『長距離ランナーの孤独』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『長距離ランナーの孤独』
The Loneliness of the Long Distance Runner

スポーツは素敵!: 自由を勝ちとるために
2013.2.2(土)~2.24(日)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。

 

『長距離ランナーの孤独』The Loneliness of the Long Distance Runner

1962年/イギリス/88分/モノクロ/35mm

監督・製作:トニー・リチャードソン
脚本:アラン・シリトー
撮影:ウォルター・ラサリー
編集:アントニー・ギブス
音楽:ジョン・アディソン
出演:トム・コートネイ、マイケル・レッドグレイヴ、ピーター・マッデン、ジェームズ・フォックス
字幕:進藤照光
配給:Park Circus
フォトクレジット:© MGM Studios
非行に明け暮れる少年コリン(トム・コートネイ)は、やがて警察に捕まり、感化院へと送り込まれる。人生のどん底に瀕した彼であったが、感化院で彼の長距離ランナーとしての隠れた才能が開花した。僅かな週給のために働き詰めたあげく癌に倒れる父、貧乏な暮らしから逃れるかのように浮気を重ねる母。未来への展望も希望もなかった彼の人生に、最大のチャンスが訪れるが……。
「怒れる若者たち」の代表的作家アラン・シリトーの同名小説を本人が脚色、『トム・ジョーンズの華麗な冒険』のトニー・リチャードソンが製作・監督。大人への反感と、体制への反抗。長距離走という極限状態のなかで、一人の人間の抗争と孤独を鮮烈に描ききった佳作である。1963年マル・デル・プラタ国際映画祭最優秀男優賞、同年英国アカデミー賞新人賞受賞。
 

作品について About Film

これは映画という‟第七芸術”の歴史の一時代を代表する作品のひとつであり、当時の製作上・技術上の手法、新旧のスタイル、社会的・文化的理由から取り組まれたテーマ、そういった諸々の時代背景がそこには映し出されている。『長距離ランナーの孤独』は、1950年代にトニー・リチャードソン、カレル・ライス、リンゼイ・アンダーソンといった新世代の映画監督たちによって拓かれた、イギリス映画の新しい潮流に属する作品である。彼らはヴィクトリア朝的な物語、あるいはヴォードヴィル風の娯楽作品とは一線を画し、戦後イギリスの政治的・社会的問題を扱いつつ、自らの作品を映画と文学という二つの系譜のもとに位置づけた。一方には彼らの名声のきっかけとなったフリー・シネマの短編ドキュメンタリー作品群があり、もう一方にはアラン・シリトーを含む「怒れる若者たち」の作家たちがいた。シリトーは 『長距離ランナーの孤独』と『土曜の夜と日曜の朝』(1960年)という二作品を自ら映画化し、新しいイギリス映画に大きな影響を与えた。同じ頃、フランス映画もまた変革の時期を迎えていたが、ヌーヴェル・ヴァーグが「作家」の個性とスタイルを強調したのに対し、イギリスでは労働者階級の日常を描くこと、貧しい出自で将来に幻滅したアンチヒーローを登場させ、若者の苦しみを表現することが優先された。

トム・コートネイ演じるコリンは感化院に入れられた青年で、長距離走に非凡な才能を発揮する。本作が第二作目となるコートネイは、工業化による疎外と大衆消費への怒りで硬直した表情で観る者の心を揺さぶり、この映画の顔となった。この青年に対するのは、このスポーツを利用して感化院の評判を上げようと目論む院長であり、監督は院長役に、コートネイとは対照的な貫禄と威厳を備えたマイケル・レッドグレイヴを起用した。映画や舞台で活躍していたこの大物俳優は、本作では抑圧的で硬直したイギリス社会の象徴となっている。通常ニュース映画で用いられる機材で撮影することで、本作は、コリンが感化院での退屈な労働を束の間逃れてトレーニングに励む、外の風景の美しさを讃えている。撮影を担当したウォルター・ラサリーの言葉を信じるならば、夜明けに撮影された素晴らしい一場面はまったくの偶然の産物だったという。それは広大な空の下で森の中を走るコリンが、まず月を、それから昇りゆく太陽を追い抜く場面だ。恩寵と充足、そして自由の瞬間である。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
2月2日(土)、2月3日(日)、2月9日(土)、2月10日(日)、2月11日(月・祝)、2月16日(土)、2月17日(日)、2月23日(土)、2月24日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。