GINZA MAISON HERMÈS

Window Display

「空想に耽って」
Head in the clouds

2022.5.12(木)~8.2(火)
銀座メゾンエルメスのウィンドウディスプレイは、街にひらかれた劇場です。さまざまなクリエイターの独創的な視点を通して、エルメスの世界観を表現します。

エルメスの2022年のテーマは「もっと軽やかに」。ウィンドウという空間を使い、さまざまな夢の世界に誘います。

「顔」と「仮面」というテーマは、ジョナサンの作品の中でしばしば繰り返されています。彼はこのテーマを「無生物に命を与え、且つ作品を見る人を取り込んで引き込むための方法」と考えています。今回のエルメスのウィンドウディスプレイを制作するにあたり、ジョナサンは銀座店の正面入り口を巨大な顔として再考したいと考えました。これは、パブリックとプライベート、外部と内部、現実と夢、そして「夜/月」と「昼/太陽」といった二者間のギャップを埋めることでもありました。
エルメスの今年のテーマ「もっと軽やかに」から気球飛行の世界と歴史を想像したジョナサンは、そこから大きく創造力を広げ、雲の上に浮かんでいる気球が太陽と月に見守られている場面を作り出しています。太陽を光線と人間の顔で描くという図像の伝統は、中世時代に西洋の伝統として発展し、ルネッサンス期に広まり、古典的な放射線状の冠を被った太陽神(ソル/ヘリオス)を思い起こさせます。また、本来そこに無い顔を月の上に見て擬人化してしまうことも良く知られた西洋の伝統です。
小窓では、軽さ、動きそして空気と影の要素のメタファーとして、正面ウィンドウに登場した扇子の人「Fan people」が象徴的に繰り返されています。各小窓には扇子の人が登場し、それぞれ月と太陽、季節、または雲のイメージを描写しています。これらは「仮面」であり、同時に小窓の中でそれ自身が演じるための脚、腕、手を持つキャラクターでもあります。仮面はまた、変容を表し、私たちを空想に誘い、他の世界に運ぶためのオブジェとしても機能します。

アーティストプロフィール Artist Profile

ジョナサン・バルドック Jonathan Baldock
 
ジョナサン・バルドックは、1980年イギリス、ケント生まれ、現在はロンドンを拠点に活動するアーティスト。ウィンチェスター・スクール・オブ・アートで絵画の学士号を取得(2000-2003)した後、ロンドンの王立芸術大学で絵画の修士号(2003-2005)を卒業。2021年にはスペインやストックホルムなどで個展を開催。彫刻、インスタレーション、パフォーマンスを含む幅広いプラットフォームで活動している。
バルドックは、身体と空間との関係をめぐるトラウマ、ストレス、官能性、死生観、精神性などのテーマを取り上げ、伝記的な形を取る作品で知られている。ユーモアと機知に富んでいるだけでなく、彼の神話や民間伝承への長年の関心からくるある種の不気味さも孕んでいるのが特徴と言える。彼の作品におけるセラミックとファブリックといった素材の扱い方からも分かるように、素材間のコントラストに継続的に焦点を当てている。素材の機能的側面を取り除き、代わりに彫刻のアッサンブラージュによってパフォーマンス的に作品を制作し、見る人、もの、それらが同時に存在する空間に対し、演劇的・儀式的行為として疑問を投げかけている。