『サン・ソレイユ』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『サン・ソレイユ』
Sans Soleil by Chris Marker

フラヌール―いつでも、そぞろ歩き:彼からの手紙
2015.7.4(土)~7.26(日)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2015年は『フラヌール - いつでも、そぞろ歩き。』をテーマにお届けいたします。
7月は、生涯にわたって旅を愛したクリス・マルケル監督による『サン・ソレイユ』です。

 

『サン・ソレイユ』Sans Soleil by Chris Marker

1982年/フランス/104分/カラー/16mm​

監督・編集:クリス・マルケル 
音楽:モデスト・ムソルグスキー、ミシェル・クラスナ
特殊効果:山猫駿雄
歌:アリエル・ドンバル ナレーション:池田理代子
配給:Tamasa Distribution
フォトクレジット:© Argos Films
詩的なナレーションとスチル写真のモンタージュで独特の美学を追求するシネアストによるドキュメンタリー。南の象徴としてのアフリカと、東の象徴としての日本。相対する二つの地を、フランス人監督ならではの客観的な視点で捉える。
世界を旅するカメラマンからの手紙。ある女性の朗読から物語は始まる。アイスランドの少女たちの夢のような姿、日本とアフリカの豊饒なイメージのコラージュ……。生涯にわたって旅を愛したマルケルによる本作は、時間と場所、存在と歴史、忘却と祈りへと捧げられた讃歌である。
 

作品について About Film

冒頭、タイトルが3ヵ国語で示され、この作品が旅する映画であることが暗に告げられる。わずか数分で、アイスランドから北海道へ、ギニアビサウから東京近郊へ、さらにカーボヴェルデ共和国の海岸へと移動する。カメラは、20世紀末の世界全体を把握しようとするかのように巡歴を続けていく。人々と信仰、貧困、驚異的な経済発展、都市生活、政治的な闘争、映像の氾濫……。クリス・マルケルはいくつもの形をもつ「人間」という謎を解き明かすために、世界各地で拾いあつめた人生の断片を組みあわせて1枚の巨大なパズルを完成させたのだ。

2013年、クリス・マルケル監督へのオマージュとして、パリのポンピドゥー・センターで「惑星マルケル」と題された企画展が開催された。『サン・ソレイユ』には、地球上のあらゆる場所で撮影されたあらゆる種類の映像が使われている。静止画と動画、ノンフィクションとフィクションが混ざりあい、さまざまな映画からの抜粋が組みこまれた。マルケルは好んで規則に背をむけるが、この作品でも型どおりにカット割りされた箇所はひとつもない。その映像はまるで音楽のように、物語的な起承転結よりも象徴性や美しさを基準にモンタージュされ、各ショットはそのモンタージュにしたがってめまぐるしく切り替わる。女性のナレーションを伴奏に、遠く隔たったアフリカと日本の風景が、そして互いにまったく異なるアフリカ人と日本人の顔立ちが、次から次へとリズムを刻むように現れる。ナレーションの女性は、映像について語るかわりに、その映像を撮った架空のカメラマンの手紙を読みあげる。主観的な視点から書かれた思索的なことばを聞くうちに、わたしたちは記憶について考えはじめる。次々と画面に映しだされる映像は何を表現しているのか。どんな記憶を伝えるのか。世界はどのように表象されるのか。
『サン・ソレイユ』という映画は、絶えず枝分かれする巨大な迷路である。観客はその迷路に捕えられ、そこから脱けだし、ふたたび捕えられる。見直すたびに新たな発見があり、初めて見たときには気付かなかった細部がとつぜん本質的な意味をもって迫ってくる。わたしたちはその映像をしばらく心にとどめ、あるいは自分自身の記憶に変える。行方知れずの猫に祈りをささげる老夫婦。崩れるように倒れるキリン。アフリカ人女性の火花のような一瞬の美しい視線。ビデオ・シンセサイザーをつかった実験映像。最後は電源コードが引き抜かれ、画面が暗転する。つまり、すべては映像でしかなかったのだ……。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
7月4日(土)、7月5日(日)、7月11日(土)、7月12日(日)、7月18日(土)、7月19日(日)、7月20日(月・祝)、7月25日(土)、7月26日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。