『オリンピア52についての新しい視点』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『オリンピア52についての新しい視点』
Regard neuf sur Olympia 52

スポーツは素敵!:忘却のオリンピック
2013.11.2(土)~11.30(土)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。

 

『オリンピア52についての新しい視点』Regard neuf sur Olympia 52

2013年/フランス/80分/カラー/デジタル​

監督・脚本:ジュリアン・ファロー
製作:エマニュエル・ローラン、ルイ・デルガド、セルジュ・グマール、ブルーノ・デロワ、アン・グロレロン
ナレーション:クレモンティーヌ・ドンタイユ、フィリップ・コラン
撮影:エティエンヌ・カルトン・ド・グラモン、ニコラ・ティボー、スコット・ラシャンス
編集:カミーユ・カロー
字幕:松岡葉子
配給:Tamasa Distribution
フォトクレジット:© Films à cinq / INSEP
1952年、クリス・マルケルは政府の委託により、ヘルシンキオリンピックを記録したドキュメンタリーを制作する。彼の初長編映画となるこの『Olympia 52(オリンピア52)』はしかし、時の流れとともに忘れ去られていた。
それから60年、ジュリアン・ファロー監督はこの作品に再び、新たな光を当てる。冷戦下における校閲、編集のマジック……。数々の資料や書簡によって浮かび上がる歴史の断片とともに、巨匠クリス・マルケルの起源ともいえる『オリンピア52』に隠された秘密が、少しずつ解き明かされてゆく。
 

作品について About Film

これは、映像作家クリス・マルケルある映像作家の若きかりし日々と、そのデビュー作『オリンピア52』を検証した映画である。このデビュー作という、ごく初期の映像の試みのなかにも、すでに彼マルケル特有の視点が認められる。その後60年近くにわたり展開していくる映像作家としての仕事の原型が、すでに芽生え始めているのだ。そのとき彼は、世界中のカメラの砲列が集中するスポーツの祭典に体当たりで挑んでいた。大衆教育の可能性を信じ、文化活動に身を投じた一人の若手一作家として。

撮影を許された場所はヘルシンキ・オリンピックスタジアムの一般スタンド席、。公認放送クルー用の設備の使用は一切まかりならぬ禁止というハンディキャップを逆手に取って、創造の源泉にへと変えてみせた。オリンピックと言えば誰しもが思い浮かべるような理想化された映像よりも、マルケルはむしろ、観衆のありふれた表情、あるいは奇妙な顔を、アスリートの来し方と行く末を、受け入れヘルシンキという都市に印さ刻まれたイベントの痕跡をとらえた映像を好んだようとした。そして、第二次世界大戦が終結して間もないこの時期にオリンピックを開催し、平和協調のメッセージを発信するという政治的意義も忘れてはいなかった。

要するにマルケルがこだわったのは、世界平和を保証してくれるもの、すなわち個人と群衆、文化(教養)と記憶であるだった。世界平和を保証してくれるのは、この四つのみなのだ。

『オリンピア52』に秘められた、後年の『「ラ・ジュテ』」の映像作家ののような反主流派スタイルの到来を予告するを予見させ映像を超えてながら、このジュリアン・ファローによる「新しい視点」は、一人の芸術家が他の芸術家、しかも、その道ですでに大成した芸術家の作品を論じる際の心構えを問うている。(本作品の題名タイトルに使われた「『新しい視点」』という言葉は、1950年代にマルケルが出版した選集にちなんだものである。)ある作家の若き日の作品を蘇らせることは、その作家を裏切る行為だろうか? 作家が意図的に忘却の縁に葬り去った映画に新たな命を吹き込むには、どうしたらすればよいか?

ジュリアン・ファローは自らの映画作りについて語りながら、「オリンピア52」を単なる映像資料としてのみならず、芸術作品としても救い、保存することの大切さを訴える。オリジナル映像の使用許可はをマルケル本人から取り付け、たが、歴史家のによる賛辞やなど、晩節を迎えた映像作家マルケルを顕彰するような内容はあえて慎んだ。トーンや形式が途切れるのの矛盾も一向に怖れずに、過去と現在とを茶目っ気たっぷりに、悪戯いたずらっぽく織り交ぜて演出している。この若き映像作家は、作品中に配したクリス・マルケル本人の声にさえもフィルターをかけて、いくつもの偽名を好んで使い分けたこの謎めいた人物に、一層の神秘性を与えている。実にこの映画の撮影の終わるころ、クリス・マルケルはこの世を去った。今、この加工されたマルケルの声は、当時よりもなおより一層の響きをもって、墓石場の向こう側から聞こえてくるような気がしてならない。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
11月2日(土)、11月3日(日)、11月4日(月・祝)、11月9日(土)、11月10日(日)、11月16日(土)、11月17日(日)、11月23日(土・祝)、11月24日(日)、11月30日(土)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。