『アンダルシア』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『アンダルシア』
Andalucia by Alain Gomis

フラヌール - いつでも、そぞろ歩き: フラヌールの彼方
2015.4.4(土)~4.29(水・祝)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2015年は『フラヌール - いつでも、そぞろ歩き。』をテーマにお届けいたします。
4月は、束縛から逃れ放浪の自由を愛する男を描いたアラン・ゴミ監督の『アンダルシア』です。

 

『アンダルシア』Andalucia by Alain Gomis

2007年/フランス/90分/カラー/35mm​

監督: アラン・ゴミ
制作: アンヌ=セシル・ベルトモー
脚本: アラン・ゴミ、マルク・ヴェルス
出演: サミール・ゲスミ、デルフィーヌ・ジング
音楽: シャビエル・カペラス、パトリス・ゴミ
字幕: 寺尾次郎
配給: Eurozoom
フォトクレジット:© 1001 Productions/Eurozoom
フランス人で、マグリブ系移民の息子であるヤシーヌは、自由を求めて旅に出る。束縛もなければ定まった仕事もないヤシーヌは、パリの昼と夜をさまよいながら、奇妙な巡り合いを通して、その瞬間瞬間の人生を生きる。幼なじみのジブリルとの再会や、自分の家族、異国の人々との対話を経て、彼は自身の出生や満たされぬ思い、フラストレーション、さらにはフランスと北アフリカという二つの文化のどちらにも完全に所属できない複雑な思いを痛感することになる。パリの様々な通りからスペインのトレドの通りまで、この映画はヤシーヌが自身のアイデンティティーを求める道のりを、時にシリアスに、時に滑稽に、そして詩的に物語っている。
 

監督について Director

アラン・ゴミ Alain Gomis​

1972年、セネガル生まれ。セネガル人の父とフランス人の母を持つ。パリ第一大学(パンテオン・ソルボンヌ)で演劇の修士号を取得。2001年のデビュー作『L' Afrance』では、ロカルノ国際映画新人監督部門でYouth Jury Awardを受賞。2014年までに15の映画祭で、8回の受賞歴を持つ。3作品目となる『Tey』(2012年)はベルリン国際映画祭で称賛を浴び、2013年には同作でワガドゥグ汎アフリカ映画祭(FESPACO アフリカで最大の国際映画祭)でグランプリを受賞する。
 

作品について About Film

あてどなく歩く人物をこれほどうまく表現した映画はめずらしい。主人公のヤシーヌは、19世紀の詩人や作家がうみだした「遊歩者」(フラヌール)のように街を歩きまわる。世界へ向けて五感をひらき、本能にまかせて気ままに歩いていく。

ヤシーヌとともに、映画もまたさまよい歩く。ある場所から別の場所へ、ひとつの出会いから別の出会いへと移ってゆく。物語の筋などお構いなしに、場面はヤシーヌの足が赴くままに変化する。クラブ、蝋人形館、炊き出し……。彼はどこへ行っても野次馬のごとく首をつっこみ、珍妙な出来事をひきおこす。ヤシーヌの遍歴をみちびくのは、こことは別の場所へ行って知らない人々に出会いたいという思いである。『アンダルシア』は、オープニングタイトルからすでに動きにあふれ、見知らぬ国の儀式や音楽で旅の気分を誘う。その雰囲気は、世界中の絵や写真がところ狭しと飾られた、ヤシーヌのトレーラーハウスを思わせる。

『アンダルシア』は、二重の文化のもとに生まれた作品である。フランス系セネガル人が脚本と監督を務め、フランス系アルジェリア人が主役を演じる。二重の文化は、ヤシーヌにも重くのしかかっている。ふたつの文化をもつがゆえに、軽業師のように生きるほかない。故郷はすでに遠く、フランス人としての自覚もない。ヤシーヌはふたつの文化を背負うがゆえに、絶えず動きつづける。動きつづけることで、ふたつの文化をよりよく引き受けようとするのだ。『アンダルシア』という作品は、故郷の喪失や民族同化、自分のルーツといつも向き合わざるをえない外国人の立場といった社会的な問題を提起する。

ヤシーヌは、動きつづける。安住の場所はどこにもない。映画の一歩先を行くように、ヤシーヌは物語を引っぱっていく。みずからのアイデンティティーを求め、アンダルシアへと向かう。そこは、数世紀前にアラブとヨーロッパの文化が混ざりあった場所だ。そのアンダルシアで、遊歩者ヤシーヌは空へむけて歩きだす。

主演のサミール・ゲスミは、喜びと怒りのあいだで綱渡りする人物としてヤシーヌを演じる。幻想的なラストシーンに心躍らせながら映画を見終わったとき、わたしたちはひとつのことを確信する。この映画は、サミール・ゲスミの今にも飛びたちそうな細長い体と、世界へ向けて大きく開かれた黒い眼のために作られたのだ。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
4月4日(土)、4月5日(日)、4月11日(土)、4月12日(日)、4月18日(土)、4月19日(日)、4月25日(土)、4月26日(日)、4月29日(水・祝)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。