステューバーの演出は細部まで綿密に計算されており、彼のカメラワークは、巨大なスーパーマーケットを支える厳格な幾何学的秩序を際立たせる。垂直線と水平線、金網とタイルが組み合わさり、過度に合理化された世界が形づくられている。まるで神の崇高な意志によって、この消費の殿堂に、永遠不変の格子構造が与えられたかのようだ。そしてその世界では、どこまでも続く棚のうえに、同じような商品が果てしなく並んでいるのだ。

それでもなお、この無機質で味気ない空間には、不思議な美しさがある。その美しさは、登場人物たちの思いが反映したものにほかならない。事実、物語がひとたび倉庫の外へ出ると、そこに映しだされるのは、クリスティアン、マリオン、ブルーノが暮らす、低所得者向けの公営住宅や、郊外の住宅地、うらぶれた中古住宅であり、その光景は、彼らの孤独や生活の厳しさを浮き彫りにする。そして同時に、彼らにとっては職場こそが避難所であり「大切な我が家」であることを明らかにする。その職場には人間的なぬくもりがあり、時にはそこで恋が芽生える。毎朝、クリスティアンは過去の傷を隠すために注意ぶかく作業着を身につけ、仲間とともに仕事をはじめる。やがて、彼は同僚たちと、どこか詩的で不思議な時間を紡ぎだすようになる。駐車場での日光浴や冷蔵室での小さな冒険がまるで異国への旅のように感じられる。フォークリフトを勢いよく走らせるときには、目に見えない波の音に包まれて、ほんの束の間、現実の重みから解き放たれた気分になるのだ。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)

 

公開スケジュール Schedule

 

【上映日】
5月3日(土・祝)、4日(日・祝)、5日(月・祝)、6日(火・祝)、7日(水)、8日(木)、9日(金)、10日(土)、11日(日)、12日(月)

上映時間 変更のご案内

施設都合により、2025年5月以降、上映の開始時間に変更がございます。
【上映時間】
11:30/14:30/17:30

受付開始時間は、上映時間の30分前です。

 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)

 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。

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