GINZA MAISON HERMÈS
Le Studio
『天国にちがいない』
It Must Be Heaven
驚きの発見:エトランジェの眼差し
2023.6.3(土)~ 6.25(日)
(c) 2019 RECTANGLE PRODUCTIONS – PALLAS FILM – POSSIBLES MEDIA II – ZEYNO FILM – ZDF – TURKISH RADIO TELEVISION CORPORATION
ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2023年のテーマは「驚きの発見」。
6月は、故郷ナザレを離れ、新作を売り込むためにパリやNYを旅する映画監督の男が各地で遭遇する奇妙な日常を、皮肉や風刺を交えて軽妙に描いたコメディ『天国にちがいない』をお届けします。
『天国にちがいない』
It Must Be Heaven
2019年/フランス・カタール・ドイツ・カナダ・トルコ・パレスチナ/102分/カラー/デジタル上映
監督・脚本:エリア・スレイマン
撮影監督:ソフィアン・エル・ファニ
編集:ヴェロニク・ランゲ
録音:ヨハネス・ドベレンツ
製作:エドワール・ヴァイル、ラウリン・ペラシー、エリア・スレイマン
タナシス・カラサノス、マーティン・ハンペル、セルジュ・ノエル
出演:エリア・スレイマン、ガエル・ガルシア・ベルナル、
グレゴワール・コラン、スティーヴン・マクハティ
配給:アルバトロス・フィルム
「この世界はパレスチナの縮図なのか?」。エリア・スレイマンが大いなる疑問を投げかける傑作コメディー。ナザレに暮らすパレスチナ人映画監督のES氏(エリア・スレイマン)は新作映画の企画を売り込むために旅に出る。ナザレからパリ、ニューヨークへと、主人公が行く先々で目にする、ちょっと不思議な日常の断片が、美しい映像とともにユーモラスに描き出される。ナザレの奇妙な住人たち、ひと気のないパリの街を走る戦車、ニューヨークの公園で警察に追われる天使……。映画はダイアローグを極力排し、多くを語らないが、そこにはスレイマン監督の世界の現状に対する風刺が込められている。
監督について Director
エリア・スレイマン/Elia Suleiman
1960年7月28日ナザレ生まれ。1981年から1993年までニューヨークで暮らし、在米中に監督した短編が数々の賞を受賞する。1994年にエルサレムに移り、ヨルダン川西岸のビルツァイト大学で教鞭をとる。欧州委員会からの要請で同大学に映画・メディア学部を創設。1996年、長編初監督作となる『消えゆく者たちの年代記』でヴェネチア国際映画祭の最優秀初長編作品賞を受賞。2002年、『D.I.』ではカンヌ国際映画祭で審査員賞と国際批評家連盟賞を受賞し、ヨーロッパ映画賞で最優秀外国語映画賞を受賞。2008年、カンヌ国際映画祭60回記念オムニバス作品『それぞれのシネマ』に参加。2009年、『時の彼方へ』がカンヌのコンペティション部門にノミネート。2019年、10年ぶりの新作『天国に違いない』が公開された。
作品について About Film
しかし、それぞれの歴史的背景やスタイルの違いをわきにおいて、3人の共通点に目をむければ、映画のテクニックが時代や国を超えて普遍的に用いられることに気づかされる。まず、彼らは同じ方法によって笑いを生みだす。セリフに頼らず、映像だけを用いて、人間社会に生じる異様な状況から笑いをひきだすのだ。人間は、社会的な規範や規則にあわせて行動する。たとえその規則が不条理だったり抑圧的に働くとしても、わたしたちは恐怖や虚栄心から規則にしたがって行動してしまう。そのような人間のありようを、3人は笑いをつうじて露わにするのである。
そして、彼らは3人とも主人公を自分自身で演じる。どの主人公も帽子をかぶり、どこか風変わりで、口数がすくなく、とぼけていて、周囲から浮いている。目と動作だけで自分を表現し、世界の猥雑さにいつまでも馴染めない。
『天国にちがいない』は、映画監督のスレイマンが、次回作の資金集めのために世界中を旅する物語である。全編をつうじて現実と虚構が入り混じり、たとえば、パリでは、スレイマン監督が本物の映画プロデューサーに会い、自作のシナリオ(『天国にちがいない』のシナリオ!)を見せるが、資金援助のはなしは断られてしまう。
その後の旅も、驚きと幻滅の連続である。ナザレはすっかり無秩序に覆われ、パリは打ち捨てられた巨大な美術館のごとく静まりかえっていた。絵葉書のように静止したパリの街路で、スレイマンは完全に管理された美しさに圧倒されて立ち尽くす。続いて訪れたニューヨークでは、重武装した無関心なひとびとが町を行き交っている。それに較べれば、ナザレは平和そのものであり、隣人とのいさかいも気にするほどではない。結局、スレイマンは、遠くの国まで探しに行ったものを祖国でみつけたのである。思いやりも、他人と分かちあう心も、自宅の裏庭にあったのだ。
アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
公開スケジュール Schedule
【上映日】
6月3日(土)、4日(日)、9日(金)、10日(土)、11日(日)、17日(土)、18日(日)、23日(金)、24日(土)、25日(日)
【上映時間】
11:00/14:00/17:00
会場 Access
銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
予約 Reservation
※このプログラムの上映は既に終了いたしております。
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