『非現実の王国でヘンリー・ダーガーの謎』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『非現実の王国でヘンリー・ダーガーの謎』
IN THE REALMS OF THE UNREAL : THE MYSTERY OF HENRY DARGER

“時”の恵み:時の向こう側
2012.6.2(土)~6.30(土)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。

 

『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』IN THE REALMS OF THE UNREAL : THE MYSTERY OF HENRY DARGER

2004年/アメリカ/82分/カラー/アメリカン・ビスタ/SRD​

監督:ジェシカ・ユー
ナレーション:ラリー・パイン/ダコタ・ファニング
プロデューサー:スーザン・ウエスト
アニメーション・プロデューサー:カーラ・ヴァロウ
音楽:ジェフ・ピエール
字幕:石田泰子
一人の孤独な老人の死後、40年間暮らしたアパートの部屋から「非現実の王国で」と題した15,000ペ-ジを超える小説の原稿と数百枚の挿絵が発見された。
ヘンリー・ダーガー(1892-1973)が、病院での雑務係の仕事の外で、自室に中にたてこもり、妄想を綴り、生涯をかけて描いた作品は、人間離れした能力を備えた邪悪なグランデリニアンから子供たちを救うべく立ち上がる7人の無垢なる少女たち、ヴィヴィアン・ガールズの壮絶な闘いの物語。このダーガーの壮大なる抒情詩から、2年の歳月をかけて制作されたアニメーションを含む本作品は、一人のアーティストの知られざる時間を伝える異色ドキュメンタリーといえる。
 

作品について About Film

絵画であれ文章であれ、芸術にはもっとも個人的な世界観を表現する力がある。その世界観はきわめて快いものであることもあるし、きわめて奇怪なことも、嫌悪を催すものであることもある。
シカゴのある家の薄暗い一室、家具も壁も紙の束とスケッチブックに覆い尽くされた部屋で、男は43年もの間こつこつと文章を綴り、絵を描き続けた。蝶の羽の生えた異形の生き物や、両性具有の少女たち、悪鬼のような将軍たちの登場する冒険物語を。
ヘンリー・ダーガー(1892-1973)という名の、人との関わりや感情の交流と無縁な生活を送ったこの男が創り上げた他に類を見ない作品は、彼の死後に初めて発見され、世に知られることとなった。驚異的な量を誇るその作品――300枚の挿画、一編の小説と数千ページに及ぶ日記――は、純然たる孤独、時の向こう側で生み出されたのである――いや、芸術家とその孤独な時間の中でと言うべきか。
自然な衝動に駆られて生まれてきたダーガーの文章や絵画には、障害を抱えていたため幼少期からのけ者にされ、虐げられてきた彼の人生経験が反映されている。独学で作品を創っていたダーガーは、何らかの芸術運動に参加するためではなく、内なる欲求を満たすためだけに創作した。そのため現在では、彼の作品はアール・ブリュット(生の芸術)に属するものとされている。
ダーガーが確立するに至った、個性的かつ独創的な視覚スタイルにおいては、絵画は純粋に物語を補うものとして存在する。技巧に欠け、遠近法を使いこなせなかった彼は、雑誌やコミックのイラストレーションから装飾模様や人物を借りてきて写し取ったり、幾度も同じ絵を使って増殖させたりしている。
天真爛漫な絵と暴力的なテーマの対比には、誰しも強烈な印象を受けずにはいられないだろう。花の咲き乱れる色鮮やかな自然の中で成長する子どもたちがいたかと思うと、暴力や性的抑圧、歪んだ宗教的要素に満ちたエピソードが展開する。そこには、一人の男の不満、苦しみと孤独、そして彼が自らの作品の二重性に、おそらく無自覚であったであろうことが表れている。2004年のバンクーバー映画祭受賞作のこのドキュメンタリーで、ジェシカ・ユー監督は、絵に声と動きを与え、命を吹き込んでいる。監督は、ダーガーの人生と作品に出合って何を感じたのか、自分の体験を観客に伝えたかったそうだ。そのため、発見の瞬間の後で、映画は徐々にヘンリー・ダーガーの作品の豊かさと複雑さを明かしてゆくことになる。そしてそれでもダーガーは相変わらず、我々にとって驚くべき謎であり続けるのだ。

アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
6月2日(土)、6月3日(日)、6月9日(土)、6月10日(日)、6月16日(土)、6月17日(日)、6月23日(土)、6月24日(日)、6月30日(土)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。