『短編オムニバス ― 大地の力』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『短編オムニバス ― 大地の力』
Short Film Selection – Forces telluriques

自然――軽やかなギャロップ:大地の力
2016.11.3(木・祝)~11.27(日)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2016年は「自然 ― 軽やかなギャロップ」をテーマにお届けいたします。
11月は大地が生み出したアートにまつわる短編セレクションを上映いたします。

 

『短編オムニバス ― 大地の力』Short Film Selection – Forces telluriques

*4作品連続上映 (約60分)

1.『Speedway』
2006年/フランス/6分/カラー/ブルーレイ

監督:ジャン=ミシェル・パンサン
Top left: ©Jean-Michel Pancin

2.『Breaking Ground: Broken Circle/Spiral Hill』 
1971-2011年/アメリカ/21分/カラー/ブルーレイ

監督:ナンシー・ホルト、テオ・テゲラー 作品:ロバート・スミッソン
Top right: Land Art Contemporary and SKOR | Foundation for Art and Public Domain

3. 『Sailing Stones』 
2011年/フランス/11分/カラー/ブルーレイ

監督:アドリアン・ミシカ
Bottom left: ©Adrien Missika

4. 『Mono Lake』
1968-2004年/アメリカ/20分/カラー/ブルーレイ

監督:ナンシー・ホルト、ロバート・スミッソン
Bottom right: Nancy Holt and Robert Smithson. Mono Lake, 1968-2004. Estate of Robert Smithson, Courtesy James Cohan Gallery, New York / Shanghai and Electronic Arts Intermix (EAI), New York.
11月は、大地が生み出したアートにまつわる4本の短編セレクション。
グレートソルトレイクへと続く果てしない滑走路、自然現象の奇跡によって動く巨石たち、採掘場跡の水郷に制作されたロバート・スミッソンの作品とその軌跡、作家がたどる神秘的な湖の姿……。超越的で崇高な自然と、そこに介入していく人間の行為をとらえた映像は、詩情と驚異、力強さに満ちている。

作品について About Film

カリフォルニア州デスバレーの干上がった湖では、岩がひとりでに動きだす。そこから200kmほど離れた、地質学者のあいだでよく知られている湖の岸辺では、若いアーティストたちが奇妙な鉱物を発見する。隣のネバダ州では、鏡のように静まりかえった広大な湖のみぎわで、道路がとつぜん途切れる。もっと遠く、大西洋の向こう岸では、まるで巨人がつくったような2つの円環が、満々と水をたたえる採石場跡の池のふちに築かれた。

不毛の大地。奇妙な風景。それが、今月のプログラムの舞台である。今月は、ランド・アートのパイオニアと若いフランス人アーティストの作品を紹介する。かれらの活動は、美術、写真、ヴィデオ・アートにまたがる。
ロバート・スミッソンとナンシー・ホルトは、文字どおり山を動かす。風景をつくりかえ、壮大な自然に人間の営みを刻みつける。アドリアン・ミシカとジャン=ミシェル・パンサンは、目にみえない自然の力をフィルムに収める。かれらの短篇は、大自然をまえにした人間の姿を記録し、悠久の時間に向きあいながら、それぞれの仕方で、人間の存在意義を問う。

『Mono Lake』は、若き芸術家たちの旅の様子を記録したドキュメンタリー作品である。インスピレーションを求める3人のアーティストが、まるで月面を探索するように、火山地帯の中央に位置する塩水湖を散策する(ロバート・スミッソンは、後にこの火山地帯の砂礫を作品につかっている)。3人の陽気な若者が、楽しげに、おたがいを撮影しあっている。しかし、かれらはこのとき、作品が生まれる直前の重要な時期を過ごしていたのだ。20世紀後半の美術に多大な影響を及ぼした新しい表現スタイルが、今まさに生まれようとしていた。『Mono Lake』という作品は、その瞬間の貴重な記録となった。

『Breaking Ground: Broken Circle/Spiral Hill』は、ロバート・スミッソンの創作活動を収めたドキュメンタリー作品である。スミッソンは、このとき、オランダで大きなプロジェクトにとりくんでいた。それは、巨岩を中心とする二重の作品であった。アイデアはシンプルだが、実現には多くの困難がたちはだかった。昔から洪水や浸水と戦ってきたオランダ人に敬意を表して、スミッソンは砂でできた弓形の突堤と渦巻形の丘を築いた。
『Mono Lake』と同じように、この作品にも、早世したスミッソンの肉声が残されている。スミッソンは自身の創作について語り、作品を設置する場所の地質や環境について説明している。自然の恵みと脅威を意識した『ブロークン・サークル』と『スパイラル・ヒル』は、今日、あらためて多くの関心をあつめている。

アドリアン・ミシカの『Sailing Stones』は、岩石が重力にあらがって移動する謎の現象をとらえる。しかし、そこには本当に自然の力しか作用していないのだ。まるで自然そのものが、ひび割れた平らな地面にすこしずつ線を引き、気の趣くままに石をならべ、ランド・アートにチャレンジしているかのように見える。
この自然現象の謎は、最近になってようやく解明された。干上がった湖に周期的にあらわれる水と氷の助けをかりて、風の力がいたずらを働いたのだった。
作品の冒頭から、画面には、写真を思わせるフィクスショットがつづく。何の音も聞こえず、何も動かない。しかし、微動だにしない岩石のうしろに、何かをひきずったような跡が残されている。それは、過去に岩が動いたことの痕跡だが、その過去がどれくらい古いのか、新しいのか、誰にも分からない。この映像をまえにして、わたしたちは同時に、物事の無常を知り、永遠を感じ、時間が止まったように思うだろう。

『Sailing Stones』とは異なり、『Speedway』のカメラはずっと同じ視点のまま、どことも知れない風景のなかをアスファルトの道に沿ってまっすぐ進んでいく。道はやがて湖につきあたり、そこで行き止まりとなる。蜃気楼のような湖面が、目のまえに広がる。たしかに、それは蜃気楼だったのかもしれない。この湖は、決まった季節にしか姿をあらわさないのだ。
スピードに取り憑かれた人々がつくった何の変哲もない道路から、ジャン=ミシェル・パンサンは、シンプルで力強い映像をひきだした。カメラは、ワンショットで、陸の世界から水の世界へと旅をする。その旅の終着点で、わたしたちは、果てしなく広がる湖面をいつまでも眺めつづける。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)

上映スケジュール Schedule

上映日
11月3日(木・祝)、11月5日(土)、11月6日(日)、11月12日(土)、11月13日(日)、11月19日(土)、11月20日(日)、11月23日(水・祝)、11月26日(土)、11月27日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。