GINZA MAISON HERMÈS
Le Studio
『グロリア』
Gloria
『さよなら、私のロンリー』
Kajillionaire
驚きの発見:思わぬ横槍
2023.12.17(日)~ 2024.1.28(日)
ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2023年のテーマは「驚きの発見」。
2023年のテーマ「驚きの発見」を締めくくる12月は、特別プログラムとして、女性主人公を新鮮なタッチで描く2つのインディペンデント映画をお届けします。
後世に大きな影響をもつジョン・カサヴェテスの『グロリア』は、子ども嫌いにも関わらず、ギャングの一家襲撃から生還した少年と期せず生きることになった隣人女性が闘うハードボイルド・ドラマです。
詐欺一家の一員として育てられた女性が、仲間として招いた女性との出会いによって自分の人生を見つめ直すコメディ・ドラマ『さよなら、私のロンリー』は、アーティスト、作家、女優、映画監督といった様々な活動を行うミランダ・ジュライによる作品です。
家族の事情や孤独と決別して、新たな家族(拠り所)を切り開き、生きていく女性たちの姿を是非ご覧ください。
【お知らせ】
本プログラムは2023年12月~2024年1月の2か月にわたる特別プログラムです。なるべく多くのお客様にご覧頂けますよう、ご予約は本プログラムを通して1回のみとさせて頂きます。2か月のうちいずれか1日、どちらか1作品を選んでご予約下さい。ご理解賜りますようお願い申し上げます。
『グロリア』
Gloria
1980年/アメリカ/121分/カラー/DVD上映
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス
製作:サム・ショウ
撮影:フレッド・シュラー
音楽:ビル・コンティ
出演:ジーナ・ローランズ、バック・ヘンリー、ジュリー・カルメン、ジョン・アダムズ
(c)1980 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
ジョン・カサヴェテスが妻ジーナ・ローランズを主演に迎えたハードボイルドの傑作。ニューヨークでギャングの会計係をしているジャックは組織の情報をFBIに売ったことがばれ、命を狙われていた。危険を察知したジャックは隣人のグロリアに頼み、6歳の息子のフィルだけを逃がす。その直後、ギャングの襲撃を受けたジャックの一家は皆殺しに。そしてグロリアはフィルを守るため、命がけで組織と対峙する。
『さよなら、私のロンリー』
Kajillionaire
2021年/アメリカ/104分/カラー/ブルーレイ上映
監督・脚本:ミランダ・ジュライ
製作:デデ・ガードナー、ジェレミー・クレイナー、ユーリー・ヘンリー
撮影:セバスティアン・ウィンテロ
音楽:エミール・モッセリ
出演:エヴァン・レイチェル・ウッド、リチャード・ジェンキンス、
デブラ・ウィンガー、ジーナ・ロドリゲス
Images courtesy of Park Circus/Universal
多分野で活躍するマルチ・アーティスト、ミランダ・ジュライが手掛けるコメディー。詐欺や窃盗で生計を立てる両親のもとで、愛情を知らずに育った娘オールド・ドリオ。滞納している家賃を払うために詐欺計画を実行するが、その途中、両親がたまたま出会ったメラニーという女性と意気投合し、仲間に引き入れてしまう。だが、オールド・ドリオはメラニーと接するうちに自分と家族の生き方に疑問を抱くようになる。
監督について Director
ジョン・カサヴェテス/John Cassavetes
1929年12月9日、ニューヨーク生まれ。高校卒業後に演劇学校で学び、俳優としてキャリアをスタートさせた。1959年、『アメリカの影』で監督デビュー。2作目の『フェイシズ』('68)がアカデミー賞3部門にノミネート。1980年には『グロリア』でヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。自主製作による映画作りを信念とし、“インディペンデントの父”と称される。1989年2月3日、ロサンゼルスにて死去。
ミランダ・ジュライ/Miranda July
1974年生まれ、カリフォルニア州バークレーで育つ。2005年、監督・脚本・主演を務めた初長編『君とボクの虹色の世界』がカンヌ国際映画祭でカメラ・ドールを受賞。2011年、長編2作目『ザ・フューチャー』がベルリン国際映画祭のコンペティション部門にノミネート。最新作は2020年の『さよなら、私のロンリー』。映画のみならず、小説、アート、音楽と幅広い分野で、その才能を発揮しているアーティストである。
