エルメスの代表的なオブジェの1つであるカレ。毎シーズンさまざまなアーティストによる多彩なコレクションが登場する中に、アーティストの野村大輔のデザインはここ10年来、継続的に登場している。そんな野村がパリのエルメスを初めて訪問した時の「出会い」と、その時に感じた思いを今年の年間テーマ「もっと軽やかに」につなげ、ウィンドウに表現しました。2009年にエルメスが主催したネクタイのデザインコンテストにて、野村は審査委員特別賞を受賞。2012年冬、初めてパリの第一号店であるフォーブル=サントノーレ店とエルメスのミュゼを訪れます。「そこで見た景色やオブジェの数々は芸術性と遊び心に満ち溢れていて衝撃を受けました。プレッシャーで押しつぶされそうだった自分の心が解放され“もっと楽しんで良いのだ“と気持ちが軽くなったのを覚えています。」野村はそう語ります。
ミュゼには、エミール・エルメスが収集した馬関連や職人の技が込められたコレクションが数多く展示されています。特に印象的だったのは、円状に配置された馬が回ることで中央のミラーに馬が連続して映り、1頭の馬が駆けているかのように見えるプラキシノスコープ、そして、遠近感を利用し覗き穴から見た絵を奥行のある風景に見せるピープショーでした。今回、この2つの視覚の魔術を野村なりの解釈を通してウィンドウに反映しました。折しもフォーブル店へ訪れたのは、冬のクリスマスシーズン。窓の外に浮かんでいたシャボン玉の幻想的なシーンもガラスボールで再現しました。カレのデザインとはまた違った、野村の新たなクリエーションになっています。