GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『汚れた血』
Mauvais Sang

ドローイング - 描く -:モダン・ラブ
2025.4.12(土)~ 4.29(火・祝)

(c) THEO FILM

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2025年のテーマは「ドローイング - 描く -」。

4月のル・ステュディオは、レオス・カラックス監督の1986年の作品『汚れた血』を上映します。
虚しさを抱えながらもがく青年アレックスの姿は人気のない暗い街角に浮かび上がり、激しく勢いのあるフィジカルな駆け引きは、赤、青、白といった鮮やかな色彩を伴って、絵画のようにスクリーンに描き出されます。
テーマは「モダン・ラブ」。
デヴィッド・ボウイの名曲とともに、フィルムならではの質感ゆたかな映像をお楽しみください。
 

『汚れた血』
Mauvais Sang

1986年/フランス/119分/カラー/35mm上映

監督・脚本:レオス・カラックス
製作:アラン・ダーン、フィリップ・ディアス
撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ
音楽:ベンジャミン・ブリテン、プロコフィエフ、チャーリー・チャップリン
歌:デビッド・ボウイ
出演:ドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノシュ、ミシェル・ピコリ、ジュリー・デルピー、ハンス・メイヤー

配給:ユーロスペース

ハレー彗星の接近により灼熱の暑さとなったパリ。愛のないセックスによって感染する病気「STBO」が流行し、若者を中心に何千人もの死者が出ていた。父親を不審な事故で亡くし、天涯孤独となった少年アレックスは、何もかも捨ててパリを出ようと考えるが、父の仲間だったマルクたちに誘われ、ある製薬会社が分離に成功したSTBOウイルスの病原体を盗む計画に加わることに……。「アレックス三部作」の第2作目であり、カラックスがその名を世界に知らしめた伝説的作品。ドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノシュ、ジュリー・デルピーらの瑞々しくエネルギッシュな演技も見どころ。

監督について Director

レオス・カラックス/Leos Carax

1960年、フランス、シュレンヌ生まれ。本名アレックス・オスカル・デュポン。映画批評や短編映画製作を経て、『ボーイ・ミーツ・ガール』('84)で長編初監督。『汚れた血』の後、「アレックス三部作」の最終章『ポンヌフの恋人』('91)を発表。その後、『ポーラX』('99)、オムニバスの一編『メルド』('08)、『ホーリー・モーターズ』('12)を監督し、2021年には自身初となるミュージカル作品『アネット』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞。そして2025年春に中編『イッツ・ノット・ミー』('24)が日本で公開される。

 

作品について About Film

カラックスの『汚れた血』が公開されてから四十年近くが経つ。公開当時にこの映画を観たひとたちは、デヴィッド・ボウイの曲をバックにドニ・ラヴァンが疾走するシーンや、パリの地下鉄をいろどる原色の鮮やかさ、ジュリエット・ビノシュの衣装を今も覚えているだろう。弱冠二六歳で本作を世に問うたカラックスは、ヌーヴェル・ヴァーグ、とりわけジャン=リュック・ゴダールの後継者として批評家の絶賛を浴びた。
確かに、カラックスはゴダールの系譜につらなる。形式の探求、詩的な台詞、イメージの連想によって映像をつなぐ編集スタイル。美術を作品に取り入れるところも共通する。本作でも、破れたポスターや工事現場の仮囲いが、一九六〇年代のヌーヴォー・レアリスム、特にレイモン・アンスの作品をイメージさせる。
ゴダールは『気狂いピエロ』について「映画で絵を描こうとした」と語ったが、『汚れた血』にも同じように絵画的な側面がある。線と形が交錯する独特の映像美に、大胆なカメラワークと登場人物の動きが加わる。そして作品全体をとおして原色的な色彩が強調され、主人公たちの感情を際立たせる。この映画は、視覚を刺激するような映像表現の積み重ねによって成り立っているのだ。
エイズの時代の狂おしい愛を描いたこの物語には、屋外や空中などで撮影された場面をのぞいて写実的なところはほとんどない。アンナとアレックスが生きるのは、表現主義的な照明によって幻想のごとく浮かびあがった架空のパリであり、闇に塗りこめられたその不穏な世界では、年老いたギャングのアジトだけが赤い色に染まって異彩を放っている。
照明と装置を重視する様式的な映像は、一九八〇年代の映画界において決して珍しいものではなかった。リアリズムが優勢だった時代を経て、さまざまな形式主義(絵画的、演劇的、装飾的)が模索されていた。フェリーニ、ファスビンダー、レネ、コッポラが映画の人工性をかつてないほど肯定したのも、まさにこの時代のことである。
『汚れた血』はカラックスの独創的なヴィジョンを示しながらも、フランス映画の伝統のなかに位置づけられる作品である。フランスには、独自の美意識を貫き、映画の造形性を追求する作家たちが常に存在するのだ。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)

 

公開スケジュール Schedule

【上映日】
4月12日(土)、13日(日)、18日(金)、19日(土)、20日(日)、25日(金)、26日(土)、27日(日)、28日(月)、29日(火・祝)

【上映時間】
11:00/14:00/17:00

 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)

 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。

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