作品について About Film
作品の雰囲気もスタイルもまるで異なり、制作年にも40年の開きがある。それでも、『グロリア』と『さよなら、私のロンリー』には、いくつもの共通点があるのだ。ジョン・カサヴェテスとミランダ・ジュライは、インディペンデント系の映画監督であり、ハリウッドの常識に背を向け、作品のシナリオを自ら手がける。どちらの作品も、主人公は社会の片隅に生きている。その主人公のまえに、突然、予期せぬ人物が現れ、主人公の運命をひっくり返す。不意の出会いを通じて、主人公は自分自身に向き合い、それまで知らなかった可能性を見出すのだ。
元コールガールのグロリアは、今はもうすっかりその世界から足を洗い、ニューヨークのアパートで静かに暮らすことだけを願っている。そんな彼女のもとに、両親を殺されて孤児となった6歳の少年フィルが転がりこむ。マフィアに追われることとなったグロリアとフィルは、時には恋人同士のように罵りあい、時には親子のように喧嘩しながら、ニューヨークの街を逃げまわる。グロリアはドレスにハイヒールでブロンドの髪をなびかせ、ギャング映画の殺し屋のように銃を撃つ。フィルはかわいい子供とは程遠く、大人の男が着るような服を着て、大人の男と同じ言葉を使う。物語は未解決の伏線を残したまま進むが、カサヴェテスにとってそんなことは二の次でしかない。彼はあくまで、妻でありミューズである女優ジーナ・ローランズをモデルに、ひとりの女を描き出そうとするのだ。孤独で無愛想な女が、意に反して「母親」となり、子供を守るために自ら危地に赴く、そんな瞬間を描こうとしたのだ。グロリアは、わずか数秒のうちに、それまでずっと無縁だった感情に満たされ(その感情はただ抑圧されていただけかもしれない)、生き方さえも変えてしまうのだ。フィルと過ごすことで、グロリアは自らの孤独を意識し、失われた夢を思い出したのかもしれない。グロリア・スウェンソンという彼女の名前は、サイレント時代に活躍した伝説のハリウッドスターと1文字違うだけなのだ。
『さよなら、私のロンリー』の主人公は、オールド・ドリオという悲しいあだ名で呼ばれる年齢不詳の冴えない少女だ。詐欺で生計をたてる両親に言われるまま、ドリオは意思のない人形のように、けちくさい詐欺に加担してきた。彼らが寝起きする「オープン・オフィス」は、定期的にピンクの泡に覆われる。その泡は、現実にまったく適応できない一家の不条理な暮らしを象徴しているのだ。ジュライは、彼らの奇妙な身振りと何度も繰り返される失敗を、完璧な構図と動きの少ないカメラワークによって強調し、冷めた笑いをひきだす。カサヴェテスの濃密な作品が、感情の爆発と熱狂的な肉体の動きに密着するのとは正反対である。『グロリア』が冒頭から闖入者を登場させたのに対して、ジュライが、詐欺師一家の不健全な日常を破壊するためにメラニーという若い女性を登場させるのは、物語も中盤に差しかかってからである。開放的で官能的なメラニーの存在は、オールド・ドリオを文字どおり目覚めさせ、束縛から解き放った。『グロリア』と同様、予期せぬ展開の果てに、登場人物たちのあいだで生命と愛が息づいたのである。
アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
公開スケジュール Schedule
【上映日】
[グロリア]
12月17日(日)、19日(火)、21日(木)、23日(土)、25日(月)、27日(水)、2024年1月7日(日)、13日(土)、21日(日)、27日(土)
[さよなら、私のロンリー]
12月18日(月)、20日(水)、24日(日)、26日(火)、2024年1月6日(土)、8日(月・祝)、14日(日)、20日(土)、26日(金)、28日(日)
【上映時間】
11:00/14:00/17:00
会場 Access
銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
予約 Reservation
※このプログラムの上映は既に終了いたしております。
お知らせ
2024年のル・ステュディオは、3月以降開始予定です。
詳細は随時、本サイトにてお知らせいたします。
来年も皆様にお楽しみいただけるプログラムを目指して参りますので、引き続きご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
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