『ロバと王女』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『ロバと王女』
Peau d’Ane

語りつがれる“ものがたり” Ⅰ
2010.1.23(土)~3.27(土)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。

『ロバと王女』Peau d’Ane

1970年(デジタルリマスター2004年)/フランス/カラー/89分/35mm/フランス語​

監督・脚本:ジャック・ドゥミ
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャン・マレー、ジャック・ペラン、デルフィーヌ・セイリグ、ミシュリーヌ・プレールほか
復元版監修:アニエス・ヴァルダ、マチュー・ドゥミ
原作:シャルル・ぺロー
音楽:ミシェル・ルグラン
衣装:パース&ギット・マグリーニ
配給:セテラ・インターナショナル&ハピネット・ピクチャーズ
フォトクレジット:© Cine-Tamaris
「青の国」は金貨や宝石を生むロバがいるおかげで平和に栄えていました。王様は美しいお妃様とその娘と幸せに暮らしていましたが、あるとき最愛のお妃様が病で亡くなってしまいます。「私より美しい女性に出会ったら、再婚してください。」というお妃様の遺言を授かった王様ですが、そんな女性などこの世にいるはずはないと悲しみに暮れ、ふさぎこむばかり。大臣たちは、国中のお妃候補を提案しますが、その中に一枚だけ入っていた実の娘の肖像画を見て、王はお妃様よりも美しい王女との結婚を切望します。

父親から結婚を申し込まれて困り果てた王女は、リラの妖精に相談を持ちかけます。リラの妖精は結婚を受け入れるかわりに王様でもかなえられないような無理なお願いをするように王女に持ちかけます。ところが、王様は権力をつかってどのお願いも完璧に叶えてしまいます。最後のお願いとともに旅発った王女の行く末は・・・。
 

作品について About Film

ジャック・ドゥミはいまだにフランス映画作家としては例外的な存在であり続けている。彼の世界は独創的で、好んで物語や奇譚から着想している。それはもちろん、我々を魅了するためだが、ねらいはそれだけではない。熱烈に、あるいは無邪気に信じれば、不可能は可能になるということを我々に証明してみせるためである。これが『ローラ』だけでなく、『ロシュフォールの恋人たち』の魔法の教訓だ。
ドゥミの詩情はこうして表現され、そこに通底するリアリズムは、様々な寓意の中に古典的思想とフランス語表現への賛辞を込めた歌によって磨き上げられる。
『ロバと王女』の物語は意外性に満ち、突飛で、時として我々を当惑させる。強くて情け深い王(ジャン・マレー)の娘、カトリーヌ・ドヌーヴは、突然父の激しい欲望の対象となり、求婚される。それは彼女が死んだ母親にあまりに似ているからである。彼女は自分の後見役の妖精(デルフィーヌ・セイリグ)の助けを得て、父の欲望から逃れ、森の奥にたたずむ一軒の田舎家に身を寄せる。そこで若い王子の目に留まるのである。
王子は彼女を見るなりたちまち激しい恋におち、彼女をもう一目見たい(あわよくば、もっと先まで…)という思いで頭が一杯になる。
彼女が王子のためにこしらえたケーキのなかに隠された指輪が、二人の仲をとりもつ魔法のお守りとなり、この芽生えつつある恋はまもなく花開く。
この物語が我々に提供するものは、無論、すべて純然たるメタファー(隠喩)である。なぜなら、そもそも物語のなかの事実と出来事は、無意識と夢幻状態が機能することにより発生するからだ。これはいみじくもコクトーが映画『美女と野獣』のなかで発明したものであり、ありとあらゆる独創的な思いつきの中でも、とりわけこのエレガンスを丹精こめて磨き上げ、彼のスタイルの秘密のひとつとした。
『ロバと王女』の原典は、まさにこの『美女と野獣』である。確かに、いずれの作品にもジャン・マレーが出演しているが、それだけではない。彼の演じる野獣という人物設定も同じであり、愛の成就する瞬間、その獣的な容貌と身なりは、魅惑的でまばゆいばかりの、上品な美貌へと変化する。
映画からにじみ出るファンタジーはシンプルでありながらも、「空の色のドレス」など、珍しく貴重なものの価値を引き立てている。
邪悪さは決してこの世界では通用しない。王の娘に寄せる愛でさえ、フロイト的な変身よりも宮廷風恋愛のほうを際立たせているように思われる。だから本作品はそのセット、衣装ともども、ミュージカルの世界に極めて近い。
『ロバと王女』は、新鮮、魅惑的かつ発想豊かな映画であり、カトリーヌ・ドヌーヴはそこで輝いている。
ジャック・ドゥミ監督は我々を存分に楽しませながら、彼の魔法の宮殿の恍惚のなかへと誘い込む。

パトリック・バンサール(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
上映日:1月23日(土)、1月30日(土)、1月31日(日)、2月6日(土)、2月13日(土)、2月20日(土)、2月27日(土)、3月6日(土)、3月13日(土)、3月20日(土)、3月27日(土)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。