『ココ、言葉を話すゴリラ』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『ココ、言葉を話すゴリラ』
Koko, le gorille qui parle by Barbet Schroeder

自然――軽やかなギャロップ:動物と私たち 2
2016.8.6(土)~8.28(日)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2016年は「自然 ― 軽やかなギャロップ」をテーマにお届けいたします。
8月はバーベット・シュローダー監督の『ココ、言葉を話すゴリラ』をご紹介します。

 

『ココ、言葉を話すゴリラ』Koko, le gorille qui parle by Barbet Schroeder

1978年/フランス/85分/カラー/ブルーレイ​

監督・脚本:バーベット・シュローダー
出演:ココ、ペニー・パターソン、ソウル・キッチナー、カール・プリブラム、ロジャー・ファウツ
撮影:ネストール・アルメンドロス
編集:ドゥニーズ・ドゥ・カサビアンカ、ドミニク・オーヴレイ
音楽:グータ・カットーニ、マリ・アンビリコ
フォトクレジット:©Les Films du Losange – 1978
もしも、動物が言葉を話せたら……? 
スタンフォード大学で心理学を専攻するペニー・パターソンは、広大なキャンパスと多くの学生たちの中で、他の誰にも出来ないユニークな経験をしている。彼女は、世界で初めての言語を操るゴリラを教育しているのだ。
ローランドゴリラのメス、ココは、生後3カ月でペニーと出会い、アメリカ手話を習い始める。7歳になった今、350の単語を正確に使い、500以上の単語を理解するココは、自分の欲しいものを言語化し、自分の気持ちの大部分を手話で伝えることができる。
可笑しく、時に感動的なココとペニーの対話。ココの発するシンプルで普遍的な言葉は、私たちに、知性とは、また人間とは何かという哲学的な問いを投げかけている。1978年カンヌ国際映画祭上映作品。
 

作品について About Film

ひとは必要に応じて自然に働きかけ、自然を学んできた。それは、自分自身を知るためであり、それ以上に自然を支配するためであった。若い雌ゴリラに手話を覚えさせ、善悪の観念を理解させようとしたとき、ひとは人間と動物の境界が曖昧になるかもしれないと考えただろうか。
人間はこれまで自分たちだけが知性や感情をもつと信じてきた。それゆえ、動物が人間とほとんど変わらない知性や感情を示したとき、私たちの世界観は大きく揺らいだ。

バーベット・シュローダー監督は、ゴリラが言葉を覚え、知識を身につける様子を淡々と記録していく。その映像はとても興味深いが、同時に居心地の悪さを感じさせる。シュローダー監督はこの実験の問題点にも目をむける。雌ゴリラのココは、言うなれば自然と文化が混ざりあった混血児である。大自然のなかで暮らす仲間の元にはもう戻ることができない。ココが自分で冷蔵庫を開けて食べ物を取り出したり、化粧を覚えたりすることに対して、倫理的な面から疑義を唱える者もいた。霊長類が知性をもつことを証明するために、なぜ人間を基準にしないといけないのか。ある映画評論家は、パターソン博士をゴリラの集団のなかで生活させ、ココの場合と逆の現象を観察すべきだと提案した。つまり、この場合は人間が動物に合わせるのだ。

シュローダー監督は、いつも、きわめてユニークな被写体にカメラを向けながら、現実のうちにひそむ「虚構」を見出そうとする。この作品は、科学的なドキュメンタリーであると同時に奇妙なカップルの物語でもある。子供のいない若い女性と、孤児となった雌ゴリラのあいだに、いつしか感情的な絆が生まれる。その繋がりは「代理母」が「養女」に人形をわたす場面で頂点に達する。感情が科学にまさるとき、ふたりの関係は不安定なものにならざるをえない。

思いがけず女優となったココは、観客に鮮烈な印象をのこした。作家のマルグリット・デュラスもココの存在感に魅了された。「ココは原始時代のグレタ・ガルボである。けれど彼女は自分がガルボであることを知らない」。ココはカメラが回っていることを意識したが、観客にどんな印象を与えているかは知らなかった。「これほどまでに美しい醜さ。力をもてあました巨大な子ども。ココの純粋さと悲劇のうちには、個を超えた種の壮大さが感じられる」。デュラスはそう書いている。


アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
8月6日(土)、8月7日(日)、8月11日(木・祝)、8月13日(土)、8月14日(日)、8月20日(土)、8月21日(日)、8月27日(土)、8月28日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。