『輝く峰 ガッシャーブルム』 『バケのカムバック』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『輝く峰 ガッシャーブルム』
Gasherbrum – The Dark Glow of the Mountains
『バケのカムバック』
Le Come-back de Baquet

スポーツは素敵!:山に魅せられて
2013.3.2(土)~3.31(日)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。

 

『輝く峰 ガッシャーブルム』Gasherbrum – The Dark Glow of the Mountains

1984年/ドイツ/45分/カラー/16mm

監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
撮影:ライナー・クラウスマン
編集:マクシミリアン・マインカ
出演:ラインホルト・メスナー、ハンス・カマーランダー
製作:ルッキ・シュティペティック
字幕:吉川美奈子
配給:Werner Herzog Film
フォトクレジット:© Werner Herzog Films
 

『バケのカムバック』Le Come-back de Baquet

1988年/フランス/24分/カラー/16mm

監督:ニコラ・フィリベール
撮影:ロラン・シュヴァリエ
録音:ベルナール・プリュドム
編集:マリー=エレーヌ・カントン
字幕:寺尾次郎
配給:ロングライド
フォトクレジット:© Les Films d'Ici -Antenne 2- 1988

なぜ人間は山に魅せられるのか? 『輝く峰 ガッシャーブルム』において、伝説の登山家ラインホルト・メスナーたちは8千メートル級の峰に連登という難題に挑む。白い砂漠の中で監督は登山家たちに問う。何が彼らをそこまで駆り立てるのか? ヘルツォーク監督は不可能に挑む人間の狂気を追う。何かに取り付かれた人間の眼の、どこまでも澄み切った深みをカメラが捉えている。
『バケのカムバック』の舞台はアルプス。今は亡き親友と初登攀したミディ南壁に、モーリス・バケが32年の時を経て挑む。青空を背にほぼ垂直の岸壁をゆく人々は、しかしその危うさを忘れてしまうほどに愉しげである。頂からの景色、若き登山家クリストフ・プロフィの逞しさと健やかさ。岩峰に口づけるバケ。チェロの音色。爽やかさが胸に残る追憶のドキュメンタリー。
 

作品について About Film

山は、映画の中で、驚くべき冒険が繰り広げられる場所、ドラマティック、あるいはロマンティックな出来事の舞台として登場することが多い。しかし、ヴェルナー・ヘルツォークとニコラ・フィリベールの描くそれぞれの物語は、そのさらに先の世界を描く。一方はスリルと極限を希求する心理を、他方は亡き友を偲びつつ行く、純粋な楽しみとしての登山を。登山という危険と隣り合わせのスポーツにおいて、息を飲む壮大な風景の美しさにも増して、彼らの作品においては何よりも、人間と山の関係――なぜ人は山にこれほど抗いがたく惹かれるのかという問い――がテーマとなっている。

『輝く峰 ガッシャーブルム』は、人間を迷わせる砂漠である。ヴェルナー・ヘルツォークはこれまでも、同じように過酷な地平へと我々を導いてきた。戦後ドイツ映画の名匠であるヘルツォーク監督は、地の果てで不可能に挑む人間――死の危険に瀕しても決意を鈍らせることなく、まるで憑かれたように執念深くチャレンジし続ける人間を主人公に選んできた。黄金郷を求め、いかだでアマゾンを下る『アギーレ・神の怒り』も、密林の中にオペラハウスを建てることを夢見て、船に山を越えさせた『フィッツカラルド』も、『跳躍の孤独と恍惚』(※2016年6月上映作品)に登場する、跳ぶ度に一段と高く空中に舞い上がるスキージャンプのチャンピオンもそうだ。誇大妄想的な冒険家から最高峰のスポーツ選手まで、架空、実在を取り混ぜたこれらの人物は、夢を追ううちに狂気にも似た恍惚の状態に至る。パキスタン国境の山に登るラインホルト・メスナーに随行したヘルツォークは、この伝説の登山家から、自由と孤独への欲求、人間と死との関係についての哲学的な告白を引き出している。

『バケのカムバック』でニコラ・フィリベールは、多才なエンターテイナー、モーリス・バケに同行してアルプスに登る。フィリベールのドキュメンタリー作品では、常に控えめで温かな監督のまなざしが対象に注がれ、観客の共感を呼ぶ人間らしさが引き出される。バケの道化ぶりや茶目っ気はそのままに、フィリベールは彼に過去の登山を追体験させる。映画のモンタージュによって時間の境界線がぼやけ、思い出が現在と混じり合い、肉体の努力に音楽が寄り添う。この映画で幸福の源となっているものは、自らの限界への挑戦ではなく、芸術とスポーツ、そして自然が織りなすハーモニーだ。

二つの作品はそれぞれ、人間の魂の持つ対照的な面を見せてくれる。重厚な闇の面と、軽やかで明るい面とを。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
3月2日(土)、3月3日(日)、3月9日(土)、3月10日(日)、3月16日(土)、3月17日(日)、3月20日(水・祝)、3月23日(土)、3月24日(日)、3月30日(土)、3月31日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。