GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『キートンのセブン・チャンス』
Seven Chances

驚きの発見:逃走の心得
2023.8.5(土)~ 8.27(日)

(c) Collection Serge Bromberg

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2023年のテーマは「驚きの発見」。

8月は、財産と結婚に追いつ追われつ、走って走って走り回る男の喜劇『キートンのセブン・チャンス』をお届けします。
 

『キートンのセブン・チャンス』
Seven Chances

1925年/アメリカ/55分/カラー&モノクロ/デジタル上映
※Lobster FilmsとBlackhawk Filmsによる2022年レストア版

監督:バスター・キートン
原作:デーヴィッド・ベラスコ
脚色:ロイ・クーパー・メグルー
脚本:クライド・ブラックマン、ジーン・ハヴェズ、ジョセフ・ミッチェル
撮影:バイロン・フーク、エルジン・レスリー
出演:バスター・キートン、T・ロイ・バーンズ、スニッツ・エドワーズ、ルス・ドワイヤー

証券会社を経営するジミーは金融詐欺に巻き込まれ、資金調達をしなければ刑務所行きも免れないという危機に陥っていた。そんななか、ジミーに700万ドルという巨額の遺産相続話が舞い込む。しかし、その条件は27歳の誕生日の午後7時までに結婚すること。そして、今日がその誕生日だった。ジミーはかねてから思いを寄せていたメアリーにプロポーズをするが、ふられてしまう。失意のなか、弁護士に言われるがまま、手当たり次第に女性に求婚するジミー。だが上手く行くはずもなく、しびれを切らした同僚が花嫁募集の広告を勝手に新聞に載せてしまう。そうとは知らないジミーのもとに大金目当ての求婚者が押し寄せてきて……。逃げるジミー、追いかける花嫁の大群、空前絶後の追いかけっこが始まった!

監督について Director

バスター・キートン/Buster Keaton

バスター・キートンことジョセフ・フランク・キートンは、1895年10月4日にカンザス州ピクアで、ヴォードヴィル芸人の両親のもとに生まれた。4歳の頃から家族とともに舞台に立ち、体を張った芸で人気を博す。1917年、ロスコー・アーバックルと出会い、映画界に入る。その後、ヴォードヴィルで培った唯一無二のアクションでサイレント映画の一時代を築いた。1928年、MGMと契約を結ぶが、スタジオシステムに組み込まれ、自由を失ったキートンは酒に溺れるようになる。1933年にMGMを解雇された後は海外作品や、エデュケーショナル社の短編などに出演。1949年以降は再評価がなされ、テレビや映画、舞台で活躍した。1966年2月1日、カリフォルニア州ウッドランド・ヒルズで死去。

 

作品について About Film

バスター・キートンの傑作はどれも、同じ構造をもつ。演出のしかたも空間の使いかたも一貫しているのだ。初めに、主要人物たちが登場する。キートンが演じる主人公は、ヒロインに恋するナイーブで内気な青年である。心優しい青年は、夢見がちで、大人の世界になじむことができない。序盤は、登場人物がほとんど動かず、静かに展開する。その後、物語のペースがすこしずつ加速し、それにともなって物語の空間もひろがっていく。そして、キートンが、その空間のなかを縦横無尽に動きまわるのだ。

どの作品でも、キートンは「自分より大きなもの」に向きあってしまう。たとえば、『蒸気船』の竜巻のような自然災害や、『大列車追跡』の南北戦争といった歴史的事件に巻き込まれる。『海底王』では、漂流する豪華客船をひとりで操縦するはめになり、『警官騒動』では100人以上の警官に追跡され、『セブン・チャンス』では数えきれないほどの求婚者たちに追いかけられる。キートンの喜劇は、主人公が群衆や大自然をまえに慌てふためくという構図をもつ。静と動、空虚と充溢のせめぎ合いから、笑いが生まれるのである。

主人公が災難にみまわれるのは、好きな女性に告白できないからである。彼は、言葉ではなく視線と身振りで自らを表現する。眼の動きによって気持ちを表わし(彼がどんなふうに目を開けたり閉じたりするかを見てほしい!)、敏捷な身のこなしによって恋を成就するのである。キートンのアクロバティックな演技には、いつも驚かされる。身体能力の高さもさることながら、激流を越えたり、急峻な谷を飛び越えたりする方法の意外さにびっくりさせられるのだ。

『セブン・チャンス』の主人公は、人間の欲深さと重力に追い立てられる。岩石がなだれのように襲いかかり、女性たちが群れになって追いかけてくる。花嫁を見つけようとしただけなのに、いつの間にか、カフカ的な悪夢の世界にはいりこんでしまったのだ。シュルレアリストたちがキートンを讃えたのは、彼の作品がこのように現実と虚構をまぜあわせるからであり、結婚という神聖な制度をやんわりと皮肉っているからである。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)

 

公開スケジュール Schedule

【上映日】
8月5日(土)、6日(日)、11日(金・祝)、12日(土)、13日(日)、18日(金)、19日(土)、20日(日)、26日(土)、27日(日)

【上映時間】
11:00/14:00/17:00

 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)

 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。

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