こんなところにもスポーツが| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

こんなところにもスポーツが
Short Film Selection – Ou est le sport ?

スポーツは素敵!:こんなところにもスポーツが
2013.8.3(土)~8.31(土)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。
8月はいろいろなスポーツの短編、4作品をご紹介します。

 

こんなところにもスポーツがShort Film Selection – Ou est le sport ?

1.『美しい身体-女性とスポーツ』Corps harmonieux – La femme et le sport
1945年/フランス/6分/モノクロ/35mm

監督:エルベ・ミシール

2.『水泳教室』La leçon de natation
2008年/フランス/10分/カラー/35mm

監督:ダニー・ド・ヴァン

3.『フォルツァ・バスティア’78/祝祭の島』Forza Bastia 78 ou L’île en fête
1978年/フランス/26分/カラー/35mm

監督:ジャック・タチ/ソフィー・タチシェフ

4.『郵便配達の学校』L’école des facteurs
1947年/フランス/16分/カラー/35mm

監督:ジャック・タチ
さまざまな視点からスポーツを捉えた短編映画のセレクション。女性美のためのエクササイズ、水泳教室に通う子供の観察や、サッカーの興奮など、スポーツは様々なところに姿を現します。
新しい形のスポーツを見つける旅にさあ、出かけましょう!
フォトクレジット:Top left: © D. de Vent/Lumière Top right: © Les documents cinématographiques, Paris Bottom left: © Les Films de Mon Oncle Bottom right: © Les Films de Mon Oncle
 

作品について About Film

『美しい身体―女性とスポーツ』
1945年、フランス。若い女性たちが体操やボール遊び、フェンシングをしている。女性たちを怠けさせておいたら体の線が崩れてしまう、と危惧した当時の政府がスポーツを奨励したのだ。彫像のようなポーズ、お説教じみた解説、仰々しい音楽。罪のない、今日振り返ると喜劇的にさえ映るプロパガンダだ。
家電製品が女性たちをスポーツへと導いた時代……。戦後間もない頃、運動の効用を讃える一連の映画が政府の肝いりで制作された。『女性とスポーツ』は、当時の男性社会における女性の立場がどんなものであったかを教えてくれる。1930年代に解放されて髪を短く切りズボンを履いていた女性たちは、再び母と家政婦の役割に追いやられる。そしてスポーツが奨励されるといっても、それは記録を打ち立てたりチャンピオンを育てたりするためではなく、美しい体の線を保つためなのだ!ダンスと同列におかれたスポーツは、一種の理想の女性像を賛美する美しいショーと化す。そしてそれを喜んで観るのは男性だ。
この振り付けつきの集団体操は、バスビー・バークレーのアメリカの古いミュージカル・コメディを思い出させはしないだろうか? スタイルの良い数十人の若い女性が整然と並んでバレエを踊り、肌を露出させた衣装で動き回る。ここには、男性の幻想の対象、エロティックな「コーラスガール」と化した若いフランス女性の姿がある。それは運動家よりもはるかに踊り子に近いのだ。

『水泳教室』
5歳のジョナス、初めての水泳のレッスン。しかしプールに到着するや、迷子になってしまう。恐ろしくも可笑しくもあり、泳ぐ人々という奇妙な生き物でいっぱいのこの場所で……。ダニー・ドゥ・ヴァン監督は、大人の世界にたった一人で立ち向かう子どもの世界を描き出す手段として、アニメーションを選んだ。
子どもの頃、プールの冷たい水に飛び込むのが怖くなかった人がいるだろうか? この初体験は素晴らしく、また恐ろしい思い出として残る。経験したことのない感覚が、驚き、喜び、不安をもたらす。
監督は、親が必ず子どもに通わせる水泳のレッスンそのものではなく、成長の物語を観客に語る。ジョナスが飛び込んだ水の世界は、大人の世界でもある。自分のことを気にかけてもらえるとは限らない。これから泳ぎを習う少年はたった一人で、あるいは丸いめがねをかけた海の怪物に囲まれて、水、冷たさ、闇に負けずに生き延びることを学ばなければならない。それが大きくなるということなのだ! 人生という学校を取り上げる短編作品の多くと同様、ダニー・ドゥ・ヴァンの選んだ手法はアニメーションだった。この表現手法は間違いなく、現実世界に無邪気なまなざしを向け、大人の世界を子どもの目を通して見ることを可能にしている。そのために、監督は正反対の視覚表現を組み合わせる。鉛筆の線がデジタルの質感と混じり合い、切り絵の様式美が3次元のコンピュータ・グラフィックスの流動性と交錯するのである。

