『恋する男』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『恋する男』
Le Soupirant

夢を追いかけて:愛を探して
2019.6.1(土)~ 6.30(日)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2019年のテーマは「夢を追いかけて」。
6月は、純情な青年の可笑しな恋模様をサイレント風に描いたフレンチコメディの傑作『恋する男』をお届けします。

 

『恋する男』 Le Soupirant

1962年/フランス/83分/モノクロ/ブルーレイ

監督:ピエール・エテックス
脚本:ピエール・エテックス、ジャン=クロード・カリエール
撮影:ピエール・ルヴァン
出演:ピエール・エテックス、クロード・マッソ、ドニーズ・ペロンヌ、ローランス・リニェール、フランス・アルネル
フォトクレジット:This film has been restored by Studio 37, Technicolor Foundation for Cinema Heritage and Groupama Gan Foundation for Cinema
天文学の研究に没頭する青年ピエール。両親に結婚を勧められたことをきっかけに、運命の相手を求めて街へ出るものの空振りばかり。意気消沈しているところに、酔って上機嫌なローランスと知り合うが、やがて彼女は酩酊し、苦労して自宅まで送り届けるはめに。失敗続きのピエールだったが、偶然テレビで目にしたシャンソン歌手のステラに一目惚れしてしまう。のぼせ上がった彼は、部屋じゅうを彼女の写真やポスターで埋め尽くし、いざプロポーズせんとステラの楽屋に潜り込むのだった。1962年に製作された本作だが、主人公がまとう空気はサイレント映画のそれを思わせる。エテックスの道化師としての才能が存分に発揮されたフレンチコメディの傑作。
 

監督について Director

ピエール・エテックス Pierre Étaix

1928年生まれ。ジャック・タチの『ぼくの叔父さん』('58)で映画界に入る。1962年に、ジャン=クロード・カリエールが共同脚本を手がけた『恋する男(女はコワイです)』で長編監督デビュー、続いて『ヨーヨー』('65)、『健康である限りは』('66)、『大恋愛』('69)などの作品を発表し、その卓越したスタイルは国内外で大きな話題となる。70年代以降、劇映画の監督からは遠ざかるが、俳優として様々な巨匠たちの作品に出演した。また『大恋愛』で共演した道化師で女優のアニー・フラテリーニと結婚し、国立のサーカス学校を設立するなどその活躍は多岐にわたる。監督作品の権利問題が解消された2009年以降は日本をはじめ世界中で特集が組まれるなど再評価が進んだが、2016年に惜しまれつつこの世を去った。
 

作品について About Film

どことも知れない場所。おそらく別の惑星。オープニング・タイトルに映しだされる月面の風景。つまり、この世界から遠くはなれて、ひとりの男がたたずんでいる。憂鬱に沈みがちな、恋に焦がれるうぶな青年。ピエール・エテックスが初期の短編からずっと演じてきた喜劇の主人公である。

役者、映画監督、ピエロ、手品師。いくつもの顔をもつエテックスは、アメリカのドタバタ喜劇からフランスのジャック・タチにいたるまで喜劇映画の王道をうけついでいる(若い頃はジャック・タチの助監督も務めた)。喜劇映画の伝統から多くを学びながら、エテックスは他の誰にも似ていない独特のキャラクターをつくりあげた。

バスター・キートンほど身軽ではなく、チャップリンほどイタズラ好きでもない。ジャック・タチの「ムッシュ・ユロ」よりもポエティックで、誰よりも夢幻的な笑いをうみだす。巨匠たちと同じように、エテックスの喜劇は言葉をつかわずに笑わせる。彼らと同じように、エテックスの身振りは精確に振り付けられ、ごく普通の日用品を笑いの道具に変えてしまう。彼らと同じように、エテックスの主人公も世間のルールを理解できず、現代社会になじめない。エテックスも彼らもみな、サーカスやミュージック・ホールからキャリアをスタートさせた。まるでその出自を強調するかのように、本作にも、エテックス自身の舞台のレパートリーである「壊れたイス」が登場する。

エテックス自身と同じくピエールと呼ばれる主人公は、バスター・キートンを思わせる無表情な恋する青年である。天文学に没頭して部屋に閉じこもっていたが、恋愛と結婚の区別がつかない。両親に命じられ、将来の伴侶をさがしに街へでかけた。騒々しく強引な女性にしつこく付きまとわれるが、あるとき、テレビでふと見かけた歌手ステラに心をうばわれる。しかし、「星」という名前がしめすとおり、ステラは、手の届かない雲の上の人だった。ピエールは、あいもかわらず、天上の世界を夢みていたのである。

サイレント映画の主人公のようなピエールも、他人の言葉に向きあわなければならない。その言葉は、外国語であったり、絶え間ないおしゃべりであったり、ピエールが自分のためだけに書かれたと思っているシャンソンだったりする。無口で内気なピエールは、他人の言葉を理解することができない。特に女性の口から発せられた言葉は、ピエールにとっては謎でしかない。視覚的なギャグだけでなく、こうした言葉の使い方にも、ピエール・エテックスの喜劇的なセンスと才能が感じられる。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
6月1日(土)、6月2日(日)、6月8日(土)、6月9日(日)、6月15日(土)、6月16日(日)、6月22日(土)、6月23日(日)、6月29日(土)、6月30日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。