『夏時間の庭』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『夏時間の庭』
L’heure d’été

“時”の恵み:世代を超えて
2012.11.3(土)~11.25(日)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。

 

『夏時間の庭』L’heure d’été

2008年/フランス/102分/カラー/35mm​

監督・脚本:オリヴィエ・アサイヤス
撮影:エリック・ゴーティエ
録音:ニコラ・カンタン、オリヴィエ・ゴワナール
出演:ジュリエット・ビノシュ、シャルル・ベルリング、ジェレミー・レニエ、エディット・スコブ
製作:マラン・カルミッツ、ナタネール・カルミ、シャルル・ジリベール
字幕:星加久実
配給:クレストインターナショナル
フォトクレジット:© 2008 MK2 SA-France 3 Cinema
パリ郊外、印象派の画家であった叔父のアトリエに住む母を訪ねた子どもたち。彼ら三兄妹は母の死後、その遺産を受け継ぐか否かの選択を迫られる。幼い頃から親しんできた家族の思い出のつまった家と、コレクションである美術品の数々。果たして彼らが選んだ答えとは……? 『夏時間の庭』は、人と物、過去と記憶の関係を問う、ある家族のドラマである。オルセー美術館開館20周年記念作品。
 

作品について About Film

本作はオルセー美術館の開館20周年記念作品として、かつて駅舎であった美術館の建築とその収蔵品が登場することを条件に、オリヴィエ・アサイヤス監督に制作が依頼された。この映画において監督が選んだテーマは、人生の軌跡――その跡がどのように薄らぎ、どのように次世代に受け継がれてゆくか――だった。
『夏時間の庭』は、子どもたちが集い母エレーヌの75歳の誕生日を祝う場面で幕を開ける。家族の思い出のつまった邸宅と、大叔父ポール・ベルティエ(この映画のために想像された架空の画家)の美術品コレクション。子どもたちは母の死後、これらをどのように整理すべきか、決断を迫られる。
過去をどのように扱えばいいのか? 受け継ぐということ――それは使命なのか、それとも呪いなのか? 死を予感するエレーヌは自問する。受け継ぐという行為には、人と物、人と記憶との関係が分ちがたく結びついている。この映画においては、遺産の莫大な価値がこのテーマをいっそう複雑なものにし、世代間の葛藤のなかに、人生において芸術が占める位置という問題が加わる。この邸宅でこれほど長い歳月を過ごした絵画や家具、装飾品が、慣れ親しんだこの場所を離れ、美術館という制度化された空間に移ることなどできるのだろうか? あるべき場所から引き離されてガラスの向こうに陳列されてしまえば、これらの美術品は主の愛着を失い、商業的価値をもち美術史に奉仕するだけの存在になってしまうだろう。
『夏時間の庭』では、しなやかで瑞々しい演出によって、個性的な登場人物たちの肖像が描き出される。即興を織り交ぜた会話、田舎暮らしの風景、国際化するパリのブルジョワ階級。社会学的、職業的なコンテクストから、個々の人物像が立ち上がってくる。エレーヌが長男に、二枚のコローの絵は必ず家族の誰かが持っておくようにと言うとき、彼女は三人の子どもたちが、家族の思い出に対しそれぞれ異った感情を抱いていることに気づいていない――あるいは気づいていないふりをしている。皆がそれぞれの経済的、地理的、社会的事情をかかえて暮らしているのであり、そこに過去の入り込む余地があることもあれば、ないこともある。それが彼らを故郷に繋ぎとめることもあれば、反対に世界中を駆け回らせることもある。
アサイヤスはノスタルジーに溺れることはない。「記憶」が薄らぎ、それが美術館に恭しく飾られる、その物語全体に貫かれている透徹した繊細なまなざしは、観ている者に伝わってくる。しかし、一人一人の心の中に生きる物語が、この家族から失われてしまったわけではない。1930年代から使われている食卓を囲み、広大な庭では若者たちが遊ぶ。ちょうど、彼らの祖父、祖母たちがかつてそうしたように。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
11月3日(土・祝)、11月4日(日)、11月10日(土)、11月11日(日)、11月17日(土)、11月18日(日)、11月24日(土)、11月25日(日)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。