『グッバイ、レーニン!』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『グッバイ、レーニン!』
Good Bye Lenin!

メタモルフォーズ―変身 - もう一つの世界
2014.8.2(土) ~8.31(日)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2014年は『メタモルフォーズ―変身』をテーマに、さまざまな角度から映画をお届けしております。
8月はヴォルフガング・ベッカー監督の『グッバイ、レーニン!』をご紹介します。

 

『グッバイ、レーニン!』Good Bye Lenin!

2003年/ドイツ/121分/カラー/35mm​

監督:ヴォルフガング・ベッカー
脚本:ベルント・リヒテンベルク、ヴォルフガング・ベッカー
製作:シュテファン・アルント
撮影:マルティン・ククラ
音楽:ヤン・ティルセン
出演:ダニエル・ブリュール、カトリーン・ザース、チュルパン・ハマートヴァ、マリア・シモン、フロリアン・ルーカス、アレクサンダー・ベイヤー、ブルクハント・クラウスナー
字幕:石田泰子
配給:Global Screen
フォトクレジット:©X FILME CREATIVE POOL
ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツ。テレビ修理店に勤めるアレックスの母クリスティアーネは、社会主義に傾倒し東ドイツに強い愛国心を抱いている。ある夜、反社会主義デモに参加し警察と衝突している息子を目撃、ショックで心臓発作を起こし昏睡状態に陥ってしまう。それから8ヵ月後、彼女は奇跡的に目を覚ますが、既にベルリンの壁は崩壊しドイツは統一されていた。医師から「今度強いショックを与えたら命取りになる」と宣告されたアレックス。愛する母親を守るため、東ドイツの崩壊を隠し通そうと決意し奮闘するのだが……。
ベルリンの壁崩壊、東西ドイツの統一。歴史の大波に翻弄される個々の人間にスポットライトを当てることで、激動の時代を普通の人々の生活から描き出した秀作。本国ドイツでは歴代興行記録を更新、多くの映画賞を受賞し空前のヒットとなった。
 

作品について About Film

ひとりの若者が、統一されたばかりのベルリンで暮らしている。まるで昔と変わらず、フォーマイカ製の家具に囲まれ、モカフィクスのコーヒーを飲み、シュプレーヴァルトのピクルスをつまんでいる。忘却の淵に沈んだはずの「東ドイツ製」の製品が、皮肉なことに「オスタルギー」*のシンボルとなって過去を甦らせる。

家族をめぐる悲喜劇のかたわらで、グローバリズムが着々と進み、世の中はめまぐるしく変化する。目のまえで理想が潰えたひとびとの寄る辺なさが、画面に映しだされる。世界は絶え間なく進んでいく。しかし、アレックスは歴史のながれを遡り、愛する母親のために過去の世界をつくりなおす。母親は、もはや見る影もない社会主義国家の熱心な信奉者であった。

もちろん、家のそとで起きる出来事を変えることはできない。しかし、アレックスは外の世界を注意ぶかく観察しながら、家族の暮らしを「演出」していくのである。『グッバイ、レーニン!』の成功の秘訣は、世界とプライベートのこの衝突にある。大きな歴史と小さな歴史を混ぜあわせ、そこから「家族」の物語と映像をくみたてる。シナリオは、スケールの大きさと細部の巧みさを合わせもっている。東西に分断された国家がひとつに統合され、ばらばらだった家族がふたたび集まる。そのふたつのことが同時に描かれるのだ。その一方で、アレックスは自分で始めた嘘をつきとおすために、次から次へと卓抜なアイデアを考えだすのである。

「真実を状況に合わせなければならない」。アレックスはそう言いながら、両陣営のシンボルを巧みに操る。東側のソユーズロケット、自動車のトラバント、軍事パレード、西側のパラボラアンテナ、ファストフード、広告看板。ヴォルフガング・ベッカー監督は、このようなシンボルがどれほどわたしたちの心の奥深くに根をおろし、大きな影響をおよぼしているかを描きだす。

アレックスを演じたダニエル・ブリュールは、若者らしい屈託のなさと、子供のころの世界が消えてしまうことへの不安をみごとに表現し、作曲家のヤン・ティルセンはその不安感を物悲しいピアノ曲で際立たせた。

母国の失墜に耐えられず、アレックスは世界をつくりなおそうとした。右にも左にも偏らない理想的な国家統一を夢見た。『グッバイ、レーニン!』が支持されたのは、シナリオの素晴らしさのためだけではないだろう。この映画には、社会主義の嘘も資本主義の行きすぎも充分に心得ているドイツ人共通のユートピアが描かれているのではないだろうか。

*ドイツ語のオスト(東)とノスタルギー(懐旧)を一語に縮めた造語。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
8月2日(土)、8月3日(日)、8月9日(土)、8月10日(日)、8月16日(土)、8月17日(日)、8月23日(土)、8月24日(日)、8月30日(土)、8月31日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。