GINZA MAISON HERMÈS
Le Studio
『ウェイキング・ライフ』
Waking Life
夢を追いかけて:夢は運命
2019.3.2(土)~ 3.31(日)
ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2019年のテーマは「夢を追いかけて」。
3月は夢と現実が混在した摩訶不思議な世界をさまよう青年の『ウェイキング・ライフ』をお届けします。
『ウェイキング・ライフ』 Waking Life
監督・脚本・撮影:リチャード・リンクレイター
製作:トミー・パロッタ、アン・ウォーカー=マクベイ、パルマー・ウェスト、ジョナ・スミス
音楽:グローヴァー・ギル、トスカ・タンゴ・オーケストラ
美術:ボブ・サビストン
出演:ワイリー・ウィギンズ、イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー
フォトクレジット:© 2001 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
監督について Director
1960年、米国テキサス州ヒューストン生まれ。高校、大学では野球選手として活躍したが、持病により断念。88年に8ミリで撮影したIt's Impossible to Learn to Plow by Reading Booksで長編デビュー。その後、『恋人までの距離<ディスタンス>』('95)でベルリン国際映画祭監督賞を受賞したことにより、国際的にその名を知らしめた。その後も精力的に映画製作を続け、『ウェイキング・ライフ』のような実験的作品だけでなく、『スクール・オブ・ロック』('03)といった娯楽映画など、ジャンルにこだわらず幅広い活動を続けている。2018年、自身が製作・監督・脚本を務めた『30年後の同窓会』('17)が日本でも公開された。「オースティン映画協会」の創立者の一人でもあり、後進の育成にも力を注ぐ。
作品について About Film
実験的な作風で知られるアメリカ映画界の異端児、リチャード・リンクレイター。彼の作品に登場する人物たちは、ほとんどいつも、行動するよりも、哲学的なおしゃべりに没頭する。『ウェイキング・ライフ』でも、人間の存在意義や、人間と世界との関係といった哲学的な問いが、独特の映像美とともに、哲学のシロウトでも分かるように探求される。
冒頭、男の子と女の子が折り紙で占い遊びをしている。女の子が紙をひらくと「夢は運命」という言葉があらわれる。映画はすぐに夢と現実のはざまを漂いはじめる。リンクレイター自身に似た主人公の青年が、白昼夢のように空を飛び、世界を俯瞰する。色鮮やかにペイントされた現実世界をさまよいながら、さまざまな人間に出会っていく。彼らはみな、たとえば、自由意志や決定論について語り、アリストテレスやキルケゴール、フィリップ・K・ディックの言葉を引用する。
世界はデフォルメされ、たえず揺らめき、独特の浮遊感を感じさせる。登場人物たちも同じようにカラフルな筆づかいで、単純化されたり、細部までリアルに描きこまれたり、ごつごつと角張った姿や、まんまるにふくらんだ姿で描かれる。哲学的な対話を交わしながら、彼らは我を忘れて興奮し、心を静め、真理を悟り、疑問で頭をふくらませ、その心の動きに応じて姿を変化させる。
難解な哲学談義とポップなアニメーション。『ウェイキング・ライフ』の魅力は、この組み合わせの妙にある。アニメという表現スタイルは、これまでずっと、子供向けのエンターテインメントにすぎないと思われてきたが、今では、シリアスな問題をリアルに描くためにも用いられている。リンクレイターがアニメを選んだのも、単に美的な理由からだけではない。アニメによって現実を様式化することで主人公の揺れうごく心を表現し、主人公が抱える「問い」を示そうとしたのである。「ぼくらは夢遊病者なんだろうか。それとも、自分の夢のなかで生きているのだろうか」。
ビデオカメラで撮影した実写映像をアニメ化することで、『ウェイキング・ライフ』は作品のリアリティを確保しながら、夢と現実の境界をぼかし、ぼくたちの目には映らないものを見せてくれるのだ。
アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
上映スケジュール Schedule
3月2日(土)、3月3日(日)、3月9日(土)、3月10日(日)、3月16日(土)、3月17日(日)、3月21日(木・祝)、3月23日(土)、3月24日(日)、3月30日(土)、3月31日(日)
上映時間
11:00/14:00/17:00
会場 Access
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)