GINZA MAISON HERMÈS
Le Studio
『ムーンウォーク・ワン』
Moonwalk One
イノベーションの動き:最初の一歩
2020.3.1(日)、7.16(木)~7.24(金・祝)
ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2020年のテーマは「イノベーションの動き」。
7月は会場をオンラインに移して開催します。作品は、3月の上映会がキャンセルとなってしまった『ムーンウォーク・ワン』です。
今から51年前の7月16日から24日は、人類が初めて月を旅した9日間。アポロ11号の歴史的瞬間を収めたドキュメンタリーをご自宅でお楽しみ下さい。
『ムーンウォーク・ワン』Moonwalk One
1971(2009)年/アメリカ/107分/カラー/デジタル上映
監督:テオ・カメック
脚本:ペレツ・W・ジョーンズ、テオ・カメック
出演: バズ・オルドリン、ニール・アームストロング
マイケル・コリンズ、ローレンス・ラッキンビル(ナレーション)
製作:ペレツ・W・ジョーンズ、クリストファー・ライリー
音楽:チャールズ・モロー
1969年、人類史上初の月面着陸を成功させたアポロ11号を描いたドキュメンタリー。映画の冒頭で映し出されるのは朝日に照らされるストーンヘンジの巨石群である。やがて映像はカットを重ねながら、闇夜の発射台に鎮座するアポロ11号の姿へと切り替わってゆく。1969年7月16日、ケネディー宇宙センターとその周辺は、政府の要人や、打ち上げを一目見ようと詰めかけた100万もの観衆で埋め尽くされていた。そして人々が固唾を呑んで見守る中、3人の宇宙飛行士を乗せたアポロ11号は轟音とともに発射され、人類未踏の天体を目指し飛び立ってゆくのだった。この作品は、月面着陸という重大ミッションの記録のみならず、地上での訓練の様子や、宇宙服の製作過程、月の石の分析、華々しい凱旋パレードにいたるまで、歴史的偉業の全容を余すことなく伝えている。なお、本作は月面着陸40周年の節目にあたる2009年に制作されたディレクターズカット版である。
監督について Director
1937年10月18日ニューヨーク生まれ、マサチューセッツ州で育つ。タフツ大学に入学するも2年で退学し、ヒッチハイクで全国を回る旅に出る。西海岸で数年暮らしたのち、ボストンの出版社に就職するが、映画制作を志しニューヨークに移住。フランシス・トンプソンとアレクサンダー・ハミッドが監督した短編『To Be Alive!』('64) の編集担当として映画制作の道に入る。その後、NASAとともにアポロ11号のドキュメンタリーを企画していたトンプソンの誘いで『Moonwalk One』('71)を監督。70年代にはいくつかのドキュメンタリーを制作したが、80年代以降は映画制作から離れ、彫刻家として創作活動を行う。電子回路の基板を使った造形作品で知られている。2017年5月23日、79歳で死去。
作品について About Film
モンタージュの大胆さで言えば、『ムーンウォーク・ワン』は、キューブリックの『2001年宇宙の旅』にも引けをとらない。『2001年宇宙の旅』の有名な冒頭のシークエンスでは、ホモサピエンスの祖先となる猿人たちが道具として扱うことをおぼえた動物の骨と、宇宙空間を飛行する宇宙船ディスカバリー号が、数千年の時を超えてワンカットで接続する。映画史に残るこのジャンプカットに負けず劣らず、テオ・カメックの『ムーンウォーク・ワン』も、その冒頭のシーンで、3000年以上前に立てられたストーンヘンジの巨石群から、20世紀半ばの先端科学によって実現した鋼鉄製の巨大ロケット「サターンV」へと一気に飛躍する。
NASAから映画製作を依頼されたカメックは、型通りのドキュメンタリーを作るつもりも、アポロ計画の科学的側面だけを取り上げるつもりもなかった。月面への小さな一歩は、人間の飽くなき好奇心と、宇宙の謎を解き明かしたいという欲望を体現した。当時の人々は、アポロ計画のうちに、古代から連綿とつづく進歩の到達点を見ていた。世界中の人々が、その偉業に心を動かされた。
ロケットの打ち上げにあわせて、盛大な「ローンチパーティ」が開催された。楽天的な若いアメリカ人女性が、打ち上げの様子をじっと見つめている。彼女と同じように、地球上のあらゆる場所で、無数の人々が世紀の出来事に目を凝らしていた。ニール・アームストロング船長が、誰もまだ歩いたことのない、青空の彼方の大地に踏み出したとき、人類の夢がついに現実のものとなった。人類全体が、宗教的な熱狂のうちに一体となった。
人間は、それまで誰も実現するとは考えなかった月旅行に乗り出した。宇宙飛行士がみずから撮影した映像をつうじて、わたしたちは彼らに共感し、彼らが踏みしめた月面を体感した。宇宙飛行士たちが「壮大な荒地」と表現した月の風景にくらべれば、わたしたちの地球は、驚くほど豊かで多様な生命にみちている。そして、今にも壊れそうな小さな泡のように見える。
サターンVの発射シーンは、強烈な印象をのこす。複数のカメラで、打ち上げの瞬間をさまざまなアングルから至近距離でとらえ、噴射炎のすさまじさを迫力ある映像で映しだす。サウンドアーティストのチャールズ・モローは、電子音をベースに、宇宙船から送られてくるテレメトリ音と弦楽器を組み合わせ、浮遊感を湛えた抽象的なサウンドトラックを生みだした。モローのサウンドは、先端科学の粋をあつめた現代の叙事詩に詩的な趣きをくわえた。
アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
公開スケジュール Schedule
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(お問い合わせTEL:03-3569-3300)