『デビルスタワーへのバラード』『跳躍の孤独と恍惚』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『デビルスタワーへのバラード』
Ballade à Devil's Tower by Pierre-Antoine Hiroz
『跳躍の孤独と恍惚』
The Great Ecstasy of Woodcarver Steiner by Werner Herzog

自然――軽やかなギャロップ:どこまでも高く
2016.6.4(土)~6.26(日)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2016年は「自然 ― 軽やかなギャロップ」をテーマにお届けいたします。
6月は、アウトドア・スポーツから人間と自然の関係を見つめるプログラム。『デビルスタワーへのバラード』と『跳躍の孤独と恍惚』の2つのドキュメンタリー作品をご紹介いたします。

 

『デビルスタワーへのバラード』Ballade à Devil's Tower by Pierre-Antoine Hiroz

1992年/フランス/26分/カラー/デジタル・ベータカム

監督 : ピエール=アントワーヌ・イロズ
撮影 : パトリック・オーヴェルテル、ティエリー・マシャド
音響 : マリー・イロ
編集 : エマニュエル・ノブクール
オリジナル音楽 : ブノワ・フロマンジェ、パトリス・モンドン
フォトクレジット:©Les Films d'Ici

アメリカ、ワイオミング州にそびえ立つ、高さ386mの巨岩「デビルスタワー」。フリークライマーであれば誰もが憧れる究極の難所に、一人のフランス人女性が命綱なしで挑む。絶対的な自然の中で人間は何を思うのか? 世界最高のクライマーと称されたカトリーヌ・デスティベルの、孤高の挑戦を追ったドキュメンタリー。
 

『跳躍の孤独と恍惚』The Great Ecstasy of Woodcarver Steiner by Werner Herzog

1974年/ドイツ/45分/カラー/デジタル・ベータカム

監督 : ヴェルナー・ヘルツォーク
撮影 : ヨルク・シュミット・ライトヴァイン
出演 : ヴァルター・シュタイナー
フォトクレジット:©Werner Herzog Film

伝説的なスイス人スキージャンパー、ヴァルター・シュタイナー。1972年の世界選手権で金メダルを獲得するまでの過程を追った、ヘルツォーク監督による親密なインタビューの中で語られるのは、彼の木彫への並々ならぬ情熱や人生の夢、そして天才であるがゆえの深い孤独だった。
 

作品について About Film

一気に空中へ飛びだし、鳥のように滑空する。眼下にはゲレンデが広がり、大観衆が彼に歓声を送っている。別の大陸では、彼女がたったひとりで垂直の岩壁をクモのように登っていく。彼女は全身の筋肉をつかって岩にとりつき、彼は細い体をまっすぐに伸ばして宙に浮かぶ。一瞬が、永遠に感じられる。
スキージャンパーのヴァルター・シュタイナーとフリークライマーのカトリーヌ・デスティベルは、ひとつのミスが命取りになる状況下で、並みはずれた自制心と集中力を発揮し、身体的にも精神的にも最高のパフォーマンスを実現する。

スイス出身のシュタイナーは、時間があるときはいつも木彫に精をだす。シュタイナーがつくる彫刻には、ジャンプをするときの彼自身と同じ優美さが感じられる。それは、シュタイナーが競技と変わらぬ真剣さで彫刻に取り組み、その意味を探求しているからだろう。ジャンプは、シュタイナーに陶酔感をもたらす。ヴェルナー・ヘルツォークが監督した他の作品の主人公たち(アギーレ、フィッツカラルド、ヒマラヤ登山で知られるラインホルト・メスナー)と同じように、シュタイナーはその陶酔感のなかで至高の領域に接し、死と狂気に触れる。彼らはみな絶対に到達できない理想を追いもとめ、恍惚の境にはいる。ヘルツォークはその恍惚感をスローモーションと神秘的なBGMを使って表現する。

シュタイナーと同じく数多くの世界記録を打ち立てたフランス出身のクライマー、カトリーヌ・デスティベルにとっては、アメリカの道路や岩山が、目指すべき「彼方」であり同時に懐かしい「故郷」であった。神話にでも語られそうな奇怪な形をした赤い岩塊が、まるで大地のいたずらのように聳えたつ。ピエール=アントワーヌ・イロズ監督は、デスティベルの太陽的な一面をあらわにする。巨岩の頂きに立ったデスティベルは、太陽のように気高く、顔を輝かせて私たちを見つめる。この刹那、足下に広がる雄大な風景はすべて彼女のものだった。

人間の可能性を極め、さらにその彼方へ挑む。この姿勢が、シュタイナーとデスティベルの美しさを支えている。今月の作品は、いずれも私たちの心をとらえると同時に不安をかきたてる。美しさと達成感には、危険と恐怖がともなう。ふたりが成し遂げた偉業にとって、危険と恐怖は絶対の必要条件であり原動力である。危険と恐怖に打ち克ち、前よりも強くなって地上に戻ってくるために、あるいは単に自分が生きていることを実感するために、彼らはつねに自らに挑みつづけるのである。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
6月4日(土)、6月5日(日)、6月11日(土)、6月12日(日)、6月18日(土)、6月19日(日)、6月25日(土)、6月26日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
*2作品連続上映(約71分)
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。