『カメレオンマン』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『カメレオンマン』
Zelig

メタモルフォーズ―変身:変身する男
2014.7.5(土)~7.27(日)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
2014年は『メタモルフォーズ―変身』をテーマに、さまざまな角度から映画をお届けします。
7月はウディ・アレン監督の『カメレオンマン』をご紹介します。

 

『カメレオンマン』Zelig

1983年/アメリカ/79分/モノクロ、カラー/35mm​

監督・脚本:ウディ・アレン
製作:ロバート・グリーンハット
製作総指揮:チャールズ・H・ジョフィ
撮影:ゴードン・ウィリス
出演:ウディ・アレン、ミア・ファロー、ジョン・バックウォルター、ステファニー・ファロー、リチャード・リット
美術監督:メル・ボーン
字幕:杉山緑
配給:Park Circus
フォトクレジット:©Park Circus / MGM Studios
人に嫌われたくない、自分を受け入れてもらいたいという深層心理から、カメレオンのように周囲の人々と姿かたちまで同化してしまう「人間カメレオン」、ゼリグ。1920年代のニューヨークに突如として登場し、世間を騒がせたその奇想天外な男の生涯を、記録映像や証言によって綴った、擬似ドキュメンタリー風コメディ。
医師に囲まれると医学の話を始め、ギリシャ料理屋ではギリシャ人に変身し、太った男性の側にいると腹が出てくる。映像の合成技術、ユーモアたっぷりの脚本も素晴らしいが、その笑いの奥には誰もが抱える孤立への恐怖やファシズムの脅威、そして人間の愛が描かれている。回想シーンを彩る識者、スーザン・ソンタグやアーヴィング・ハウらの出演も見どころ。
 

作品について About Film

カメレオンマン(レナード・ゼリグ)は、まわりの人間に合わせてその姿かたちを変えていく。中国人や名医に変身したかと思えば、ヒトラーや法王のそばに現れる。

ひとりぼっちになりたくないという思いは誰にでもあるだろう。他の映画監督は、このテーマをはるかに深刻なかたちで扱い、共同体を求めることの危うさや、他人に合わせる人間の従順さを示してきた。

ウディ・アレンは、ベルナルド・ベルトリッチが『暗殺の森』で描いたような悲劇的なドラマよりも、ユーモア、精神分析、疑似ドキュメンタリーの手法をえらんだ。疑似ドキュメンタリーとは、架空の存在をドキュメンタリータッチで撮影する手法で、たとえば、オーソン・ウェルズは新聞界の大物をでっちあげ(『市民ケーン』)、ロブ・ライナーは映画のためだけにロックバンドを結成し(『スパイナル・タップ』、)、ピーター・ジャクソンは忘れられた天才監督を「再発見」した(『光と闇の伝説-コリン・マッケンジー』)。ウディ・アレンはこの「モキュメンタリー」の手法をさらに遠くまで押しすすめ、真実を証明する偽の証拠を積みかさねた。いくつもの証言、クレジットタイトルに流れる謝辞、昔風の映像、特殊撮影によって世界各地に出没するゼリグの姿。わたしたちはデジタルの時代に生きており、どんな映像も画像処理によって修正されうると充分にわかっている。それにもかかわらず、この作品では現実と虚構の見分けがつかなくなり、カメレオンマンのあまりに自然な変化にすっかりだまされてしまうのである。

ゼリグは何度も姿を変える。しかし、ゼリグを創造したウディ・アレンについても同じことが言えないだろうか。1966年に映画を撮り始めてから約20年間、ウディ・アレンのスタイルは絶えまなく変化してきた。ベルイマンを思わせる密室の家族劇(『インテリア(’78)』)、フェリーニ風の詩情あふれる内省(『スターダスト・メモリー(’80)』)、白黒の表現主義的なスタイルで綴られたカフカ的な物語(『ウディ・アレンの影と霧(’91)』)、40年代風の色彩で描かれた幼年期の追想(『ラジオ・デイズ(’87)』)。

映画監督ウディ・アレンもカメレオンのように変化する。次から次へと新しいジャンルやスタイルを取り込み、絶えまなく仮面を付けかえる。そうやって、生涯のオブセッションを隠しているのだろうか。ウディ・アレン(あるいは、かれの別の自己たち)は、どの作品でも同じコンプレックス、同じ神経症を抱えている。ゼリグと同じように、たったひとつのことだけを求めている。アレンは、みんなから愛されたいのである。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
7月5日(土)、7月6日(日)、7月12日(土)、7月13日(日)、7月19日(土)、7月20日(日)、7月21日(月・祝)、7月26日(土)、7月27日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。