『ジャック・ドゥミの少年期』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『ジャック・ドゥミの少年期』
Jacquot de Nantes

フラヌール - いつでも、そぞろ歩き: 夢のクロニクル
2015.3.1(日)~3.29(日)

  • 「わたしは残しておきたい 輝くばかりのジャックの少年期と夢見るようなあのまなざしを」
    90年に白血病で世を去ったジャック・ドゥミ。彼が少年時代に抱いていた映画への愛と憧憬を、代表作の名場面や晩年の本人の映像などを織り交ぜて妻、アニエス・ヴァルダが描く。8歳のジャコ(ジャックの愛称)は自動車修理工場を営む父と髪結いをしている母に見守られ、幸福な日々を送っていた。友人から映写機と無声喜劇映画のフィルムを借りたことをきっかけに、近所の子供たちを集めて短編を撮ったりと映画にのめりこむジャコ。工業学校に入学するも映画への想いを断ち切れないジャコは、周囲の支援を得ながらその道で開花していく……。最愛の夫に捧ぐ、切ない優しさにつつまれた名作。

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2015年は『フラヌール - いつでも、そぞろ歩き。』をテーマにお届けいたします。
3月は、1人の男と映画との出会いを描いた『ジャック・ドゥミの少年期』をお送りします。

『ジャック・ドゥミの少年期』Jacquot de Nantes

1991年/フランス/118分/カラー/35mm​

監督・脚本:アニエス・ヴァルダ  原作:ジャック・ドゥミ
製作:アニエス・ヴァルダ、ペリーヌ・ボードゥアン
撮影:パトリック・ブロシェ、アニエス・ゴダール
音楽:ジョアンナ・ブリュゾヴィッチ
出演:ジャック・ドゥミ、フィリップ・マロン、ローラン・モニエ
字幕:志満香二
配給:Ciné-Tamaris
フォトクレジット:© Ciné-Tamaris
 

作品について About Film

ヴァルダとドゥミは、まさにヌーヴェル・ヴァーグが生んだカップルである。しかし、ふたりがいっしょに仕事をしたことは一度もない。私生活でも映画の世界でもふたりはずっと共に生きてきたが、映画監督としてはそれぞれの感性とスタイルで独自の道を歩んだのだった。

本作品は、ジャコと呼ばれた少年がジャックへと成長する姿を追った映画である。ヴァルダはこれまでの作品で、パリやロサンゼルスを歩き、フランスの田舎をめぐり、『アニエスの浜辺』(2008年)では彼女自身の思い出を語っているが、『ジャック・ドゥミの少年期』では、映画作りを唯一の願いとしたジャックの幸せな少年期をたずね歩くのである。

ジャックは、物静かで強情な少年だった。その少年の夢が実現するまでの道のりを、ヴァルダは時間を行きつ戻りつしながら描いていく。現在と過去、現実と虚構が、まるで合わせ鏡のように組み合わさる。にもかかわらず、物語の筋が見失われることはけっしてない。

ドゥミはカメラのまえで記憶をよみがえらせる。そしてヴァルダは、彼女自身が好んで言うように「ドゥミの思い出をおもいだす」。そのようにして、ひとりの少年が映画という芸術を会得するまでの軌跡がたどられ、戦時下のフランスに暮らす家族の年代記が描かれる。ドゥミとヴァルダにとって、映画は人生から生まれるものだった。『ジャック・ドゥミの少年期』では、ドゥミの過去の作品から取られた映像が、実際の場面や現実の対話と響きあう(すくなくとも私はそう思いたい)。

ジャコ少年は、フランス西部の町ナントで質素な自動車修理工の家に生まれ、将来は修理工になるものと期待されていた。しかし、幼い頃から人形劇や映画にあこがれ、いつも空想の世界で遊んでいた。おとぎ話、コメディ、歌、仮装。そして華やかさの陰にただよう一抹の悲哀。ドゥミの世界を彩るすべての要素は、この頃すでにかたちつくられていた。

『ジャック・ドゥミの少年期』は、ドゥミ自身の映画によく似ている。歌をふんだんに取り入れ、軽さと深刻さを合わせもち、予期された死を見せることもいとわない。病におかされた身で、じぶんの少年時代が再現されるのを見ることは、ドゥミにとって苦しいことではなかったか。もしこの映画が愛の告白でなければ、たしかに苦しかったにちがいない。夢が実現する幸せを描いたのでなければ、つらかったにちがいない。しかし、この映画には、ドゥミの人生をかたちづくった芸術的資質の誕生が描かれている。わたしたちはその人生の初めの数年間に立ち会い、ドゥミが撮ることになった15本の映画をつうじてその後の月日に思いをはせるのだ。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
3月1日(日)、3月7日(土)、3月8日(日)、3月14日(土)、3月15日(日)、3月21日(土)、3月22日(日)、3月28日(土)、3月29日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。