GINZA MAISON HERMÈS
Le Studio
『新学期 操行ゼロ』
Zéro de Conduite
『ラプソディー』
Rhapsody
もっと軽やかに:老いも若きも
2022.8.6(土)~ 8.28(日)
『新学期 操行ゼロ』(c) 1934 Gaumont 『ラプソディー』(c) Silex Films
ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2022年のテーマは「もっと軽やかに」。
8月は、人生の幼年期と老年期を軽やかに描く2本『新学期 操行ゼロ』と『ラプソディ』をお届けします。
『新学期 操行ゼロ』
Zéro de Conduite
1933年/フランス/49分/白黒/デジタル上映
監督・脚本・編集:ジャン・ヴィゴ
製作:ジャック・ルイ=ヌネーズ
撮影:ボリス・カウフマン
音楽:モーリス・ジョベール
美術:アンリ・シュトルク
出演:ジャン・ダステ、ルイ・ルフェーヴル、
ジルベール・プリュション、ジェラール・ド・ベダリュー
配給:IVC
ジャン・ヴィゴが自身と父親の体験をもとに描く、全寮制の寄宿学校を舞台にした中編劇映画。素行不良のコッサ、ブリュエル、コランの三人組は、舎監長をはじめとした教師たちに目をつけられ、厳しい規則により抑圧された学校生活を送っていた。何かといえば“操行ゼロ”の評価を下され、日曜日の外出さえ禁じられる。一方、気弱な少年タバールも、あることがきっかけで校長らに反発し、三人の仲間に入る。そして、知事が来賓する式典の前夜、少年たちは“舎監と罰則の打倒!”を叫び、ドクロの旗を掲げ、大人たちに宣戦布告するのだった。
『ラプソディー』
Rhapsody
2016年/フランス/15分/カラー/デジタル上映
監督・脚本・製作:コンスタンス・メイヤー
製作:プリシラ・ベルタン、エリサ・ラリエール、ジュディット・ノラ
撮影:クリストフ・オーファンスタン
録音:ファニー・ヴァインゼップフレン、イヴァン・デュマ
編集:アニタ・ロス
出演:ジェラール・ドパルデュー
高層アパートの最上階に暮らす60歳の孤独な男。彼は毎日、他の階に住む女性から赤ん坊のテオを預かり、世話をしている。ミルクをあげ、本を読み聞かせ、一緒に昼寝をする。そんなごく当たり前で、でもちょっと変わった日常と二人の絆が描かれる。
監督について Director
ジャン・ヴィゴ/Jean Vigo
1905年4月26日、パリのアナキストが集まるアジトで生まれる。父親は反政府運動の闘士であり、政治記者であったが、ヴィゴが12歳の時に獄中死。自殺とされたが実際には他殺と考えられている。その後、寄宿学校などをへて、ソルボンヌで哲学を学ぶ。1929年、肺結核の療養施設で出会ったエリザベート・ロジンスカと結婚。1930年、短編『ニースについて』を初監督。翌年『競泳選手ジャン・タリス』を監督し、1933年には劇場用作品『新学期 操行ゼロ』を完成させるが検閲により上映禁止に。翌1934年の長編『アタラント号』は配給会社の意向で大幅に短縮、改題して公開された。同年10月5日、敗血症により死去。第二次世界大戦後に真価が認められ、1951年にはジャン・ヴィゴ賞が創設された。
コンスタンス・メイヤー/Constance Meyer
1984年2月4日、スイス、シオン生まれ。ソルボンヌで文学と歴史を学んだのち、2010年、ニューヨーク大学ティッシュ芸術学部に入学。卒業後は演劇と映画の仕事と並行して自身の短編制作を行う。『ラプソディ』('16)はロカルノ国際映画祭などに出品され、複数の賞を受賞。2021年には初の長編『Robuste』がカンヌの批評家週間で特別上映された。
作品について About Film
しかし、子どもは自由をもとめる。その衝動は誰にも止められない。ジャン・ヴィゴの『新学期 操行ゼロ』は、ただそのことだけを最後の場面まで語りつづける(主人公の生徒たちは、最後の場面でついに自由を手に入れたのだろうか、それとも、虚空にむかってジャンプしたのだろうか)。ジャン・ヴィゴは、平和主義的なアナーキストの息子として生まれ、29歳の若さで亡くなった。遺した作品はわずか数篇だが、現代にも通じる自由な映像表現と、リアリズムにもとづく社会批判に詩趣を加味する独特のスタイルによって、フランス映画界の伝説的な存在として現在でも根強い人気を誇っている。本作では、寄宿学校の息苦しい日々が、はちゃめちゃな大騒ぎによって掻き乱される。いくつかの場面では、シュール・レアリスムの精神も感じられる(たとえば、舎監がキリストの磔刑のようにベッドに縛りつけられる場面や、反乱を起こした生徒たちが、大人に見立てた人形にものを投げつける場面など)。子供たちが体現する自由を、ヴィゴはアニメーションやスローモーションなどの映像技術を用いて表現する。特に、スローモーションによって撮影された「枕投げ」のシーンは、本作を象徴する忘れがたい場面となっている。
『新学期 操行ゼロ』は反愛国的な作品として上映禁止になり、終戦後の1946年にようやく公開された。フランソワ・トリュフォーは本作の大ファンを自認し、大人に反抗する子供を描いたもう1本の傑作『大人は判ってくれない』を監督した。
一方、コンスタンス・メイヤーの短編『ラプソディー』は、対立とは無縁の作品である。都市の片隅でひとり寂しく暮らす男が、小さな赤ん坊に癒しをもとめ、安らぎをとりもどす。男の内面に寄り沿うように、作品の最初と最後に黒人霊歌がながれる。ジェラール・ドパルデューの起用には、異論もあったかもしれない。ドパルデューの存在感に、映像が負けてしまう恐れがあった。コンスタンス・メイヤー監督はその危険を避けるために、ドパルデューを裸にして赤ちゃんといっしょに撮影した。その映像には、ドパルデューの思いがけない優しさと繊細さが現れている。初老の俳優と赤ん坊、より軽やかなのはどちらだろうか。
アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
公開スケジュール Schedule
【上映日】
8月6日(土)、7日(日)、11日(木・祝)、13日(土)、14日(日)、20日(土)、21日(日)、27日(土)、28日(日)
【上映時間】
11:00/14:00/17:00
会場 Access
銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
予約 Reservation
※このプログラムの上映は既に終了いたしております。
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