『悪魔が夜来る』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『悪魔が夜来る』 Les Visiteurs du Soir

夢を追いかけて:魔法の愛
2019.5.3(金・祝)~ 5.26(日)
ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2019年のテーマは「夢を追いかけて」。
5月は、悪魔の悪だくみに翻弄されながらも愛し合う二人のロマンティックな幻想譚『悪魔が夜来る』をお届けします。
 

『悪魔が夜来る』 Les Visiteurs du Soir

1942年/フランス/120分/モノクロ/ブルーレイ

監督:マルセル・カルネ 
脚本:ジャック・プレヴェール、ピエール・ラロシュ
撮影:ロジェ・ユベール
出演:アルレッティ、マリー・デア、フェルナン・ルドゥー、アラン・キュニー、マルセル・エラン、ジュール・ベリー
15世紀フランスの伝説に基づく物語。美しき五月のある日、城では婚約の宴が続いていた。そこに紛れ込んだ吟遊詩人のジルとドミニク。二人は悪魔が人間たちを絶望に陥れるため地上に遣わした使者であった。ジルたちは不思議な力を使って城主の娘アンヌとその婚約者ルノーを誘惑し、破滅に導かんとする。しかし悪魔と契約を交わしたにもかかわらず、わずかな良心を残すジルは本来の目的を忘れアンヌと恋に落ちてしまう。そして嵐の夜、ついに悪魔自身が姿を現す。本作はナチス占領下の厳しい時代に製作されたこともあり、劇中には反ファシズムのテーマが垣間見える。映画史に燦然と輝く監督と脚本家の名コンビ、カルネ=プレヴェールによって作り出された美しき幻想譚。
 

監督について Director

マルセル・カルネ Marcel Carné

1906年パリ生まれ。専門学校で写真を学び、撮影助手として映画界でのキャリアをスタートさせる。ジャック・フェデーの助監督などで経験を積み、1936年にプレヴェールとともに手がけた『ジェニイの家』で監督デビュー。以降二人で『霧の波止場』('38)、『悪魔が夜来る』などの傑作を生み出し、フランス映画界を牽引してゆく。1945年に製作した『天井桟敷の人々』は、大きな評判を呼び、彼らの記念碑的作品となった。1946年『枯葉〜夜の門〜』を最後に、長く続いたコンビを解消。その後カルネは『嘆きのテレーズ』('53)といった良作を作ったものの、かつての栄光は取り戻せず1996年逝去した。
 

作品について About Film

舞台は、15世紀のフランス。目にも眩しい白亜の城で、悪魔とその手下たちが人間を堕落させ、恋人たちの仲を裂こうとしている。
この作品を語るには、まず、スタッフの豪華さに触れないわけにはいかない。映画監督のマルセル・カルネ、詩人で脚本家のジャック・プレヴェール、美術監督のアレクサンドル・トローネルは、<詩的レアリスム>を代表する『霧の波止場』や『日は昇る』といった作品で、フランス映画の黄金時代を築いた。どちらの映画も、主人公が運命に翻弄され、悲劇的な結末をむかえる社会派の作品として知られる。しかし、『悪魔が夜来る』はまったく異なるスタイルでつくられた。苛酷な現実ではなく「おとぎ話」が詩的に描かれた。昔むかし、恋人たちが魔法によって姿を変えられた。そんな時代のお話である。
作者たちは、困難な時代状況から距離をとるために、遠い昔のおとぎ話の世界を舞台に選んだのではないだろうか。当時、フランスはドイツの占領下におかれていた。『悪魔が夜来る』の撮影現場にも、クレジットに名前を出せないスタッフが何人もいた。当時の観客たちは、老獪で非情な「悪魔」にヒトラーの姿を重ねあわせ、悪に立ち向かわなければならないと感じたはずだ。プレヴェールの脚本は、童話とおなじく、人間を2種類に区別する。この世界には、ひとを愛せる人間とそうでない人間がいる。作品のメッセージは、シンプルでポジティブだ。最後には、必ず、愛が勝つのだ。
戦時中で資源が乏しかったにもかかわらず、『悪魔が夜来る』は造形的にきわめて優れた作品となった。どの場面でも、中世の装飾写本に描かれた挿絵がそっくりそのまま甦ったようにみえる。ロマンチックな幻想譚にきまって登場する廃墟の美学は用いられず、写本の挿画のように様式化された中世が再現された。王侯貴族の衣装は、中世フランドル絵画の清らかさを感じさせる。純白の巨城は、夢と現実のあわいに聳え、私たちを伝説の世界にいざなう。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule 

上映日
5月3日(金・祝)、5月4日(土・祝)、5月5日(日・祝)、5月6日(月・休)、5月11日(土)、5月12日(日)、5月18日(土)、5月19日(日)、5月25日(土)、5月26日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。