『パリところどころ』
Paris vu par...
1965年/フランス/97分/カラー/ブルーレイ上映
上映日:10月5日(土)、6日(日)、9日(水)、10日(木)、15日(火)
※15日(火)は 11:00/14:00のみ
GINZA MAISON HERMÈS
フォーブルの魂
2024.10.5(土)~ 10.15(火)
『パリところどころ』(c) LES FILMS DU LOSANGE 1965
『ミッドナイト・イン・パリ』 Photo by Roger Arpajou ©2011 Mediaproducción, S.L.U.,Versátil Cinema, S.L.and Gravier Productions, Inc.
ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2024年のテーマは「フォーブルの魂」。
10月は、「パリ、住んで、憧れて」をテーマにした特別プログラム。
パリの街を舞台にした2本の作品『パリところどころ』『ミッドナイト・イン・パリ』を上映いたします。
また、本プログラムに際し、ル・ステュディオのプログラム・ディレクター、アレキサンドル・ティケニスも来日し、トークセッションを開催いたします。
※2作品のどちらかのみ、ご予約いただけます。両方をご予約いただくことはできませんので予めご了承ください。
※トークセッションの申込方法は、上映会の申込方法とは異なります。ご確認ください。
1965年/フランス/97分/カラー/ブルーレイ上映
上映日:10月5日(土)、6日(日)、9日(水)、10日(木)、15日(火)
※15日(火)は 11:00/14:00のみ
2011年/スペイン、アメリカ/94分/カラー/DCP上映
上映日:10月7日(月)、8日(火)、11日(金)、12日(土)、13日(日)、15日(火)
※13日(日)は11:00のみ
※15日(火)は 17:00のみ
ル・ステュディオのプログラム・ディレクター、アレキサンドル・ティケニスが6年ぶりに来日。下記の通り、トークセッションを開催いたします。
※限られた座席数のため、本トークセッションはご参加申し込みの後に抽選を行います。ご都合の良いお時間のどちらか一つを、お選びくださいますようお願い申し上げます。
開催日時
セッション1: 10月13日(日)14:00~15:15(約75分。日本語通訳付。)
セッション2: 10月13日(日)17:00~18:15(約75分。日本語通訳付。)
「映画のなかのパリ」
登壇者:アレキサンドル・ティケニス
本年度のテーマは「フォーブルの魂」。エルメスのホームタウンでもある「パリ」は、映画と縁の深い場所でもあります。映画の舞台となったロケ地や時を超えた名画座のある街角など、パリは映画の中でどのように描かれてきたのでしょうか。
10月のプログラム「パリ、住んで、憧れて」にて紹介する二つの映画から、記憶に新しいパリ・オリンピックの開会式に見る演出まで、パリという町の持つ劇場性と映画との関わりについて、ティケニスさんにお話を伺います。
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申込方法
下記の申込フォームにご記入ください。
★申込フォームはこちら
※通常の銀座メゾンエルメスアカウントでの予約とは、お申込み方法が異なります。
※応募者多数の場合、抽選となります。
申込期間
9月20日(金)19:00~10月2日(水)23:59
抽選発表の日時
10月4日(金)18:00頃
当選・落選、どちらの場合もメールにて通知がございます。
半世紀近くの時をへだてて制作された『パリところどころ』と『ミッドナイト・イン・パリ』は、それぞれ、『パリジャンところどころ』、『アメリカン・イン・パリ』というタイトルでもよかっただろう。
『パリところどころ』は、ヌーヴェルヴァーグの監督たちが手がけたオムニバス映画である。16mmの小型カメラや同時録音を用い、仕事、恋愛、家族の問題に悩むパリジャンたちの日常を軽やかに描いていく。対照的に、『ミッドナイト・イン・パリ』は、ノスタルジーとファンタジーに彩られ、ウディ・アレンらしさを端々に感じさせるコメディである。そこでは、パリのロマンチックな雰囲気や芸術的な生活が、幻想的な光によって美しく照らしだされる。
バーベット・シュローダー(注)がプロデュースした『パリところどころ』は、下火になりつつあったヌーヴェルヴァーグに勢いを取り戻させるために作られた作品である。ヌーヴェルヴァーグを代表する4人の監督、そして、批評家で作家のジャン・ドゥーシェ、人類学的ドキュメンタリーを制作する映像作家のジャン・ルーシュが集まり、それぞれ、パリの一地区を担当した。6篇の短篇はどれも、パリの魅力を讃えるものではない。讃えるように見えるときでも、そこには必ず皮肉がこめられている。パリの各地区の社会的、地理的環境に根ざした登場人物たち、ブルジョワ、労働者、芸術家、サラリーマン、娼婦を通して、パリという街の社会学的な多様性が明らかになっていく。
