『渦巻』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『渦巻』
I Know Where I’m Going

自然――軽やかなギャロップ:海への誘い
2016.9.3(土)~9.25(日)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2016年は「自然 ― 軽やかなギャロップ」をテーマにお届けいたします。
9月は嵐の海で揺れる男女の運命を描いた『渦巻』をご紹介します。

 

『渦巻』I Know Where I’m Going

1945年/イギリス/91分/モノクロ/ブルーレイ​

監督・脚本・製作:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
撮影:アーウィン・ヒリアー
編集:ジョン・シーボーン
美術:アルフレート・ユンゲ
出演:ウェンディ・ヒラー、ロジャー・リヴシー、パメラ・ブラウン、フィンレイ・カリー、ジョージ・カーニー、ナンシー・プライス、キャサリン・レイシー、ジーン・キャデル、ジョン・ローリー
フォトクレジット:©Image courtesy of Park Circus / ITV
野心家のジョーン・ウェブスターは、少女の頃から自分の目的に向かいまっしぐらに突き進んで生きてきた。25歳になった時、親ほど年の離れた男性との結婚を決めたのも、彼がイギリス屈指の大富豪だったから。富こそが幸せをもたらすと信じるジョーンはフィアンセの待つ島へ旅立つが、悪天候に足止めされる間、富の本当の意味を見出し、真実の愛に迷いが生じて……。彼岸と此岸の間で揺れる運命。イギリス映画界の至宝コンビが、スコットランドの大自然や伝統文化を鮮やかに織り交ぜながら綴るロマンティック・コメディ。
 

作品について About Film

マイケル・パウエルは、『渦巻』のおかげで映画監督として2つの願いが叶ったと言う。ひとつは、若い女の急転直下の人生を物語ること。もうひとつは、1937年に製作した『世界の果て』のロケ地、スコットランドのヘブリデス諸島でもういちど映画を撮ること。『世界の果て』を撮影した2年後の1939年、パウエルは脚本家エメリック・プレスバーガーと共同作業を始めた。
パウエルとプレスバーガーは、本作でも共同監督として主人公ジョーンの造形にあたった。ジョーンはおしゃれなロンドン娘で、自分の目的にむかって一途に邁進する性格の持ち主である。これまで自分の意志だけで動いてきた彼女は、おそらく人生で初めて自分の気まぐれとは別の理由、つまり悪天候によって足止めをくらう。夢の島を前にして海を渡ることができず、近くの港に逗留するはめになったのだ。都会に育ち、上昇志向がつよく、合理性を重んじるジョーンが、お金や物に興味がなく昔ながらの言い伝えを信じる素朴な人々に出会う。
小さな港で、時間がゆっくり流れはじめる。物語もまた足踏みをする。そんな時にふと、恋がめばえる。
英国クラシック映画の傑作『渦巻』は、良質のシナリオと演出に支えられている。たとえば、オープニング・クレジットでは、わずか3シーンのあいだに、ジョーンの人となりが映像とセリフと音楽によって正確に表現される。「自分の目的がいつもちゃんと分かっている」ヒロインがこの世に生を受けてから大人になるまでの道のりが、文字どおり一直線に、たった数カットでコミカルに描かれるのだ。
ずっと憧れてきた盛大な結婚式を間近に控え、ジョーンは夢をみる。パウエルとプレスバーガーはこの夢のシーンにあえて婚約者を登場させず、代わりに、ジョーンの願望をあらわす富と権力のシンボルを画面に映しだした。
悪天候をついて海を渡るシーンは、物語のクライマックスであり、技術的にも大きな挑戦だった。行く手をはばむ巨大な渦巻は、自然の驚異であるとともに恋情のメタファーであり、ジョーンの千々に乱れる胸の内を暗示している。だが、それだけではない。巨大な渦巻は、ジョーンの心から過去の痕跡をすべて拭い去ってしまったのだ。
おとぎ話か超常現象のように、大いなる自然が少女の運命をくつがえした。少女から大人になったジョーンは、今こそ自分の進むべき道をしっかりと見すえている。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
9月3日(土)、9月4日(日)、9月10日(土)、9月11日(日)、9月17日(土)、9月18日(日)、9月19日(月・祝)、9月22日(木・祝)、9月24日(土)、9月25日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。