『フォルツァ・バスティア'78/祝祭の島
バスティア、1978年4月。コルシカ島のチームが史上初めてサッカー・ヨーロッパ杯の決勝戦に進出する。試合に向けて街全体が祝祭ムードに包まれ、興奮したサポーターたちはスローガンを叫び、発煙筒を投げる。しかし試合は予想通りには進まない……。タチはこのユニークなドキュメンタリー映画のために島の住人たちを撮影し、驚くべきことに彼らを「タチ的な」登場人物へと変身させてしまう。
タチは競技そのものよりも、周囲で繰り広げられる出来事に関心を寄せる。人々の熱狂、街全体を覆う一体感――そこにはサッカーへの情熱だけでなく、コルシカというアイデンティティを求める叫びがある。
タチは、ある子どもが自作『プレイタイム』について書いた手紙の話をよく好んだ。「僕がいいと思ったのは、終わって外に出ても映画が続いていたことです」。これは本作にも言えることだ。祝祭、サスペンス、失望という三幕から構成されるこのドラマにおいて、タチは日常に潜む意図せざる滑稽さ、虚栄心、外から見ると馬鹿馬鹿しい儀式に人間を引きずり込む「群衆」というものの影響力を、誰よりも巧みにとらえている。皮肉でいて愛情深くもある観察者タチのまなざしは対象を正確にとらえ、決して見下すことなく核心を突くのだ。不思議なことにタチはこの撮影に満足せず、公開を拒否した。本作が日の目を見たのは、忘れられたフィルムを2000年に編集したタチの娘、ソフィー・タチシェフのおかげである。

『郵便配達の学校』
ある田舎の村。郵便配達人たちがペダルの漕ぎ方、郵便物の配り方を練習している。そのうち一人は、驚くほど巧みではあるが珍妙な乗り方で自転車を操り、一風変わった配達の仕方をする。
『郵便配達の学校』は、ジャック・タチの長編映画デビュー作『のんき大将脱線の巻』の下書きだといえる。タチはこの作品で、熱心だがどこかとぼけた郵便配達人のキャラクターを造形した。数年後にムッシュー・ユロとして結実する、伝説的な道化役の誕生である。
作家コレットはタチの芸術を「パントマイム、ダンス、風刺、活人画の性質を併せ持っている」と評した。そこにスポーツも加えよう。田舎を自転車に乗って全速力で駆け回り、型破りな配達の仕方をするこの郵便配達人は、本人も気づいていないが立派なチャンピオンなのだから。また、タチの初期の芸の一つは「無言のスポーツ」だった。身体能力の高い俳優だったタチは、自らの身振りで物語を語り、会話は減らすか、またはわざと聞き取れないようにしている。本作でタチは、大柄な体に似合わぬ巧みさと優雅さで走り、踊り、ペダルを漕ぐ。片時も休まず動き回り、けっして隙を見せず、次々と起こる出来事に意表をついたやり方で巧みに反応する。これはコメディの登場人物の特徴で、空想家であれ変わり者であれ、彼らは現実と直面した時にその奇抜さを切り札に変える。そして観客は彼らとともに詩人の自由を、想像力の勝利を祝うのである。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
8月3日(土)、8月4日(日)、8月10日(土)、8月11日(日)、8月17日(土)、8月18日(日)、8月24日(土)、8月25日(日)、8月31日(土)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。