ジャン・ドゥーシェは、伝説的なサンジェルマン・デ・プレで、一夜限りの関係をもとめる男たちの軽薄さを辛辣に映しだしている。カメラはサンジェルマン・デ・プレの街路をゆっくりと巡り、ナレーションがその風情豊かな美しさを痛烈に皮肉る。だが、その風情こそ、パリの自由な空気にあこがれるアメリカ人たちを惹きつけてやまない魅力なのだ(この点はウディ・アレンの作品とも共通する)。
第2話の「北駅」を監督したジャン・ルーシュは、シネマ・ヴェリテのスタイルで、若いカップルが質素なアパートで仲違いする様子を、長回しを使ったドキュメンタリー調の映像に収め、同時に、地域の変貌をさりげなく画面に取り込んでいく。
エリック・ロメールは、第4話「エトワール広場」で、パリでもっとも有名な交差点の不条理をおもしろおかしく描いた。傘に執着する主人公にとって、エトワール広場を移動するのは至難の業だった。ジャン=ダニエル・ポレは第3話「サンドニ街」で、パリの売春の中心地だった街を舞台に、皿洗いの内気な男と物慣れた娼婦の出会いを軽妙なタッチで描いている。
第5話「モンパルナスとルヴァロワ」では、ふたりの恋人のあいだで揺れうごく若い女性の試練と苦悩が描かれる。ジャン・リュック・ゴダールは、この物語に小さないたずらを仕掛けた。ふたりの恋人は住む場所も職業もまるで異なり、一方は彫刻家、もう一方は自動車の板金工だが、彼らには共通点もあった。どちらの仕事も金属をあつかうのだ!
映画は、高級住宅街ラ・ミュエットで幕を閉じる。クロード・シャブロルの辛辣な笑いは、時に残酷なユーモアにまで研ぎ澄まされる。後年の作品同様、シャブロルはここでもブルジョワ家庭の閉塞感をあつかうが、本作では、その状況が子供の目を通して描かれる。
ウディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ』は、きらめきと哀愁が交錯するお伽話である。この寓話にパリの人々はほとんど登場せず、物語はアメリカ人観光客の視点から語られる。観光客としてパリを訪れた脚本家のギルは、まちがいなく、ウディ・アレンの分身である。ウディ・アレンという監督は、社会的な問題にあまり関心をもたず、本篇でも、労働者や庶民の街を描くよりも、アメリカ人の富裕層があこがれるパリ、つまり、観光名所や高級ブランド街を舞台にするが、それはアメリカ人観光客に対する皮肉なのだ。画面には、有名な観光地が固定撮影で次から次へと映しだされる。花の都パリのステレオタイプを裏切らない理想的な絵葉書のような風景が続くのだ。ギルの(未来の)義理の両親は、とても保守的なひとたちで、パリ滞在中は、贅沢にふけり、美食や社交を満喫する。ところが、ギル自身はまるで魔法にかけられたように、1920年代のパリにタイムスリップしてしまう。当時のパリは世界の芸術の中心地であり、前衛芸術のメッカであった。夢であれ幻であれ過去に遡ることをきっかけに、ギルは目の前の現実と決別を果たすことになる。パリが幻想にすぎないとしても、少なくとも、そこでは恋する気持ちや想像力をどこまでも自由に広げることができるのだ。
『ミッドナイト・イン・パリ』は、パリと芸術へのラブレターである。ウディ・アレンはこの作品をつうじて、パリとその文化的な豊かさへの愛を示した。そして、物質主義に堕した現代世界を生き抜くためには芸術への愛が不可欠であると、私たちに教えてくれているのである。
注:「北駅」に役者として出演もしている。後に映画監督となった。
アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
【上映日】
プログラム A 「パリところどころ」
10月5日(土)、6日(日)、9日(水)、10日(木)、15日(火)11:00/14:00
プログラム B 「ミッドナイト・イン・パリ」
10月7日(月)、8日(火)、11日(金)、12日(土)、13日(日)、15日(火)17:00
【上映時間】
11:00/14:00/17:00
※13日(日)は 11:00 B /14:00 トーク /17:00 トークとなります。
※15日(火)は 11:00 A /14:00 A /17:00 B となります。
ご注意ください。
銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
※このプログラムの上映は既に終了いたしております。