『パリのボクサー』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『パリのボクサー』
Un cœur gros comme ça

スポーツは素敵!:パリこそ我がリング
2013.10.5(土)~10.27(土)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。

『パリのボクサー』Un cœur gros comme ça

1961年/フランス/78分/モノクロ/35mm​

監督:フランソワ・レシェンバック
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
撮影:フランソワ・レシェンバック、ジャン=マルク・リペール
編集:リリアンヌ・コルブ、クヌー・ペルティエ
出演:アブドゥライ・ファイ、ジャン=ポール・ベルモンド、ミシェル・モルガン
字幕:松岡葉子
配給:Les films de la Pléiade
フォトクレジット:© Les Films de la Pléiade
幼い頃からプロのボクサーになるのが夢だった若きセネガル人ボクサー、ファイは、チャンスを掴むべくパリの街へとやって来る。マルセイユからパリへ向かう電車の中でパリジャンの手ほどきを受け、ブローニュの森で束の間の恋に落ち、不思議な占い師のもとを訪れ……。屋根裏部屋で綴られる故郷の母への手紙には、色とりどりのパリの姿、この優しき青年の心象が、素朴に微笑ましく、詩的に描かれてゆく。
パリこそ我がリング。若きボクサーのプロムナードに誰もが青春を重ねてゆく……。
 

作品について About Film

1950年代末から60年代初めにかけて、フランスにはもう一つのヌーヴェル・ヴァーグが訪れていた。フィクション映画がそれまでの美学や語りの決まりごとを刷新したように、ドキュメンタリーもまた作者の視点とスタイルを主張し、当時登場したばかりの軽量カメラの助けを借りて、撮影対象に接近することを求めたのである。教訓めいた撮り方や、客観性を擬装する距離感を放棄することこそ、ジャン・ルーシュ、クリス・マルケル、そしてフランソワ・レシェンバックといった監督たちが、それぞれ自由なやり方で追求したものだった。

レシェンバックは有名無名を問わず、飽くことなく人物を撮り続けた監督で、好奇心と直感のみを頼りに世界中を遍歴した。その手法的特徴は、むしろ手法を定めず、絶えずカメラを回し続けることにある。彼がカメラを据えると、まるで奇跡のように出来事が起こる。彼の存在だけで、奇跡を起こすには十分だとでもいうかのように。
『パリのボクサー』でレシェンバックが目をつけたのは、ダカール出身の若きボクサー、アブドゥライ・ファイの漆黒の顔と身体である。ファイはチャンピオンになることを夢見て、冬の寒さを生まれて初めて経験しながら、初めての大きな試合に向けて準備をしている。
屋根裏部屋の下宿からトレーニング場まで、レシェンバックは丸一年間、ファイの姿を追い続け、60年代のパリでの信じられないような出会いの数々をカメラに収める。それはまた、情緒あふれるパリの街路、庭園、風変わりな場所への賛歌でもある。
まるでカメラの力によって「暴かれる」かのように、ファイはその時々の心情をさらけ出し、心に浮かぶこと、孤独、疑念、そして根っからの楽天主義を恐れることなく見せてくれる。ファイ自身の言葉を借りれば、「気づかないうちに心を盗まれて」いたのであり、合意の上での被害者、つまりは監督の共犯者となっていたのである。
これは「ダイレクト・シネマ」なのだろうか? 「シネマ・ヴェリテ」なのだろうか? むしろ、嘘と真実が入り交じったものだと考えてみたい。レシェンバックがある状況に人物を置くことによって、全てを引き起こした結果とも言えるし、あるいは観客が見ているものこそ全てが真実であるとも言えるのだから。レシェンバックがいつ、思いがけない出来事の起こる「手助け」をしているのか、観客は想像する。例えば、ファイが崇拝する女優ミシェル・モルガンの登場する場面。ファイには知らされずにお膳立てされたこのシーンで、パリの灰色の街並から姿を現した金髪のモルガンに、彼は奇跡といたずらを同時に疑うのだった。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
10月5日(土)、10月6日(日)、10月12日(土)、10月13日(日)、10月14日(月・祝)、10月19日(土)、10月20日(日)、10月26日(土)、10月27日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。